日経平均、取引時間中に初の6万円台——祝福より先に湧いてくる違和感の正体【30代の投資視点】

「日経平均6万円」の速報に、素直に喜べなかった話 2026年4月23日、東京株式市場でこんなニュースが流れました。 日経平均、取引時間中に初の6万円台 出典:日本経済新聞 2026年4月23日付「日経平均、取引時間中に初の6万円台 半導体・AI関連が主導」 平成生まれの30代、投資歴は11年(2015年NISAスタート)、2017年に買った青山商事で約31万円の確定損失を出して撤退したクチ——そんな等身大の会社員HIKOです。 「6万円」という数字は、それ自体が歴史的なマイルストーンです。ただ、見出しの派手さと、その日の値動き・上昇の中身を並べて見ると、**「この数字は本当に自分の生活と地続きの数字なのか?」**という問いが残ります。 今日はその問いを、辛口の視点と、一歩引いた視点の両方から言語化してみます。 まず、23日の相場で何が起きたのかを淡々と整理する 感情の前に、事実関係を時系列で置いておきます。 項目内容日付2026年4月23日(木)寄り付き続伸スタート上げ幅ピーク前日比**+400円超**、取引時間中に初の6万円台その後の展開利益確定売りで急反落、前日比**−900円超**の場面も主導セクター半導体・AI関連(ルネサス、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、キオクシア、太陽誘電、古河電気工業など)米国側の材料米国とイランの停戦延長を好感、NYダウ反発/ナスダック・S&P500が最高値更新/SOX指数は16日続伸 同じ一日のなかで、「6万円到達」と「900円超の下げ転換」が共存している。これだけでも、この相場の性格がよく分かります。 そもそも、3月末からここまで何が起きたのか もう一歩引いて、過去3ヶ月の流れを振り返ります。 2月末:米国とイスラエルがイランを攻撃。石油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖懸念と資源価格高止まり警戒で、日本株は軟調に転換 3月:下落幅は史上最大に。月末には5万1000円台まで沈む 4月初:中東情勢の緊張が緩むとの観測が広がり、世界的に株価が反発 4月中旬以降:AI・半導体関連を中心に世界同時高。日本でもアドバンテスト、キオクシア、太陽誘電、古河電気工業などがけん引 4月23日:取引時間中に日経平均が初の6万円台 つまり、3月末から4月23日までの約3週間で8000円近い急騰が起きているわけです。年換算で直そうとするのがバカらしくなる急ピッチ。 「地政学で売られすぎた反動」と説明すればきれいに見えますが、反動にしては角度が急すぎます。 ※イメージ図(概念図/正確な日次データではありません) 違和感その1:上がっている銘柄の顔ぶれが、いつも同じ 速報の裏で動いていた銘柄群を見てください。 ルネサスエレクトロニクス ソフトバンクグループ(英アーム保有) アドバンテスト キオクシアホールディングス 太陽誘電 古河電気工業 全部、AI・半導体・データセンター関連です。米国のSOX指数が16日続伸という異常な連騰を続けていて、その波に乗る形で日本の同セクターも買われている。 これ自体は悪いことではありません。ただ、「日経平均6万円」という見出しから受ける印象と、実際に上がっている銘柄の狭さのギャップが大きすぎます。 「日経平均が最高値を更新しました」と聞くと、自分の資産も最高値を取っているように錯覚しがちですが、AI・半導体を持っていなければ、そこまで恩恵を受けていない人のほうが多いはずです。インデックス積立・高配当株中心・内需系メインなど、ポートフォリオの組み方によって体感は大きく変わります。この**“指数と実感のズレ”**は、相場が加速しているときほど大きくなります。 補助線:日経平均だけでなく、TOPIXも並べて見る この「銘柄の偏り」を客観的に捉えるには、TOPIXと並べて見るのが一番早いと思っています。 日経平均は225銘柄の株価単純平均(みなし額面調整あり)なので、値がさ株の影響を強く受けます。特にソフトバンクグループやアドバンテストのように一株あたりの株価が高い銘柄の寄与度が、時価総額の割に大きくなる構造的クセがあります TOPIXはプライム市場全体の時価総額加重なので、市場全体の"体温"により近い指数です 同じ「日本株」という言葉を使っていても、この2つの指数は見ている景色が違います。日経平均が最高値を更新した日に、TOPIXが同じ勢いで更新していれば、それは物色の裾野が広がっているサイン。逆に、日経平均だけが突出して上げてTOPIXが出遅れていれば、それは値がさハイテクが指数を引っ張っているだけで、市場全体の地合いはそれほど強くない、ということになります。 一本足相場かどうかを判断する物差しとして、日経平均とTOPIXの上昇率の差は毎回チェックする価値があります。派手な見出しに流されず、市場の実態を掴むための地味で有効な定点観測です。 違和感その2:生活者の肌感覚は、むしろ重い もう一つの違和感は、生活コスト側から見たときの景色です。 2月末のイラン攻撃以降、資源価格は一度跳ねた 停戦延長で少し落ち着いたが、ホルムズ海峡リスクは消えたわけではない 円建てガソリン・電気ガス・食品価格は、ピーク時から完全には戻っていない 日常の買い物や外食で「高くなったな」と感じる頻度は減っていない 株価が3週間で15%以上上げる一方、家計の支出感覚はそれほど軽くなっていない。この非対称は、「資産を持っている人」と「労働所得が中心の人」の格差をまた広げる方向に働きます。 これは誰が悪いという話ではなく、マネーがグローバルなAIテーマ一点に集中している構造の当然の帰結です。自国通貨建ての株価がいくら上がっても、AI半導体のサプライチェーンに組み込まれていない産業で働く人の賃金が同じペースで上がるわけではない。ここは冷静に切り分けて見ておきたいところです。 違和感その3:「停戦延長」に全面的に乗る怖さ 23日の上昇の直接のきっかけは、前日の米国市場が米イラン停戦延長を好感して上げた流れです。 ただ、停戦は「延長」であって「終結」ではありません。 米イスラエル対イランの構図は温存されたまま ホルムズ海峡は依然として世界の石油輸送の急所 中東情勢は数週間単位で景色が変わりうる にもかかわらず、マーケットはいま、「中東は解決方向」という前提で半導体関連を積極的に買っている。この前提が1本でも崩れると、3月のような急落は簡単に再現されます。 3月の下落幅は史上最大でした。その痛みが3週間で忘れられているなら、それは学習が速いのではなく、リスクの織り込みを放棄している可能性のほうが高いと見ています。 俯瞰して見ると:これは「AIを基軸通貨にする世界」のゲームの一局面 ここまで辛口寄りに書いてきましたが、もう一段引いた視点も置いておきます。 いまマーケットで起きているのは、一言でいえば**「AI計算資源を持つ国・企業が未来の覇権を握る」という世界観**に、世界中の資金が張り続けている状態です。 米国の超大手テック(NVIDIA、マイクロソフト、Alphabet、Meta等)がAIインフラ投資を天井なしに積み上げる その恩恵を最も直接受けるのが、半導体製造装置・メモリ・先端パッケージング・電力インフラ 日本企業のアドバンテスト、キオクシア、太陽誘電、古河電気工業、そしてアームを抱えるソフトバンクグループは、その**サプライチェーン上の"通り道"**に位置している だから、米SOX指数が16日続伸するたびに、日本の該当銘柄にも自動的にマネーが流れ込む。日経平均6万円という数字は、日本経済全体が強くなった結果ではなく、AIサプライチェーンの一部として日本株が機械的に買われている結果です。 ...

2026年4月24日 · HIKO

企業型DCとは?給与明細のDCの正体と運用で114万円になった実例

保険業界から転職してIT系の上場企業に入社したのが約2年前。入社手続きの山の中に「企業型DC加入手続き書類」が入っていました。その時点では「会社が勝手に積み立ててくれるやつ」程度の認識でした。自己負担ゼロで92万円以上積み上がって、今は114万円を超えていることに気づいたのは最近のことです。 企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が掛金を拠出し、自分で運用先を選ぶ年金制度です。 この記事は「企業型DCに加入している会社員向け」です。結論から言うと、企業型DCは放置すると損・見直すと勝手に増える制度でした。 給与明細の「DC 40,000円」が謎だった 転職直後、給与明細を見て気になる行がありました。 支給欄に「DC 40,000円」。そして控除欄にも「DC 40,000円」。 プラスとマイナスが同額で並んでいます。最初は「何かの計算の都合でキャンセルされてる?」と思いました。 正体はこうです。 支給欄のDC:会社が掛け金として拠出する40,000円(給与総額に含める処理) 控除欄のDC:そのまま確定拠出年金の口座に移される40,000円(給与として受け取らない処理) つまり手取りとして受け取る金額には直接は反映されません。自分のポケットから1円も出ていないのに、毎月40,000円が自分名義の年金口座に積み立てられていく仕組みです。 これを「謎の相殺」として放置している人は、少なくないと思います。 自分のお金ゼロで、2年弱で92万円が積み上がった 数字でまとめるとこうなります。 項目金額毎月の拠出額40,000円(全額会社負担)※加入期間約2年累計積立額920,000円現在の評価額1,138,704円含み益+202,673円(+21.7%) ※このリターンは2024〜2026年の市場環境や投資タイミングによる影響が大きく、商品変更の効果だけではありません。 ※拠出額は企業ごとに異なります。月1〜2万円程度の企業も多く、まずは自社の制度を確認してください。 自分の手出しはゼロ円。給与明細の謎の2行が、2年で92万円を積み上げていました。 そして運用益が20万円以上乗っています。この20万円も、NISAと同様に運用益は非課税なのでそのまま手元に残ります。 デフォルト商品のまま放置するとどうなるか 多くの企業では、初期設定のままだと元本確保型(定期預金など)になるケースがあります。 正直に言います。加入手続き時に指定した最初の運用商品は、**DIAM外国株式インデックスファンド<DC年金>**でした。信託報酬は年0.275%です。 当時の選択理由は「外国株インデックスなら長期で増えるだろう」という程度でした。深く調べませんでした。 しばらく放置していましたが、2025年6月に運営管理機関から「新商品追加のお知らせ」というメールが来ました。そこで初めてラインナップを見直すことになりました。 2025年6月、S&P500に配分を一本化した 新商品にiFree S&P500インデックスが加わっていました。信託報酬は年0.198%です。 0.275%→0.198%。差は0.077%です。 なお、ベンチマークも異なります(DIAMはMSCIコクサイ=日本除く先進国株、iFreeはS&P500=米国株)。そのため、単純な上位互換ではなく投資先の変更でもあります。 なお、全世界株式(いわゆるオルカン)の方が信託報酬が低いケースも多いです。ただし企業型DCでは商品ラインナップが限られていることも多く、今回はその中での選択です。また、S&P500は米国集中・全世界株式は分散投資という違いがあるため、どちらが優れているかは投資方針によります。 金額に換算すると、現在の積立額920,000円で年間約700円の差になります。単体では小さく見えますが、毎月40,000円が積み上がり続ける制度では積立額が増えるほど差も広がります。今後も積み立てが続くことを考えると、少しでも低い方を選ぶべきだと判断しました。 手続きはWebから完結しました。「運用商品の変更」と「今後の拠出の変更」を両方やって、全額をiFree S&P500インデックスに変更しました。所要時間は10分程度でした。 現在もこの状態で運用中です。 信託報酬の比較(年率) 0.275% DIAM外国株式インデックス 0.198% iFree S&P500インデックス 0.077%の差は長期積立で無視できない 企業DCはまず確認すべき制度 「老後資金の積立はNISAでいいんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。ただ、会社拠出分がある場合は最優先で確認する価値があると考えています。 ただし、企業DCには60歳まで引き出せない縛りがあり、商品ラインナップが弱い企業もあります。また、自分で上乗せできるマッチング拠出の有無によっても優先度は変わるため、まず自社の制度内容を確認することが先決です。 理由を整理します。 企業DCの強み: 会社が全額拠出してくれる(自己負担ゼロ) 口座維持手数料がかからない(※加入者から見て負担なし。口座管理手数料は会社負担) 運用益は非課税 iDeCoとの比較: iDeCoは掛け金が全額所得控除になるため節税効果は大きいです。ただし、証券会社を問わず全員が国民年金基金連合会(月105円)と事務委託先金融機関(月66円)に合計月171円を支払います。SBI証券・楽天証券などの主要ネット証券は運営管理手数料を無料にしていますが、この月171円は免除されません。企業DCは会社が手数料を全額負担するためゼロとなり、iDeCoとの明確な差になっています。 NISAとの比較: NISAは非課税で投資できる制度ですが、掛け金は自分で出します。生活費に余裕がないうちはNISAより生活費の安定を優先した方がいいでしょう。 制度自己負担手数料節税企業DCゼロ(会社が全額拠出)なし(会社負担)運用益非課税iDeCo自分で拠出最低月171円(全員共通)+証券会社によっては運営管理手数料掛金所得控除+運用益非課税NISA自分で拠出なし運用益非課税 企業DCは「自分のお金を使わずに老後資金が積み上がる」数少ない仕組みです。これを使わない手はありません。 まず確認してほしいこと 会社員であれば、今すぐ以下を確認してみてください。確認自体は10分もかかりません。 ...

2026年4月24日 · HIKO

毎月分配型投信17本、10年後の結末|35%が償還で消滅していた

年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」を30代のリアル目線で発信しています。今回は、2015年に旧NISAで買って2年後に全部解約した毎月分配型投信17本が、解約から10年経った今どうなっているのかを一本ずつ追跡した話です。 先にこの記事の立ち位置を書いておきます。 2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめ買いして、2017年に全解約し▲25万円を確定した話は、先に公開したこちらの記事で全貌を書きました。 → 旧NISAで毎月分配型投信に16本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」 今回の記事は、その続編というか、「自分が解約したあとの17本の行方」を2026年4月時点で全部追いかけた、という内容です。 なぜ今さら調べたかというと、「もしあのとき解約せずにホールドしていたら、今どうなっていたんだろう」という素朴な疑問があったからです。10年ってそれなりの期間で、当時20代だった僕が30代になる時間幅です。ファンドの運命もそれなりに動いていました。 先に結論だけ書きます。 17本中、6本はすでに償還済み(=運用終了・強制現金化) 17本中、10本は2026年4月現在も運用継続中 17本中、1本は同名で追跡できず(リネームor統合の可能性) 率にすると 17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」 という結果でした。 **「買った投信そのものが消える」**というのが、毎月分配型の地味だけど一番重い構造リスクだと今は思っています。以下、1本ずつ見ていきます。 17本の10年後マップ(2026年4月時点) 先にサマリを1枚で見せます。 毎月分配型投信17本 10年後のステータス(本数) 6本 償還済 10本 運用継続中 1本 追跡不能 2026年4月時点、各運用会社の公式サイト・目論見書・運用報告書で確認。ステータス判定は運用継続/繰上償還/満期償還/同名ファンド確認不可の4区分。 17本中6本(35%)が10年以内に消滅=「3本に1本は強制終了」。これが、10年追いかけてみて一番インパクトが大きかった数字です。 たとえば償還済みの1本「アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型)」は、当時の運用会社(国際投信投資顧問、現:三菱UFJアセットマネジメント)が発行した臨時報告書・繰上償還のお知らせPDFで、2020年8月11日に純資産総額の減少を理由に繰上償還と確認しました。このように「どの会社のどの書類で確認したか」を1本ずつ突き合わせていく作業です。 株と違って、投信の「償還」は自分の意思と関係なく訪れます。運用会社が「このファンドはもう維持できない」と判断したら、持っているかどうかに関わらず運用終了=基準価額で強制現金化されます。損切りタイミングすら自分で選べないということです。 ① すでに償還済み(6本) まず、消えていった6本から。 1. グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型) 2024年12月17日、満期償還 設定日から運用期間を決め打ちしている「償還日設定型」で、満期まで持って終了したタイプ 僕がこの記事の前編で「ワースト2位 ▲62,235円」とした張本人です。三階建てREITの典型で、通貨選択・オプションを重ねた商品設計でした。満期日が決まっていたおかげで、持ち続けた人も「いつ終わるか」は見えていた分、繰上償還よりは筋が通った終わり方だったと思います。 2. 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース 2017年12月22日、償還 僕が解約した2017年7月から、わずか5ヶ月後です。同じコースの「円コース」も同日に償還されています。 ブラジルレアルが長期下落トレンドに入っていた時期で、分配金利回りを演出するために通貨ベットを乗せる商品は、通貨が崩れた時点で存在意義を失います。購入者としては「買って2年半で投信そのものが消えた」というレア体験。もし解約していなかったら、強制現金化で損失が確定していた形です。 3. アジア・エクイティ・インカム・ツインα(毎月分配型) 2020年8月11日、繰上償還 こちらは「繰上償還」なので、当初の運用予定期間より前倒しで終了したタイプ 僕が前編で「ワースト4位 ▲23,526円」としていたファンドです。高配当アジア株にオプションプレミアム戦略(ツインα)を乗せるという、これも凝った商品。繰上償還に至った背景は運用報告書を読む限り、純資産総額が維持ラインを下回ったためと推察できます。 繰上償還の怖さは、投資家が「もう少し待てば回復するかも」と思っていても、運用会社が見切りをつけると問答無用で終わらせられることです。 4. ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) 2021年9月28日、償還 ブラジルレアル系がこれで2本目の退場。2015〜2020年代前半にかけてブラジル関連ファンドはかなりの数が償還されていて、このファンドもその一つでした。 5. 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル) 2025年8月15日、満期償還 設定当初からの償還日設定型で、10年ほど運用して満期を迎えた形。ただし「トリプルエンジン」というネーミングの通り、米国REIT × 通貨選択(レアル)× 何らかのブースト戦略、の三階建てで、満期まで持った投資家の手元にどれだけ残ったかは想像したくないタイプです。 ...

2026年4月23日 · HIKO

旧NISA 10年で配当90万円を実現した銘柄構成と年次推移【楽天証券CSVを元に集計】

2015年から2024年までの10年間、旧NISA口座で受け取った配当金の税引後合計を確定させました。楽天証券から出力した配当CSV(dividendlist_20260422/実際の取引履歴ベースの一次データ)で集計した結果、904,551円。ほぼ90万円。この記事では年次推移と銘柄別の貢献度、そして10年分のCSVから読み取れた教訓をまとめます。 ※この記事はこんな人向けです 新NISAをこれから始めるか迷っている 高配当投資に興味がある 実際の配当実績を見て判断したい 1つでも当てはまる方は、そのまま読み進めてください。 税引後10年合計:904,551円 旧NISAでの配当金は非課税です。同じ配当を特定口座で受け取ると、約20.315%の税金が引かれます。 つまり旧NISAでなければ、約90万円の手取りが約72万円まで減っていたということ。この差額18万円が、非課税制度を10年間使い倒した成果です。 まず年次推移を見てください。 注記:毎月分配型ファンドについて 本記事の集計には毎月分配型ファンドの分配金も含まれています。ただし毎月分配型ファンドは、タコ足分配・基準価額の長期下落など、10年間保有してみて反省点が多かった商品です。本記事では配当実績の事実だけを淡々と載せていますが、「なぜ選んでしまったか/何を学んだか」は別記事で改めて振り返る予定です。毎月分配型ファンドを今から買おうか迷っている方は、その記事が出るまで判断を保留していただくことをおすすめします。 旧NISA口座 年次配当金(税引後・円) 111408円 2015 149258円 2016 82283円 2017 70452円 2018 67903円 2019 61503円 2020 37867円 2021 64553円 2022 118477円 2023 140846円 2024 楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)より集計。旧NISA口座のみ/税引後実額/個別株・毎月分配型ファンド・ETF分配金を含む/USD建は140円/USD概算換算。 10年の山谷が見て取れます。結論として、配当は一直線では増えません。 2015〜2016年:NISA枠を目いっぱい使った直後で高配当銘柄の受取額がピーク 2017〜2021年:ファンドの分配見直し・銘柄入れ替えで一時的に凹む 2022年以降:ETFと毎月分配型ファンドの立ち上がりで再加速 2024年:140,846円で10年中2番目のピーク この推移を見るとわかる通り、配当は急に増えるものではありません。 ただし、積み上げていくと 👉「何もしなくても毎年10万円以上入ってくる状態」には到達します。 購入タイミング別:10年分の口座設計 旧NISAの年間非課税枠は2014〜2015年が100万円、2016〜2023年が120万円でした。僕はこの枠を毎年ほぼ使い切る形で積み上げています。 年ごとの購入方針はシリーズ記事にまとめているので、詳細はそちらで。 旧NISA 2015年:始めての個別株で学んだこと 旧NISA 2016年:銘柄分散を意識し始めた年 旧NISA 2018年:買い増しと銘柄入れ替えの試行錯誤 旧NISA 2021年:最終年・VYM集中のラストスパート シリーズを全部通して読むと、配当金の年次推移が「なぜそうなったか」がわかるようになっています。 ...

2026年4月23日 · HIKO

旧NISAで毎月分配型投信に16本も手を出した失敗談|2015年の私が陥った「毎月おこづかい幻想」

年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)。保険業界で10年働いたあと、今はIT企業で会社員をしています。旧NISAの10年を振り返るといろいろ失敗していますが、今回はその中でも一番の「黒歴史」、毎月分配型投信を一気に16本以上買ってしまった話をします。遠回りしたからこそ言える「やらなくていい失敗」の実例として読んでもらえたら嬉しいです。 結論を先に書きます。 2015年に旧NISAで毎月分配型投信を17本まとめて買い、2年間保有した結果、 投入元本:1,029,926円 解約で戻ってきた金額:778,933円 受取分配金(税引後・2年強の累計):約29,640円 実質の損益:約▲221,000円(非課税枠103万円を使って約22万円失った) という、旧NISAで一番やってはいけない使い方をやり切ったのが僕です。以下、楽天証券の取引履歴CSVから全17本分の確定損益を洗い出して振り返ります。 2015年、僕は毎月分配型投信を16本買った 今振り返ると、自分でも意味がわかりません。 2015年、旧NISAを始めた直後の僕は、毎月分配型の投資信託を16本以上、同時に旧NISA口座で買っていました。正確に数え直すと17本あります。金額としては枠100万円のうちの大半(約103万円)をそれに充てていました。 楽天証券の取引履歴CSV(adjusthistory(JP)_20260423)で確認した、購入したファンドのフルラインナップがこちらです。 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型) 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型 日本株ハイインカム(毎月分配型)ブラジルレアルコース 日本株ハイインカム(毎月分配型)円コース 好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース(トリプルストラテジー) ニッセイブラジル高配当株ファンド(毎月決算型) ニッセイ パトナム・毎月分配インカムオープン アジア・エクイティ・インカム・ツインα・ファンド(毎月分配型) MHAMトリニティオープン(毎月決算型)(ファンド3兄弟) T&D 世界優良株ファンド(毎月決算型)(プライムコレクション) 国際オーストラリア債券オープン(毎月決算型) 明治安田日本債券ファンド(ホワイトウィング) 三井住友・げんきシニアライフ・オープン グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(健次) ニッセイ 健康応援ファンド DIAM DLIBJ公社債オープン(中期コース) ……改めて書き出すと、完全に「毎月分配型投信の闇セット」です。ブラジルレアル、トルコリラ的通貨選択、トリプルエンジン、ファンド3兄弟。ひと昔前の『毎月おこづかい系投信』の典型が全部入っています。 これを、よりにもよって非課税の旧NISA枠を使って買っていました。ここが一番の失敗です。 なぜ毎月分配型を買ってしまったのか 2015年当時、僕が毎月分配型に惹かれた理由は、今思えばシンプルでした。 「毎月お金が振り込まれる」という響きに弱かった 分配金利回り10%超の表記を見て『NISAで非課税なら最強じゃん』と思った 銀行や証券会社の売れ筋ランキング上位だった 商品名がカッコいい(トリプルエンジン、ツインα、ファンド3兄弟) ほぼ完全に、見た目と響きだけで選んでいました。 20代の僕は、投資を「毎月の副収入」のように考えていました。給料とは別に毎月1万円、2万円が振り込まれる口座がある、という絵を本気で描いていた。お金の本を何冊か読んでいたはずなのに、「毎月分配型は元本取り崩し」という最重要の注意点が、なぜかスポッと抜け落ちていました。 2年保有した結果:受取累計は約29,640円 実際どうだったか。楽天証券のCSVで、2015年5月から2017年7月までの分配金受取額を年次で集計するとこうなります。 旧NISA 毎月分配型投信の年次受取額(円・税引後) 11921円 2015年 15456円 2016年 2263円 2017年 楽天証券 配当CSV(dividendlist_20260422)より/旧NISA口座 投資信託カテゴリのみ集計/受取金額ベース(特別分配金=元本払戻は含まない) 3年分合わせて、受取累計は約29,640円。 ...

2026年4月23日 · HIKO

牧野フライス買収中止勧告の衝撃——中国・米国が通した案件を日本が止めた意味【30代の投資視点】

今朝のニュースにちょっと手が止まった 2026年4月23日朝、ニュースの見出しを見て思わずスクロールする手が止まりました。 牧野フライス、政府がMBKによる買収中止を勧告 軍事転用を懸念 工作機械大手の**牧野フライス製作所(6135)**に対して、日本政府が外為法に基づき、アジア系投資ファンド(ソウル拠点、韓国系創業者)MBKパートナーズへの買収中止を勧告した——というニュースです(日本経済新聞ほか各紙報道)。 年収300万円代から資産形成をスタートした30代会社員のHIKOです。投資歴は11年(2015年NISAスタート)、保険業界10年→IT企業に転職した現役会社員。最初に買ったコナカ(7494)はいまも塩漬け保有継続中、2018年に買った青山商事は最大31万円の含み損を抱えて撤退したクチです。そんな「やらなくていい失敗」を一通り踏んできた目線で、今日はM&Aの世界で起きた「普通じゃない事件」を、辛口に、そして少し引いた視点で読み解いてみます。 結論から言うと、このニュースは牧野フライス株の短期トレードの話では終わりません。日本の上場企業M&A全体の景色を変える可能性がある一件だと受け止めています。 まず、今回の勧告の中身を整理する 情報が錯綜しやすい案件なので、事実関係をコンパクトに並べます。 項目内容勧告日2026年4月22日付発表日2026年4月23日勧告先MBKパートナーズ(アジア系投資ファンド/ソウル拠点、韓国系創業者)根拠外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく中止勧告理由牧野フライス製品が「軍事転用の可能性が高い機微な貨物」で、国内防衛装備品製造事業者に広く利用されているMBK判断期限5月上旬(勧告から10日以内に受諾/拒否を決定)中国・米国の審査2026年1月にすでに通過済みTOB開始予定2026年6月下旬(延期決定済み) 出典:日本経済新聞 2026年4月23日朝刊報道、牧野フライス製作所/MBKパートナーズ両社プレスリリース ポイントは3つ。 外為法に基づく中止勧告は極めて異例(近年で数えるほど) 中国と米国はすでにOKを出していた(最後に日本だけが止めた) MBK側の詳細な公式コメントは本稿執筆時点で確認できていない この案件、そもそもの発端はニデックだった この話、実は2024年末から続いている長い物語の続編です。時系列を整理します。 2024年12月27日:ニデック(旧日本電産)が牧野フライスに対するTOB開始を予告 2025年1月10日:牧野フライスが特別委員会を設置(対応体制の構築) 2025年3月19日:牧野フライスが買収対応方針(時間確保措置)を導入 2025年4月3日:ニデックが**同意なき買収(敵対的TOB相当)**としてTOBを開始 2025年5月9日:ニデックがTOBを撤回 2025年5月27日:牧野フライスがホワイトナイト候補から法的拘束力のある提案を受領 2025年6月3日:MMホールディングス合同会社(MBKパートナーズ系SPC)がTOB開始を予定として公表 2026年1月:中国・米国の競争法審査を通過(各紙報道) 2026年4月22日:日本政府が外為法でMBKに中止勧告 2026年4月23日:両社が勧告を発表 ※2024年12月〜2026年4月の日付は、牧野フライス製作所IRアーカイブで公表された発表日に基づく。 つまり、もともとはニデックから身を守るためにMBKを味方につけた構図で、ほぼゴールが見えていたところで最後の最後に日本政府が止めたわけです。 辛口視点①:判断が遅すぎないか ここから少し批判的に書きます。 **最初に言っておきたいのは、「判断そのものは理解できるが、タイミングが遅すぎる」**ということです。 2025年6月3日:MMホールディングス(MBK系SPC)がTOB開始を公表 2026年1月:中国・米国の審査通過(各紙報道) 2026年4月22日:日本が中止勧告 約10ヶ月間、日本の審査は「継続中」のまま引き延ばされました。その間、MBKは資金調達・契約準備・海外当局対応に膨大なコストをかけているはずです。関係者の時間も、弁護士費用も、機会費用も、すべて一度積み上がった上での「中止しろ」。 もし本当に「工作機械は軍事転用の機微な貨物で看過できない」なら、ニデックが敵対的買収を仕掛けてきた2024年末〜2025年春の時点で、経済安保の観点から議論すべきテーマだったはずです。少なくともMBKのTOB公表直後、2025年夏の段階で懸念を表明するチャンスはあった。 「MBKの資本構成を精査する時間が必要だった」という建前は理解します。ただ、10ヶ月もかけて最後の最後に止めるのは制度の運用として未成熟です。米国CFIUSはもっと早い段階でコミュニケーションを取ります。企業側が「これは通らない」と早期に読めるよう、手続きの透明性を確保するのが本来のあり方でしょう。 辛口視点②:「アジア系投資ファンド」という表現の重さ 各紙の記事で気になる表現があります。「アジア系投資ファンドのMBKパートナーズ」。 MBKパートナーズはソウルに本拠を置き、韓国系の創業者が率いる北東アジア最大級のPEファンドで、LP(資金の出し手)には欧米・中東・アジアの機関投資家・年金基金が含まれるとされています(資本構成は非開示部分が多い)。 「アジア系」という曖昧な表現の奥に、日本政府が名指しを避けたい具体的な懸念があることは想像に難くありません。MBK側の詳細な公式コメントは本稿執筆時点で確認できていませんが、真の懸念対象が誰なのかは最後まで公式には語られないまま、MBKが矢面に立たされた格好です。 ここに、経済安保を巡る日本の交渉カードの弱さがにじんでいます。米国なら「中国資本が○%含まれる」と具体的に踏み込みますが、日本は具体性を避け、外為法という抽象的な一撃でM&Aを止める。制度としての曖昧さは、投資家にとっても事業家にとっても予見可能性が低く、日本市場への投資意欲を冷やす方向に働きます。 これは短期的には「国を守った」話に見えても、中長期では海外マネーの流入を細らせる可能性がある判断です。 俯瞰視点①:世界で進む「経済安保M&A審査」の潮流 ここから少し引いた視点で整理します。 今回の中止勧告は、日本単独の出来事ではなく、世界的な大きな流れの中の一コマです。 米国CFIUS 米国では**対米外国投資委員会(CFIUS)**が、外国資本による米国企業買収を安全保障の観点から審査しています。ここ10年で審査対象は急拡大し、半導体・AI・バイオ・レアアースなど戦略産業に広がりました。トランプ政権下で強化され、バイデン政権でも継続、現政権でも権限は維持されています。 欧州 EUも外資規制スクリーニング規則を2020年に施行。ドイツ・フランス・イタリアは個別に外為規制を強化し、中国資本によるハイテク企業買収を次々にブロックしています。 日本の「日本版CFIUS」構想 日本でも、2026年通常国会に向けて「日本版CFIUS」創設の議論が進んでいると報じられています。省庁横断で外資M&Aを審査する独立機関を整備する構想で、今回の牧野フライス案件は、**この新体制を巡る議論が進むさなかに打たれた「強い一撃」**と見るべきです。 今後、外資による日本企業買収は、半導体・工作機械・素材・防衛関連・データセンター・通信インフラといった分野で、従来より圧倒的に厳しく審査されるのは間違いありません。 俯瞰視点②:工作機械は「戦略物資」である 工作機械、特に牧野フライスが強いマシニングセンタ・放電加工機は、**精密部品を削り出すための"母なる機械"**です。 航空機エンジンのタービンブレード ミサイルの誘導部品 潜水艦のスクリューシャフト 半導体製造装置の精密部品 EVモーターコアの金型 これらはすべて高精度工作機械なしには作れません。牧野フライスは、この分野で世界トップクラスの技術を持つ日本メーカーです。 国際的には、工作機械の輸出はワッセナー・アレンジメント(軍事転用可能技術の輸出管理国際枠組み)の対象です。つまり「工作機械が軍事転用される」というのは、今回初めて出てきた論点ではなく、数十年前から続く国際的な共通認識です。 その意味で、今回の政府判断は「突然出てきた」というより、国際標準の考え方を国内のM&A審査にきちんと適用したと評価できます。これは批判視点①で書いた「遅すぎる」という批判とは別軸で、制度運用として正しい方向に進んだとも言えます。 俯瞰視点③:PEファンド時代の終焉か? ここが今回一番インパクトの大きいテーマだと思っています。 2010年代後半から、日本企業の非公開化・事業承継をPEファンドが大規模に引き受ける時代が続いてきました。ベインキャピタル、KKR、カーライル、そしてMBK——これらのファンドは日本の上場企業を買い集め、ガバナンス改革→事業売却/再上場で利益を上げるモデルを確立してきました。 しかし、経済安保という軸が重ねられた瞬間、このモデルは大きく揺らぎます。 ...

2026年4月23日 · HIKO

オルカンに1.4兆円流入、前年の1.5倍。2つの視点で読み解く【30代の資産形成】

オルカン、買いの勢いが止まらない 2026年4月、日経新聞が興味深い数字を報じました。 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称「オルカン」への純流入額が、年初から4月17日までで1兆4,169億円。前年同期比で約1.5倍のペースになっているといいます(出典:日本経済新聞 2026年4月22日朝刊、調査元:三菱アセット・ブレインズ)。 新NISAが始まって3年目。制度への慣れも進み、「積立は長期で」という考え方が個人投資家に定着してきた——というのが記事の趣旨です。 オルカン年初〜4月17日時点の純流入額(億円) 9446億円 前年同期 14169億円 今年 前年比約1.5倍のペース。日本の家計資産が構造的に動き始めている この数字、素直に「すごいな」と思う一方で、少し立ち止まって考えてみたくなりました。 そこで今回は、辛口の懐疑視点と、俯瞰の構造視点の2つで、このオルカンブームを読み解いてみます。 視点① 辛口に見る:「みんなが買っている時」が一番怖い まずは、群集心理を疑うリアリストの視点から。 「みんながやっているから安心」ほど投資で危ない発想はない、という切り口でこのニュースを見てみます。 ① 1.4兆円の「出口」を考えたことがあるか 年初からたった3ヶ月半で1.4兆円。日本人の個人金融資産の一部が、1本の投資信託に集中的に流れ込んでいるということです。 積立は長期前提なので、普段は気にならない。でも、リーマンショック級の暴落が来たときに、この「国民的ファンド」がどう動くか。 基準価額が半値近くまで下がる 積立を止める人、解約する人が出始める 解約に応じるために運用会社は組入銘柄を売る 相場の下げをさらに加速させる ——という負の連鎖は、理屈の上では確実に起こりえます。 みんなが「長期だから大丈夫」と言っているときほど、長期で持ち切れない人が多い——これが歴史の教訓です。 ② オルカンは実質「米国株ファンド」である オルカンの中身を見たことがありますか? 国別比率はアメリカが約60%前後。残りを日本、イギリス、フランス、中国などが数%ずつ分け合っている構造です。 「全世界分散」と聞くと均等に分散されているようなイメージを持ちますが、時価総額加重なので実質アメリカ集中です。トランプ政権2期目の関税政策、AI関連株の過熱感、ドル円の変動——これらを全部引き受けているのがオルカンです。 「世界に分散してるから安心」と思っている人は、自分がアメリカに6割張っていることを自覚しているか。 耳が痛いですが、正しい問いです。 ③ 「思考停止の積立」は、投資ではなく信仰 新NISAで積立を始めた人の中には、「インフルエンサーが勧めていたから」「オルカンが正解と聞いたから」というだけで買っている人も少なくない。 これ自体は悪いことではありません。行動しないよりは、はるかにいい。 ただ、自分が何に、どれくらい、なぜ投資しているのかを説明できないまま続けるのは、投資ではなく信仰です。暴落が来たときに信仰は簡単に折れます。 視点② 俯瞰で見る:日本の「お金の文化」が変わる瞬間 一方で、もっと引いた時間軸・社会構造の視点から見ると、同じニュースはまったく違う顔を見せます。 ① 「貯蓄から投資へ」のスローガンが、やっと現実になった 1990年代から30年以上、政府・金融庁は「貯蓄から投資へ」と言い続けてきました。でも、ほとんどの日本人は動かなかった。定期預金と保険と住宅ローン——それが家計の標準でした。 ところが新NISAとオルカンの登場で、日本人が初めて「世界の株式市場」を生活の一部にし始めている。この1.4兆円は、単なる投信への資金流入ではなく、日本の家計資産が海外資産に構造的にシフトする最初の波だと見るべきです。 これは金融史というより、生活史の転換点です。 ② SNS時代の「集合知」としてのオルカン なぜオルカンだったのか。なぜひふみ投信でも、テーマ型ファンドでもなかったのか。 答えはシンプルで、SNS・YouTube・ブログで個人投資家が議論し続けた結果、「低コスト・全世界分散・長期積立」という解が合意形成されたから。 インデックス投資の思想、低コストファンドの登場、個人ブロガーの10年以上にわたる発信——それらが積み上がった議論が、新NISAというインフラと合流して、1本のファンドに結晶化した。 これはマスメディアの啓蒙ではなく、個人発信の積み重ねが動かした現象と言えます。情報の民主化が金融商品の売れ筋を決めた、稀有な例です。 ③ 「長期で持つ」は、思想であってテクニックではない 視点①では「思考停止の積立は危うい」でした。視点②はこれを逆から照らします。 長期で持てる人は、相場の上下ではなく、自分の人生の時間軸で投資している人。 ...

2026年4月22日 · HIKO

クラウドクレジットで381万円・309本に投資した結果【30代の実体験・実績利回り年3.12%】

📢 【お知らせ】クラウドクレジットは2024年4月1日付でバンカーズに統合されました 運営会社が株式会社バンカーズに移管され、「CROWD CREDIT」プラットフォームのサービス名・サービス内容自体に変更はありません。投資家側の手続きも不要です。本記事は旧クラウドクレジット時代の投資を、現バンカーズのマイページで確認した実数字で振り返ったものです。 → 株式会社バンカーズ・ホールディング プレスリリース(2024年2月22日) 381万円・309本に投資して、実績利回りは年3.12%でした クラウドクレジット(現バンカーズ)に投資していました。 数字を先に出します。マイページの「償還済みファンド」を全件合計した実数字です。 出資総額:¥3,810,000(全309本) 償還済み損益:+¥167,939 運用中(遅延)残高:¥73,280(7本・すべて遅延) 平均当初予定利回り:年8.93% 平均実績利回り:年3.12% ソーシャルレンディング309本の予定利回り vs 実績(%) 8.93% 当初予定 3.12% 実績 予定の約3分の1。高利回りは『夢』に近い数字だった 数字だけ見ればかろうじてプラス。でも、予定利回りの3分の1強しか取れていません。そして遅延中の7本(¥73,280)は全損すれば最終損益は+¥94,659まで縮みます。 9年近くお金を預けた結果としては、ほぼトントンが現実です。 この記事は、そのリアルな実体験を正直に書いたものです。 私のプロフィール(投資開始当時) 30代前半・都内会社員 手取り月35万円前後 家賃:港区1K・16万円 毎月の余裕:3〜4万円 ファンド選びの基準:ほぼ「当初予定利回り年10%以上」のものを優先 「普通に貯金しても増えない。どうせやるなら二桁利回りだ」——そう思って探し始めたのがきっかけです。 実際、309本のうち115本(約37%)が予定利回り10%超のファンドでした。今振り返ると、この「10%縛り」こそが一番のリスク源でした。 クラウドクレジットとは? クラウドクレジットは、海外の中小企業や個人への融資を仲介するソーシャルレンディングサービスです。 投資家がお金を出して、海外の借り手に貸し付ける 利息収入を投資家に還元する仕組み 当時の募集ファンドは予定利回り年10〜13.5%(私の投資範囲) 当時の私には「低リスクで高利回り」に見えました。でも、それはリスクを正しく理解していなかっただけでした。 そしてもう一つ、投資を後押ししたのが創業者の存在です。当時のクラウドクレジット創業者はとても聡明な方で、インタビュー記事や登壇資料を読むたびに「この人が作ったサービスなら信頼できる」と感じました。さらに、自分のお金が途上国の中小企業や個人の資金需要につながる——利回りを取りながら社会貢献にもなる、という建て付けに強く共感したのも事実です。投資を始めた動機としては、利回りと同じくらい、この「世界のどこかの役に立てる」という感覚が大きかったと思います。 実績サマリ(マイページ実数字) 項目数値投資した本数309本出資総額¥3,810,000償還済み損益+¥167,939運用中(遅延)残高¥73,280(7本)平均当初予定利回り年8.93%平均実績利回り年3.12%利益で終わったファンド227本(73.5%)赤字で終わったファンド82本(26.5%) 4本に1本は赤字で終わっています。かろうじてプラスなのは「当たった案件」の上振れが「外れた案件」の下振れをぎりぎり上回っただけ。仕組みとして安全だったわけではありません。 儲かったファンド:大当たりは「タンザニアシリング建て」 全体はぎりぎりプラスですが、個別に見るとはっきり勝っていた案件もあります。予想外に刺さったのはタンザニアシリング建て 東アフリカ金融事業者支援ファンドです。 ファンド出資額当初予定実績利回り損益東アフリカ金融11号¥50,00012.4%25.75%+¥26,389東アフリカ金融12号¥20,00012.5%27.25%+¥11,546東アフリカ金融16号¥20,00012.3%26.73%+¥11,172東アフリカ金融18号¥20,00012.2%25.36%+¥10,633東アフリカ金融15号¥20,00012.4%23.9%+¥9,918 予定利回り12%台のものが実績20%台後半まで伸びた形です。これは金利に加えてタンザニアシリング対円の為替差益が効いた結果でした。 メキシコペソ建て(中部メキシコ中小企業向けローンファンド4号:予定11.5%→実績40.34%)なども同じパターンで、新興国通貨が対円で強含んだ時期の円安恩恵が大きかったです。 ただし、後述するように、これは単に為替が追い風だっただけです。逆に吹けば、同じ仕組みで同じだけ損します。 負けたファンド:確定損失の実例 一方で、しっかり元本を削られた案件も多数あります。 全損(▲100%) ラスベガス商業施設再開発事業者支援ファンド1号:¥10,000出資 → ▲¥10,000(全損) 「米国不動産だから安全そう」というイメージだけで買ったのが正直なところです。結果は元本ゼロで運用終了。 ...

2026年4月21日 · HIKO

ノジマが好調、日立の家電部門を買収。ノジマ株に投資するのはアリ?【30代の投資視点】

ノジマが日立の家電部門を買収する 2026年4月、ちょっと驚くニュースが飛び込んできました。 家電量販のノジマ(7419)が、日立の白物家電事業「日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)」を100億円超で買収する——日経の報道です。 サムスン・LGといった海外勢も関心を示していたと言われる案件を、日本の小売業であるノジマが取りに行った。これだけでも普通のM&Aではありません。 ノジマといえば、神奈川県相模原発祥の家電量販チェーン。正直に言って、私は昔から「ノジマって感じがいい店だな」と思っていました。 結論を先に言うと、ノジマは好きな会社です。でも、今すぐ株を買うかと言われると——買いません。 理由は記事の最後に書きます。 ノジマの業績がとにかく好調 まず、なぜこの買収が実現できたのか。ノジマの最近の業績を見ると納得できます。 直近5年の売上・利益 決算期売上高営業利益純利益2021/35,233億円338億円528億円2022/35,650億円332億円259億円2023/36,262億円336億円233億円2024/37,613億円306億円200億円2025/38,534億円484億円323億円 (出典:IR BANK ノジマ業績) ノジマ 直近5年の売上高推移(億円) 5233億円 2021/3 5650億円 2022/3 6262億円 2023/3 7613億円 2024/3 8534億円 2025/3 4年間で売上+63%。M&A余力を生んでいる絶好調の業績 2025年3月期は、売上も利益もはっきり過去最高水準。営業利益は前期比+58%という、家電量販では異例の伸び。 EPSは111.66円、自己資本比率は32.4%。借入は一定程度あるものの、キャッシュを生む力がしっかりしている会社です。 なぜノジマは好調なのか 家電量販業界は決してラクな業界ではありません。ヤマダ・ビックカメラ・ケーズ——どこも価格競争が厳しい。 そんな中でノジマが伸びている背景は、ざっくり3つだと見ています。 ① 通信(ドコモショップ・ソフトバンク代理店)事業 ノジマはMVNOや通信キャリア代理店事業を抱えています。家電小売よりも利益率が高く、収益の柱のひとつになっている。 ② 投資有価証券からの受取配当 過去の決算を見ると、経常利益が営業利益を大きく上回る年があります。保有株式からの配当収益が、本業を下支えしている構造です。 ③ 小商圏・接客重視のビジネスモデル ノジマは「メーカー販売員を店舗に置かない」独自路線。自社スタッフが中立的に商品を提案するので、顧客満足度が高い。ここはノジマの一貫した強みです。 日立GLS買収のインパクト 今回の買収は、ノジマにとって「小売から一段上に行く」挑戦です。 バリューチェーンの上流化 これまでのノジマは、メーカーから仕入れて売る「小売業」でした。 日立GLSを手に入れると、冷蔵庫・洗濯機・掃除機を自社で企画・製造できるようになります。つまり小売+メーカーのハイブリッド化。 想定されるシナジー 自社PB家電を、自社店舗で優先的に販売 メーカー価格競争に巻き込まれない独自商品ライン 「日立」ブランドの保持(報道ベースでは継続使用が前提) 当然あるリスク 100億円超ののれん負担——減損リスクは常につきまとう PMI(経営統合)の難しさ——小売とメーカーは組織文化が違う 国内白物家電市場そのものが縮小傾向——人口減・買い替えサイクル長期化 海外メーカー(サムスン・LG・ハイアール)との競合は激化中 好調企業が100億円規模のM&Aに踏み込むのは、当たれば大きいが外すと痛い。典型的な攻めの投資です。 ...

2026年4月21日 · HIKO

【旧NISA失敗シリーズ⑦】2021年に買った株|JTで+37万円、高配当株に路線転換して変わったこと

旧NISAで個別株投資をした10年間を購入年ごとに振り返るシリーズ。⑦最終回は2021年、路線転換して変わったことの話です。 2021年、ようやく方針が変わった 2020年のコロナショックで大量の含み損を抱え、パニック売りを経験した私は、ここで一度立ち止まりました。 2015〜2020年の6年間の個別株投資で、自分が犯してきたミスのパターンが見えてきたからです。 買える金額で銘柄を選んでいた 売る基準を持たずに感情で売っていた 業界分析をせずに「なんとなく」で選んでいた 7年目となる2021年からは、選び方を変えることにしました。キーワードは「高配当・大型株・長期保有」です。 2021年に買った5銘柄 銘柄購入単価投資額損益日本たばこ産業(JT)2,051円205,100円+376,930円ソフトバンク1,365円136,500円+129,600円日本郵政849円84,990円+88,760円三菱UFJ470円47,000円+11,900円ジェクシード313円192,690円−96,390円 2021年 高配当路線の損益(円) ¥376930 JT ¥129600 ソフトバンク ¥88760 日本郵政 ¥11900 三菱UFJ ¥-96390 ジェクシード 財務と配当に基づいた銘柄選定に切り替えて、ようやく利益が安定した年 JTで+376,930円の成果 日本たばこ産業(JT)は、2021年1月に2,051円で100株購入しました。 選んだ理由は明確でした。 配当利回りが6〜7%と非常に高い 海外たばこ事業で安定したキャッシュフロー 株主還元への姿勢が明確 「買える金額だから」ではなく、財務と配当の安定性を確認して選んだ初めての銘柄でした。 その後、JTの株価は上昇。2025年10月に5,000円で売却しました。 項目金額購入額205,100円売却額500,030円配当合計82,000円損益+376,930円 4年間の保有で約2.4倍。配当だけで8万円を受け取り、売却益も29万円以上。これが「長期・高配当」投資の威力です。 ソフトバンク・日本郵政も長期保有で成果 ソフトバンク(通信)と日本郵政も同様に、高配当・安定事業という基準で選びました。 どちらも4〜5年保有し続け、2025年に売却。 銘柄損益ソフトバンク+129,600円日本郵政+88,760円 配当を受け取りながら株価上昇も享受できた、理想的な結果でした。 唯一の失敗:ジェクシード −96,390円 2021年にも1銘柄だけ失敗があります。ジェクシード(小型株)で−96,390円の損失を出しました。 この銘柄だけは、旧来の「買える金額で選ぶ」パターンに戻ってしまいました。小型株・低単価・業績確認なし。案の定、株価は低迷し2024年に損切り。 方針を変えても、一部で旧来の癖が出てしまったことが反省点です。 旧NISA個別株10年間の総括 2015年から2021年の7年間、個別株投資を続けてきました。最後に全体を振り返ります。 旧NISA 配当金累計:約90万円(2015〜2024年の税引後実額) 年配当金(税引後)2015年111,408円2016年149,258円2017年82,283円2018年70,452円2019年67,903円2020年61,503円2021年37,867円2022年64,553円2023年118,477円2024年140,846円累計(2015〜2024)904,551円 旧NISA 配当金の年次推移(円・税引後) ¥111408 2015 ¥149258 2016 ¥82283 2017 ¥70452 2018 ¥67903 2019 ¥61503 2020 ¥37867 2021 ¥64553 2022 ¥118477 2023 ¥140846 2024 個別株+毎月分配型ファンド+ETFの合計。高配当路線への転換後、2023年以降は再び増加基調 最大の失敗:青山商事 −310,960円 最大の成功:JT +376,930円 ...

2026年4月20日 · HIKO