賃貸保険の個人賠償を見直したら、補償が手薄だった話【1,000万→1億に乗り換え】

保険業界に10年いたあとIT企業に転職した私(FP2級)が、自分の賃貸保険を点検したら、肝心の個人賠償責任の補償がかなり手薄になっていました。 平成時代を生きた30代・川崎市で夫婦二人暮らしのHIKOです。今日、長く入りっぱなしだった賃貸保険を別の会社へ乗り換えました。きっかけは「個人賠償、自分はてっきりどこかでカバーされていると思っていた」という、よくある思い込みです。 この記事は特定の保険商品を推奨するものではなく、私個人が自分の契約をどう点検して、どう判断したかの記録です。最終的な契約判断はご自身の状況に合わせて行ってください。 賃貸保険の個人賠償が「合算1,000万円」だと気づいた これまで私が入っていたのは、チューリッヒ少額短期保険の「ミニケア賃貸保険」でした。年3,610円。賃貸契約のときに不動産屋経由ではなく自分で選んで入った、わりと意識して選んだつもりの契約です。 中身を改めて見ると、こうなっていました。 補償金額家財100万円借家人賠償(大家さんへの賠償)1,000万円個人賠償(他人・他人のモノへの賠償)1,000万円修理費用100万円 一見、悪くないように見えます。問題は個人賠償の「1,000万円」の中身でした。 この契約の個人賠償は、借家人賠償と合算で1,000万円が上限という構造だったのです。つまり、火事で大家さんへの賠償が発生した場面と、外出先で他人にケガをさせた場面が、同じ1,000万円の枠を取り合う形になっていました。借家人賠償でいくらか使えば、その分だけ個人賠償に残る枠は減ります。 「個人賠償1,000万円」と書いてあると、それが独立して1,000万円あるように感じますが、実際は別枠ではなかった。ここが最初の気づきでした。 自転車事故で約9,500万円。1,000万円では足りない時代 そもそも個人賠償の1,000万円という数字自体が、今の水準では心もとないと感じます。 個人賠償責任は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして法律上の賠償義務を負ったときに備えるものです。自転車での歩行者との事故が代表例で、過去には自転車事故で約9,500万円という高額な賠償命令が出た判例も知られています。 私は車を持っていませんが、自転車には乗ります。水漏れで階下に損害を与えるケースもあります。こうしたリスクに対して、しかも借家人賠償と枠を取り合う1,000万円というのは、正直なところ現代の生活水準に合っていないと判断しました。 「クレカに個人賠償が付いている」は思い込みだった ここが今回いちばん肝を冷やした部分です。 私は漠然と「クレジットカードに個人賠償くらい無料で付いているだろう」と思っていました。なので賃貸保険の枠が薄くても、どこかで二重三重にカバーされているはず、という油断があったのです。 そこで、家計管理に使っているマネーフォワードのデータと、手元の保険・カードの内容を一通り確認してみました。結果は次のとおりです。 加入している生命保険・医療保険に個人賠償の特約は付いていない 保有しているクレジットカードにも個人賠償は付いていない 賃貸保険の「合算1,000万円」が、わが家で唯一の個人賠償だった ここで整理しておきたいのが、クレジットカードに自動で付くことが多いのは旅行傷害保険であって、個人賠償ではないという点です。個人賠償責任補償は、原則としてカードに自動付帯はされません。付帯している場合でも、多くは「別途申し込みが必要な有料オプション」だったり、特定の上位カードに限られたりします。 「たぶんカバーされている」と思っていたものが、実は唯一の砦すらギリギリだった。ここで本気で見直すことに決めました。 乗り換え先を選んだ理由(チューリッヒ少短→日新火災) 乗り換え先として選んだのは、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」です。価格.com保険アワードの家財部門で連続1位を取っている商品として知られています。 補償を並べると、こうなりました。 補償チューリッヒ(旧)日新火災(新)家財100万円300万円借家人賠償1,000万円2,000万円個人賠償1,000万円(借家人と合算)1億円・別枠・示談交渉付き修理費用100万円300万円年間保険料3,610円6,000円 私が決め手にしたのは、金額そのものより「個人賠償1億円・示談交渉サービス付きが、オプションの金額選択ではなく標準で内蔵」されていて、しかも借家人賠償と別枠だったことです。 旧契約の「合算上限」という構造的な弱点が、これでまるごと解消されます。賠償の場面が重なっても、お互いの枠を食い合わない。さらに示談交渉サービスが付いていれば、いざ事故が起きたときに当事者同士で交渉する負担も軽くなります。 念のため書いておくと、これは「日新火災が一番」という話ではありません。私の今の暮らし(車なし・自転車あり・賃貸・夫婦二人)に対して、個人賠償の手薄さという課題に一番素直に効いたのがこの商品だった、というだけです。 保険料の差額を、投資・家計目線でどう判断したか 保険料は年3,610円から6,000円へ、年+2,390円。月にならすと約+200円です。 FP2級・投資目線で固定費を見るクセがあるので、本来この手の値上がりには身構えます。月200円でも年2,390円、20年で約4.8万円ですから、無条件で受け入れる金額ではありません。 ただ今回は、この差額で得られるものがはっきりしていました。 個人賠償が「合算1,000万円」→「別枠1億円+示談交渉付き」 家財が100万円→300万円(夫婦二人の実勢に近づく) 借家人賠償・修理費用も増額 特に個人賠償の部分は、いざ高額賠償が現実になったときに資産形成の前提そのものを吹き飛ばしかねないリスクです。コツコツ積み上げてきたNISAや企業型DCの資産が、一度の賠償で消し飛ぶ。その確率は低くても、起きたときの損失が致命的なら、月200円は「保険料」ではなく「資産を守るコスト」だと整理できました。 固定費は基本的に削る対象ですが、削っていいのは「過剰なもの」だけです。今回はむしろ手薄すぎたので、増やすのが正解でした。安いか高いかではなく、リスクに対して過不足ないかで見る。ここが保険の固定費判断のキモだと改めて思いました。 乗り換えの段取り:先に新契約、後に旧契約停止 実務的に役立つかもしれないので、段取りも残しておきます。地味ですが、ここを間違えると無保険の空白期間ができたり、二重払いになったりします。 旧契約のチューリッヒは「自動継続」型でした。放っておくと満期日に勝手に更新されて、また1年分が課金されます。一方で、何も考えずに先に旧契約を止めてしまうと、新契約が始まるまでの間が無保険になってしまいます。 そこで踏んだ順番はこうです。 先に新契約(日新火災)を申し込む。保険の始期を、旧契約の満期日に合わせて指定する そのうえで旧契約(チューリッヒ)の継続停止手続きを、自動更新の期限までに行う この順番なら、保障が途切れません。結果として、新契約の始期が旧契約の満期と半日ほど重なる形になり、無保険の空白はゼロで着地できました。重複といっても半日なので、二重払いの実害もありません。 保険の見直し全般に言えることですが、「解約してから新規」ではなく「新規に入ってから旧契約を止める」が鉄則です。これは生命保険でも医療保険でも同じで、保障の空白を作らないことを最優先にしてください。 まとめ:賃貸保険は「個人賠償」を必ず確認する 今回の見直しで私が学んだことを整理します。 賃貸保険の個人賠償は、借家人賠償と「合算上限」になっている契約がある。金額の数字だけでなく、別枠かどうかを確認する 個人賠償の1,000万円は、自転車事故などの高額賠償(約9,500万円の判例も)には不足しうる クレジットカードに自動付帯されやすいのは旅行傷害保険であって、個人賠償は原則自動付帯されない。「たぶんカバーされている」は危険 自分が個人賠償をどこで持っているか、保険・カードを一度棚卸しする 見直すなら「新規加入してから旧契約停止」の順番で、保障の空白を作らない 保険は削るのが基本ですが、手薄なところは増やす。安さではなくリスクとの過不足で判断する。これは賃貸保険に限らず、家計の固定費全体に通じる考え方だと思います。 まずは手元の賃貸保険証券を1枚出して、「個人賠償が別枠でいくらあるか」を確認するところから始めてみてください。 あわせて読みたい 30代の保険、9割は「見直しでOK」です 固定費を下げる方法|まず見直すべき3つと優先順位 手取りが少ないと感じた原因は家賃だった はじめての方へ|30代会社員の家計と投資を5分で整理する 👨‍💼 HIKO 保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー 保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。 保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり

2026年6月21日 · 最終更新: 2026年6月22日 · HIKO

積立保険は続けるべき?|ドル建て終身・個人年金・学資保険をIRR比較

保険業界に10年在籍したのちIT企業へ転職した、平成時代を生きた30代のHIKOです。FP2級保有、年収300万円台からのスタートで投資歴は11年(2015年NISA開始)。失敗もしながら資産形成を続けています。今回は「保険外交員に積立保険を勧められたけれど、本当に得なのか」と悩む30代会社員に向けて、主要な積立保険の実利回り(IRR)を概算で比較し、NISAやiDeCoとの機会損失差まで整理します。 先に 住友生命Chakinの実利回り検証記事 を書いたところ、検索からの流入が想像以上にありました。Chakinは新商品ですが、既存の「明治安田生命 つみたて」「日本生命 みらいのカタチ」「ドル建て終身保険」「学資保険」「養老保険」「変額保険」も、考え方の枠組みは同じです。本記事はそのクラスター記事として、検討対象になりやすい6タイプを横並びで見られるようにまとめます。 この記事の要点 積立保険のIRRは年0.3〜1.5%が中心 NISA/iDeCoの期待リターンとの差は長期で大きく開く ただし「強制貯蓄」「相続対策」など保険が合理的なケースもある 結論|積立保険の実利回りはNISAやiDeCoの数分の一 最初に結論を出します。日本で売られている主要な積立保険の実利回りは、概ね年0.3〜1.5%のレンジに収まります。一方、NISAやiDeCoで全世界株式・S&P500などのインデックス投信を積み立てた場合、過去実績の長期想定利回りは**年3〜5%**で語られることが一般的です。 (注:NISA・iDeCoの「年3〜5%」は過去の長期インデックス投信実績から語られる目安で、将来を保証する数値ではありません。詳細な前提は記事末尾の免責に記載しています) 両者の差は単年で見ると小さく見えますが、20〜30年の積立では複利で数百万円〜1,000万円規模の機会損失になり得ます。「積立保険=悪」という極論ではなく、**「同じ金額を税優遇つき投資に回した場合との差を必ず計算する」**ことが、30代の資産形成では非常に重要です。 ただし、保険には「死亡保障」「就業不能保障」など投資商品にはない機能があります。本記事では「保障」と「貯蓄」を切り分けて考え、貯蓄部分の実利回りに絞って評価します。これは保険業界10年で見てきた中で、もっとも現実的な判断軸でした。 実利回り(IRR)とは何か|表面利回りとの違い 比較に入る前に、用語を整理します。 表面利回り:保険会社が提示する「予定利率」「返戻率」など。総払込額に対する増加額を単純に比率化したもの 実利回り(IRR:内部収益率):「いつ払って、いつ受け取るか」のキャッシュフロー時間軸を組み込んだ年率換算の利回り。投資商品の利回りと比較できる唯一の指標 たとえば「30年で返戻率120%」と聞くと一見大きく見えますが、IRR換算すると年率約0.6%です。表面利回りはマーケティング上の数値、IRRが現実の数値、と覚えておくと判断を間違えにくくなります。 なお、本記事の試算はすべて2025〜2026年時点の公開情報および各社販売設計例から逆算した概算値であり、実際の契約条件・付帯保障内容・予定利率改定によって変動します。最終判断は契約書の設計書と直近の予定利率で行ってください。 主要積立保険6タイプの実利回り比較【円建て・ドル建て・変額別】 代表的な積立保険6タイプを、概算ベースで一覧にします。具体的な商品名はあくまで「カテゴリ代表例」として挙げています。 商品タイプ代表商品例表面利回り(予定利率/返戻率換算)実利回り(IRR概算)NISAインデックス(年5%想定)との差円建て終身保険各社の低解約返戻金型終身予定利率 約0.5〜1.0%約0.3〜0.7%大きい(複利差で数百万円規模)個人年金保険日本生命「みらいのカタチ」年金保険 等返戻率 約110〜125%(30年)約0.4〜1.2%中〜大ドル建て終身保険各社のドル建て一時払・平準払終身予定利率 約3.0〜4.0%約1.0〜2.0%(為替+コスト控除後)中(為替変動リスク込み)変額保険各社の変額終身・変額個人年金ファンド連動信託報酬控除後で投信よりやや劣後同等運用が低コストで可能学資保険各社の学資保険返戻率 約103〜108%(17〜18年)約0.3〜0.8%大きい養老保険各社の養老保険返戻率 約103〜108%(10〜30年)約0.3〜0.7%大きい 上表のIRR概算値は、2025〜2026年時点の各社公開設計書・販売設計例・予定利率の一般的な水準をもとに逆算した概算です。実際の数値は契約年・健康状態・特約付加・予定利率の改定により変動します。本記事の数値は「商品カテゴリの大まかな水準」を示すもので、個別契約の最終判断は最新の設計書に基づいてください。 ここから1つずつ詳細を見ていきます。 明治安田生命「つみたてだいすき」は得か?|実利回りを試算 「つみたてだいすき」(明治安田生命の積立保険)は、毎月の保険料を一定期間払い込んで、満期で受け取る平準払い型の積立保険です。販売現場では「銀行に預けるよりは増える」「強制力があって貯まる」という訴求でよく勧められます。 ここでは、よく案内される設計に近い月1万円・10年払い込み・満期一括受取を前提に、概算IRRを試算します。具体の返戻率は契約年・健康条件で変動するため、ここでは「総払込額120万円→満期受取126万円(返戻率105%)」を仮置きします。 項目値月払い保険料10,000円払込期間10年(120ヶ月)総払込額1,200,000円満期受取額(仮定)1,260,000円返戻率(表面)105%実利回り(IRR概算)年率 約0.9% 返戻率105%は「10年で5%増えた」という見え方ですが、毎月積み立てている時間軸を反映するとIRRは年0.9%程度に落ち着きます。 参考:IRR(実利回り)の計算過程 上記の年率0.9%という数値は、以下のキャッシュフローからExcelのXIRR関数で逆算したものです。 経過年キャッシュフロー(円)備考1年目-120,000月1万円×12ヶ月の払込2年目-120,000同上3〜9年目各 -120,000同上10年目-120,000払込最終年10年目満期+1,260,000満期受取金 このキャッシュフローをExcel/Google Sheetsに貼り付け、=XIRR(値の範囲, 日付の範囲) を実行すると年率約0.9%が算出されます。返戻率105%(10年で5%増)という見え方と、年率0.9%という数値の差は、「お金を払ってから受け取るまでの時間」を年率に均す処理から生まれています。 ※本記事のNISA試算はすべて「毎月積立・年率5%複利・手数料および税金は考慮外」の単純シミュレーションです。将来のリターンを保証するものではなく、市場環境により元本割れの可能性もあります。 同じ月1万円を10年間、NISAでインデックス投信(年5%想定)に積み立てた場合の評価額は約155万円となり、両者の差は約29万円です。 10年で30万円弱の差なら許容範囲、と感じる人もいると思います。ただし「積立保険を10年継続できる人は、その後の20年も同じ習慣を維持できる」傾向が強いです。同じペースを30年続けると差は数百万円規模に広がります。 日本生命「みらいのカタチ」個人年金は得か?|実利回りとデメリット 日本生命「みらいのカタチ」は、終身保険・年金保険・医療保険などをパーツで組み合わせる商品群の総称です。ここでは個人年金保険部分にフォーカスします。 個人年金保険の魅力としてよく挙げられるのが、**個人年金保険料控除(年最大4万円)**です。所得税率10%・住民税率10%の年収帯(概ね課税所得330万円以下)なら、年間8,000円程度の節税効果があります。 しかし、利回り側を冷静に見ると以下のとおりです。 項目値(概算)月払い保険料10,000円払込期間30年総払込額3,600,000円受取総額(10年確定年金など)約4,000,000〜4,300,000円返戻率約111〜119%実利回り(IRR概算)年率 約0.7〜1.2% ここに節税効果を加算しても、トータルの実質リターンは年1.0〜1.5%程度にしか届きません。同じ30年で同額をiDeCoに拠出した場合、所得控除(年12〜27.6万円拠出可、所得税+住民税で同率の節税)と運用益非課税が両方効くため、想定利回り3%でも実質的な手残り効率は個人年金保険を大幅に上回ります。 主なデメリットを3つ整理しておきます。 流動性が低い:途中解約で元本割れの可能性が高い インフレに弱い:名目固定利率なので、物価上昇局面では実質目減りする 保険会社の信用リスク:30年単位で1社の破綻リスクを背負う 「みらいのカタチ」自体は柔軟性のある商品設計ですが、年金保険パートに関してはiDeCoの方が税優遇・運用効率の両面で優位というのが、FP視点での評価です。 ドル建て終身保険は解約したほうがいい?|表面と実質の利回りギャップ ここ数年、超低金利環境下で「ドル建て終身保険」の販売が増えました。提案書には「予定利率3〜4%」と書かれていることが多く、円建て商品と比べて見栄えが良いのは事実です。 ただし、表面の予定利率と実質利回りの間には大きなギャップがあります。 控除要因概算インパクト保険関係費用(死亡保障・運営コスト)年 -0.8〜-1.5%為替手数料(円→ドル、ドル→円)一般的に片道50銭〜1円/ドル為替変動リスク円高方向に振れた場合は元本割れリスク 予定利率3.5%の商品でも、コスト控除後のドルベースIRRは概ね年1.5〜2.5%、円換算で受け取った場合の最終的な実利回りは為替次第で年0〜2%程度のレンジに落ちることが多いです。 「予定利率3.5%」を期待してドル建て終身保険に加入すると、為替リスクを取った割にリターンが米国株インデックス投資より低いという結果になりがちです。米国株インデックス(S&P500)の長期想定利回りはドルベースで年6〜8%が一般的に語られる水準で、同じ為替リスクを取るならインデックス投信の方が圧倒的に効率が良いです。 ドル建て終身保険が向いているのは、「死亡保障をドル資産で持ちたい」かつ「30年以上保有可能」かつ「為替変動を許容できる」人に限定されます。「なんとなく利回りが良さそうだから」で入るのは、機会損失が大きすぎます。 変額保険の実利回りはなぜNISAに劣後するのか 変額保険(変額終身・変額個人年金)は「投資型の保険」と訴求され、表面的にはNISAと似た構造に見えます。実際は以下の要因で長期リターンがNISAインデックス投資に劣後するケースが大半です。 ...

2026年6月18日 · 最終更新: 2026年6月19日 · HIKO

予定利率1.6%でも利回りは1%台?明治安田の積立保険をNISA比較

保険業界10年・投資歴11年・FP2級の HIKO です。保険会社で10年働いたあと IT企業へ転職し、家計と投資の発信をしています。 ※当記事はアフィリエイトリンク(PR)を含みます。また、本記事で扱う数値は 2026年6月の報道による情報 をもとにしており、商品名や条件は公式の最新情報をご自身でご確認ください。投資・契約の判断は自己責任でお願いします。 2026年6月、明治安田生命が平準払い(毎月払い)の積立保険の予定利率を、現行の1.4%から1.6%へ引き上げると報じられました。報道によると、契約から10年たった満期で受け取れる金額は払込総額の110%になり、これは2026年4月に続く同年2度目の引き上げとのことです。建付け(5年払込・10年満期)から、これは当ブログで以前検証した「じぶんの積立」とみられる商品ですが、公式での裏取りは取れていないため、本記事では報道ベースの慎重な表現で進めます。 ニュースを見て「予定利率が上がったなら、今が買い時では?」と感じた方も多いはずです。本記事では、その予定利率1.6%・満期110%という数字を、実質利回り(IRR)に翻訳して冷静に見ていきます。 結論:利上げは朗報だが、IRRで見ると依然「年1%台」 先に結論を3点に整理します。 利上げは確かに朗報:満期返戻率が報道前の108.3%から110%へ上がるなら、実質利回り(IRR)は年率約1.07%から 年率約1.28% へ改善します(いずれも本記事の試算)。 ただしNISAとは役割が違う:積立保険は「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」、NISAインデックスは「元本割れリスクと引き換えに高い期待リターンを狙う商品」。同じ土俵で「どちらが得」とは言い切れません。なお保険は預金保険の対象外で、保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構による補償(責任準備金の原則90%まで等)に拠ることになり、預金と完全に同じ安全性ではない点には留意が必要です。 「予定利率が上がった=今すぐ買い時」という話には乗らない:予定利率1.6%という数字と、あなたが手にする実質利回りは別物です。数字の見え方に流されず、自分の家計の中での役割で判断するのが現実的です。 ここから先は、報道された数字と一般的な税制値を使って、順番に整理していきます。 報道された内容を整理する まず、2026年6月の報道で示された内容を整理します。以下はすべて報道ベースの数値であり、公式の最新条件はご自身でご確認ください。 項目報道された内容対象平準払い(毎月払い)の積立保険予定利率1.4% → 1.6%(2026年7月申込分から)払込期間5年保険期間10年10年満期時の受取払込総額の110%例(月2万円の場合)払込総額120万円に対し満期132万円(+12万円)引き上げの背景国内金利の上昇を反映。2026年内2度目の引き上げ 報道では「投資信託などに比べて元本割れのリスクが少なく、銀行預金よりも金利は高い」という商品の位置づけも示されていました(報道の文言)。ただし、これはあくまで満期まで保有した場合の話で、途中解約時は解約返戻率が100%を下回り元本割れする期間があること、将来的に商品条件が変更される可能性があること、保険である以上は保険会社の信用力に依存することは、地の文として補っておきます。元本保証ではなく「満期まで保有すれば払込総額を上回る設計の確定リターン商品」と捉えるのが正確です。 なお、当ブログで以前検証した時点(2026年5月)の満期返戻率は108.3%でした。今回の報道どおりであれば、満期返戻率が110%へ上がる点が新しい情報になります。 予定利率1.6%・満期110%をIRRに翻訳すると年率いくらか ここが本記事の核です。「予定利率1.6%」と聞くと、年1.6%で増えるように感じます。しかし、私たちが実際に手にする利回りは、もっと低くなります。 報道の例にならって、月2万円×60ヶ月(5年)払い込み、その後5年据え置いて10年満期で132万円を受け取るケースで計算します。 払込総額:20,000円 × 60ヶ月 = 1,200,000円 満期受取額:1,200,000円 × 110% = 1,320,000円 増加額:120,000円 ポイントは「120万円を一括で預けたわけではない」「毎月2万円ずつ5年かけて積み立て、その後5年は据え置いた」という時間構造です。最後に積んだお金は数年しか運用されず、最初に積んだお金だけが約10年運用されます。 この時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、次のようになります。 満期返戻率実質利回り(IRR・年率換算)110%(今回の報道)約1.28%108.3%(報道前・参考)約1.07% 返戻率110%という見た目に対し、実質利回りは年率約1.28%。利上げによって約0.2ポイント改善した計算ですが、依然として年1%台です。「予定利率1.6%」という数字とは、はっきり差があります。 ※IRRは、毎月末に2万円を5年間(計60回)払い込み、最後の払込から5年後に満期金132万円を一括で受け取る前提で、月次キャッシュフローから内部収益率を求めて年率換算したものです(手数料・税・配当等の細目は加味しない簡易試算)。前提が変われば数値も変わります。 なぜ「予定利率1.6%」と「実質利回り」はズレるのか ここがFPとして一番お伝えしたい部分です。両者がズレる理由は大きく2つあります。 1つ目は、予定利率がかかるのは「払い込んだお金のうち、運用に回る部分」だけだからです。 保険には保険会社の運営経費(付加保険料)や、わずかでも付帯する保障コストが含まれます。払込総額のすべてに予定利率1.6%がそのまま乗るわけではありません。 2つ目は、先ほど触れた時間構造です。 積立保険は「毎月コツコツ積む→さらに数年据え置く」という形のため、お金ごとに運用される期間がバラバラです。満期時点の「払込総額に対する増加率(返戻率110%)」を、毎年の利回り(IRR)に直すと、必ず小さく見えます。 だからこそ、「予定利率◯%」や「返戻率◯%」という表示は、商品同士を比べる物差しとしては不十分です。私はいつも、こうした商品を見るときは返戻率を一度IRRに翻訳してから判断するようにしています。今回のように予定利率が引き上げられたニュースでも、まず実質利回りに直してみると、過度に期待しすぎず冷静に見られます。 同じ月2万円をNISAに入れたら、10年後どうなるか では、同じ月2万円を NISAつみたて投資枠で全世界株インデックスに5年間積み立て、その後5年間そのまま保有した場合の評価額を試算します。 株式市場では長期的に年率数%〜7%程度のリターンが期待されることがありますが、将来の成果は保証されません。ここでは幅を取って3%・5%・7%の3シナリオで比較します。 シナリオ10年後評価額(NISA)積立保険(満期110%)差額年率3%(保守)約1,497,341円1,320,000円+約177,000円年率5%(中央値弱め)約1,730,988円1,320,000円+約411,000円年率7%(強気)約1,997,117円1,320,000円+約677,000円 月2万円×5年積立・10年後評価額(NISA vs 積立保険・満期110%) 1320000円 積立保険110% 1497341円 NISA年率3% 1730988円 NISA年率5% 1997117円 NISA年率7% 数値は本記事の試算(NISAは年率3/5/7%・運用益非課税)。期待値であり確定リターンではありません。 NISA枠なので運用益はすべて非課税です。控えめな年率3%でも約18万円、年率5%なら約41万円、年率7%なら約68万円の差になります。 ...

2026年6月17日 · 最終更新: 2026年6月18日 · HIKO

収入保障保険はいらない?遺族年金から逆算する必要保障額の求め方【FPが判定】

「収入保障保険って、結局うちには必要なの?」 この疑問に、先に結論からお答えします。収入保障保険は、多くの独身の方や、お互いの収入で自立できている共働き世帯には不要です。一方で、子どもがいて世帯収入の大半を自分が担っている家庭では、必要になるケースがあります。 判断の軸は次の3つです。 遺族年金で足りない分だけ入る。それ以上は不要 独身の方、資産が十分にある方には不要 入るなら、必ず複数社の保険料を比較する 私は保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職し、現在はFP2級の知識をベースに資産形成の情報を発信しています。この記事では「業界の中から見てきた立場」と「ひとりの生活者としての立場」の両方から、収入保障保険の判定基準と必要額の計算方法を解説します。 あなたに必要か、30秒で判定 まずは下のチャートで判定してください。当てはまった時点で、あなたの答えは出ています。 あなたの状況判定扶養家族がいない(独身など)不要。この記事はここで閉じてOKです共働きで、配偶者が自分の収入で生活を維持できる原則不要(不足額次第で少額のみ検討)金融資産が、遺族の生活費の不足分をカバーできる不要。保険より資産で備えられています子どもがいて、世帯収入の大半を自分が担っている要検討。この先を読んでください ポイントは「死亡保障は、困る人がいるときだけ必要」という一点です。誰も経済的に困らないなら、保険料はそのままNISAやiDeCoに回したほうが合理的です。 「要検討」に当てはまった方は、読み進める前に保険料の相場感だけ先に確認しておくと、このあとの判断が早くなります。収入保障保険は30代なら月2,000〜3,000円台から入れる商品です。 収入保障保険の仕組みと「割安」のカラクリ 収入保障保険は、契約者が亡くなった場合に、遺族が毎月のお給料のように保険金を受け取れる保険です。たとえば「月10万円を保険期間満了まで受け取る」という形ですね。 普通の定期保険(死亡時に一括で3,000万円など)と比べて、保険料が明らかに安い。ここで「安い=お得?それとも何か裏がある?」と疑問に思う方が多いのですが、カラクリはシンプルです。 保障の総額が、年々減っていくからです。 契約直後に亡くなれば「月10万円×残り25年=3,000万円」を受け取れますが、満了の5年前なら「月10万円×5年=600万円」。受け取り総額が時間とともに減る分、保険会社のリスクも減る。だから安いのです。 「保障が減るなんて損では?」と思うかもしれませんが、実はここが収入保障保険の最も合理的なところです。遺族に必要なお金も、子どもの成長とともに減っていくからです。子どもが5歳の家庭と、大学卒業間近の家庭では、残すべきお金がまったく違います。死亡保険金を3,000万円で固定する定期保険は、後半になるほど「保障の払い過ぎ」になりやすい。必要額の減り方に保障の減り方を合わせた収入保障保険のほうが、実態に合っている世帯は少なくありません。 業界にいた立場からひとつ付け加えると、営業の現場では、収入保障保険よりも保険料が高い商品が優先的に提案されるケースもあります。提案された商品が自分の必要額に合っているかは、勧められた側が自分で確認するしかありません。そのための計算方法を、後ほど実演します。 入る前に知っておきたいデメリット3つ 合理的な保険だと書きましたが、弱点がないわけではありません。「入ってから後悔した」とならないために、デメリットを先に押さえておきましょう。 ① 長生きリスクには対応できない 収入保障保険はあくまで死亡(および所定の高度障害)に備える掛け捨ての保険です。無事に満期を迎えれば、支払った保険料は戻りません。「老後資金が足りない」という長生き側のリスクには1円も役立たないのです。 死亡保障と老後資金準備は、混ぜずに分けて考えるのが原則です。老後資金はNISAやiDeCo・企業型DCで作る。収入保障保険に「貯蓄も兼ねた安心」を期待すると、目的がぶれて後悔のもとになります。 ② 解約返戻金がほぼない 保険料が安い理由のひとつは、解約返戻金をなくす(またはごくわずかにする)ことでコストを削っているからです。途中で解約しても、お金はほとんど戻りません。 これは「掛け捨てだから損」という話ではなく、割安な保険料はこの設計と引き換えだということです。逆に言えば、「途中でやめたら損だから」と必要以上に高い保障で契約してしまうと、見直しの身動きが取りにくくなります。最初から必要額ぴったりで入るのが大切です。 ③ 家族構成が変われば不要になる 収入保障保険の必要性は「自分の収入に依存する家族がいるか」で決まります。つまり、離婚した・子どもが独立した・配偶者の収入が増えたといった変化があれば、必要性そのものが消えたり大きく縮んだりします。 独身に戻ったのに保険料を払い続けている、というのは典型的なムダです。ライフイベントのたびに「この保障、まだ要るか?」を見直す前提で付き合う保険だと理解しておいてください。 この3つを踏まえたうえで、それでも「子どもが独立するまでの死亡保障」が必要な世帯にとっては、収入保障保険は候補になります。では、いくら必要なのか。次章で計算します。 必要額はいくら?モデルケースで計算 モデルケース:35歳会社員(年収600万円)、配偶者(パート年収100万円)、子ども5歳の3人世帯 先に結果からお見せします。 項目金額(月額)遺族に必要な生活費約22万円遺族年金(公的保障)約14万円不足額約8万円 → このケースでは、「月額8万円・保障期間は子どもが独立する22歳まで(17年間)」の収入保障保険が目安になります。 では、なぜこの数字になるのか。順番に分解します。 ステップ1:遺族年金がいくら出るかを知る 会社員が亡くなった場合、18歳年度末までの子がいる配偶者には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2階建てで年金が支給されます。 遺族基礎年金(2026年度・令和8年4月分からの価額) 基本額:847,300円/年 子の加算(1人目・2人目):各243,800円/年 ※金額は日本年金機構の公表値(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。 モデルケース(子1人)では、847,300円+243,800円=1,091,100円/年(月約9.1万円)。 遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。概算式は次のとおり。 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4 ※加入月数が300月未満の場合は300月とみなして計算 年収600万円(平均標準報酬額50万円)なら、500,000円 × 5.481/1000 × 300月 × 3/4 ≒ 約61.7万円/年(月約5.1万円)。 ...

2026年6月9日 · 最終更新: 2026年6月10日 · HIKO

UR賃貸の家賃値上げは断れる?借地借家法との関係をわかりやすく解説

「UR賃貸は公的住宅だから家賃は上がらない」——そう思っている人は多いのではないでしょうか。礼金・仲介手数料・更新料・保証人がいらないUR賃貸は、長く住むほどお得に感じられる住まいです。 ですが結論から言うと、UR賃貸でも家賃は値上げされることがあります。そして「公的だから借地借家法は関係ない」というのも誤解です。この記事では、UR賃貸の家賃改定の仕組みと、私たち入居者を守る借地借家法の関係を整理してみます。 UR賃貸にも借地借家法は適用される まず押さえておきたいのが、UR(独立行政法人都市再生機構)の賃貸住宅であっても、入居者との関係は通常の建物賃貸借契約だということです。したがって、賃貸借契約の基本法である借地借家法がそのまま適用されます。 借地借家法の第32条には「借賃増減請求権」という規定があります。これは、家賃が次の事情で不相当になったとき、貸主・借主のどちらからでも将来に向かって家賃の増額・減額を請求できるという権利です。 土地・建物に対する税金など、負担の増減があったとき 土地・建物の価格の上昇・低下など、経済事情が変動したとき 周辺の似た物件(近傍同種)の家賃と比べて不相当になったとき つまり貸主であるURからは「値上げ請求」が、入居者からは「値下げ請求」ができる、という双方向の仕組みです。 URの「継続家賃改定ルール」とは では、UR独自のルールはどうなっているのでしょうか。UR賃貸住宅の家賃は法律上、近傍同種の住宅の家賃を基準に決めることとされています。そして住んでいる人の家賃(継続家賃)の見直しは、居住者代表を含む有識者でつくる諮問機関がまとめた**「継続家賃改定ルール」**に沿って行われます。 ポイントは次のとおりです。 改定は、入居時期などに応じて定められた見直しの時期に行われる 改定前の継続家賃と近傍同種家賃との間に、5%を超える乖離がある住宅が対象 直近の家賃変更日(変更がなければ入居日)から2年に満たない住宅は対象外 ここが重要で、入居してまだ2年経っていない場合は、そもそも値上げの対象になりません。また、引き上げ対象になる世帯のうち、低所得の高齢者世帯や子育て世帯などには、改定後の家賃を原則として改定前と同額に据え置く特別措置も用意されています。年金生活で住民税非課税の世帯や、子どもがいる世帯は守られやすい仕組みになっているわけです。 実際にURで値上げされた事例はある 「ルールがあるのはわかったけど、実際に上がった例はあるの?」という疑問もあるでしょう。あります。 たとえば2014年度には、市場家賃より低い住戸を対象に継続家賃改定が実施されました。このときは消費税率引き上げと重なったため、引き上げ分について一定期間の免除措置が取られましたが、値上げ自体は実施されています。継続して住んでいる人でも、数百円〜千円規模の小幅な改定はあり得るということです。 そして近年話題になったのが、定期借家契約の住戸で、契約満了時に大幅な家賃の引き上げが提示され、退去する住民も出たと報じられたケースです。「安心して長く住める」というUR住宅のイメージに、疑問の声が上がった出来事でした。これは次に説明する契約形態の違いが背景にあります。 「普通借家」か「定期借家」かが分かれ目 この事例で注目すべきは、契約形態の違いです。 一般的なUR賃貸の多くは普通借家契約(自動更新・更新料なし)で、この場合は前述の継続家賃改定ルールが適用され、値上げがあっても小幅にとどまります。一方、定期借家契約は契約期間の満了で一度終了し、再契約時にほぼ市場家賃の新条件が提示されます。継続家賃の「緩やかな改定」ではなく、一気に相場水準まで跳ね上がる可能性があるのです。 ですから、自分の契約がどちらなのかを確認しておくことが、想定すべきリスクを知るうえで欠かせません。 では、値上げは「断れる」のか 最後に本題です。値上げを断れるのか。 借地借家法32条は借主保護の強い規定で、借主による減額請求権を排除する特約は無効とされています。一方で増額については、一定期間は増額しないという特約が有効とされる余地があります。いずれにせよ、貸主が一方的に主張すれば値上げが自動的に通るわけではなく、「不相当」かどうかは周辺相場・経済事情・税負担の増減といった客観的な事情に基づいて判断されます。主観だけでは認められません。 大切なのは、借主は増額請求に直ちに応じる義務はないという点です。貸主と借主の意見が合わない間は、借主は自分が相当と考える額(通常はこれまでの家賃)を払い続けることができます。家賃をきちんと払い続けていれば、正当な事由なく契約が終了することはありません。 そして話し合いがまとまらなければ、原則としてまず調停を申し立て、それでも決まらなければ訴訟となり、最終的には裁判所が妥当な家賃額を判断します。 つまり「URだから絶対に断れない」のではなく、納得できなければ協議→調停→訴訟という法的な道筋があり、その間に一方的な退去を迫られるわけではない、というのが正確な答えです。ただし現実には、URは周辺相場より割安なケースが多く、争うコストと見込みを天秤にかける必要があります。近傍同種家賃との比較で値上げの合理性が認められやすい局面もあります。 よくある疑問(Q&A) URから家賃値上げの通知が来たらどうすればいい? 慌てて署名・同意する前に、次の順で確認するのがおすすめです。 通知内容(新家賃・改定理由・適用時期)を確認する 自分の契約が普通借家か定期借家かを確認する 周辺の似た物件の家賃相場を調べ、提示額が不相当でないか比べる 納得できなければ、URの窓口に説明を求めたうえで、専門機関に相談する 増額に直ちに同意する義務はないので、内容を確認する時間は十分にあります。 URに家賃の値下げを請求できる? できます。借地借家法32条は増額だけでなく減額請求も認めています。周辺相場が下がっている、経済事情が変わったなど、現在の家賃が近傍同種家賃に比べて高すぎると考えられる場合は、借主からURに対して減額を請求できます。こちらも合意できなければ、最終的には調停・訴訟で判断される流れです。 まとめ UR賃貸にも借地借家法は適用される 継続家賃の改定は「5%超の乖離」「入居2年以上」が対象。高齢者・子育て世帯には据え置き措置あり 普通借家は小幅改定だが、定期借家は満了時に大幅値上げの可能性がある 値上げは客観的事情で判断され、借主に即時の応諾義務はない。納得できなければ協議・調停・訴訟で争える 32条は値下げ請求も認めている 「公的住宅だから安心」と思い込まず、自分の契約形態と周辺相場を一度確認してみることをおすすめします。首都圏の一部エリアでは近年賃料相場が上昇しており、こうした近傍相場の動きは継続家賃の改定にも影響し得ます。 私自身も川崎市内で賃貸住宅に住んでおり、家賃は家計における最大の固定費の一つだと感じています。だからこそ、契約形態と相場の確認を「いざというときの備え」として知っておく価値は大きいはずです。 ※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法律相談ではありません。具体的な家賃トラブルについては、弁護士や法テラスなど専門機関へのご相談をおすすめします。

2026年6月7日 · 最終更新: 2026年6月8日 · HIKO

積立保険は解約すべき?30代が「やめていい5つの条件」を具体数字で解説

保険業界に10年在籍し、FP2級を取得したHIKOです。「解約すると損ですよね」という声は、貯蓄型保険をめぐってもっともよく聞くフレーズです。ただ、その言葉の裏にある「惰性で払い続けている」状態のほうが、実は大きな損になっているケースが多い、というのが業界に身を置いて見えてきた実感です。 結論から言うと、以下の5つのうち2つ以上に当てはまるなら解約を検討すべきです。 保険料が手取りの5%以上を占めている 積立保険の利回りが年1%未満 返戻率が100%になるまで15年以上ある NISAやiDeCoをまだ使っていない 扶養家族がいないのに死亡保障が500万円以上ある このまま放置すると、数十万円〜100万円単位で差が出る可能性があります。 「解約=損」というより、「判断せず放置すること」が損になるケースが多いです。仕組みと判断基準を整理しますので、手元の保険証券と照らし合わせながら読んでみてください。 参考までに、生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和4年度)」によれば、1世帯あたりの年間払込保険料は平均37万円前後とされています。月額に直すと3万円超。生涯で見れば1,000万円規模の支出です。だからこそ「払い続けることが正解か」を一度数字で確認する価値があります。 解約返戻金とは何か 積立保険を途中で解約したとき、保険会社から受け取れるお金を解約返戻金(かいやくへんれいきん)といいます。 積立保険の保険料には、大きく分けて2つの用途があります。 保障コスト(死亡保障部分): 万が一のときに保険金を支払うための費用 積立部分: 解約返戻金や満期保険金の原資となるお金 保険会社はこの積立部分を運用し、一定期間後に「払った保険料より多い金額」が戻ってくるように設計しています。ただし、途中で解約すると積立部分がまだ育っていないため、払込総額より少ない金額しか戻ってきません。 返戻率の目安 解約返戻金が払込総額に対してどの程度の割合かを示す数値を返戻率といいます。 加入からの期間返戻率の目安(商品による)1〜3年50〜70%程度(大きく元本割れ)5〜10年80〜95%程度(元本割れ)15〜20年100%前後(損益分岐点)満期105〜110%程度 返戻率が100%を下回っている期間に解約すると、払い込んだ総額より少ない金額しか戻りません。これが「解約すると損」と言われる根拠です。 ただし、この「損」はあくまでも払った保険料との比較です。「今すぐ解約する場合」と「今後も払い続けた場合」を比べて、どちらが自分の状況に合っているかを判断する必要があります。 なお、ここで挙げた返戻率はいわゆる「低解約返戻金型」を含む一般的な終身・養老タイプの目安です。商品によっては10年経過時点で返戻率70%台で頭打ちになるものもあるため、必ず手元の設計書で確認してください。 積立保険とNISAの差は10年で約29万円、20年で約145万円 「利回りの差」という言葉だと実感しにくいので、具体的な数字で確認してみます。 前提:毎月1万円を積み立てた場合(税金・手数料は考慮外。月複利で計算) 10年積立 積立保険(年利1%)→ 約126万円(元本120万円) インデックス投資(年利5%)→ 約155万円 差額:約29万円 20年積立 積立保険(年利1%)→ 約266万円(元本240万円) インデックス投資(年利5%)→ 約411万円 差額:約145万円 10年で29万円の差が、20年では145万円まで広がります。これが複利の効果です。30年積立まで伸ばすと、差額は400万円を超えます。 積立保険の利回りが0.5〜1.5%にとどまるのは、保険料の一部が保障コストや会社経費に回るためです。一方、NISAで全世界株式インデックスに長期投資した場合の期待リターンは年率4〜6%程度(過去の長期実績ベース)とされており、運用効率の差が時間とともに拡大します。 ただし「NISAなら必ず勝てる」ではない ここで一つ重要な注意点があります。インデックス投資は元本保証ではなく、暴落時に積立を止めてしまうと複利効果も止まります。 年利5%という数字は、あくまで過去の長期平均からの期待値です。特定の10年間や20年間で必ず5%出るわけではなく、運の悪い時期に始めれば年利2〜3%にとどまる可能性もあります。 実際、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックでは、含み損30%超の局面で積立を止めてしまった方も少なくありません。積立を止めた瞬間に「下がったところで損切り、上がるところに乗れない」最悪のパターンに入ります。 「NISAなら必ず保険より得」ではなく、「長期で淡々と続けられる前提なら期待値が高い」というのが正確な理解です。 逆に「相場が荒れても20年続ける自信がない」のであれば、積立保険の「強制貯蓄機能」のほうが結果的に手元にお金が残るケースもあります。これは判断基準3でも触れます。 税制まで含めると差はさらに広がる ここまでは「運用利回り」だけの比較でした。税制を加えると評価が変わります。 積立保険側のメリット:生命保険料控除 年間8万円超の保険料を払うと、生命保険料控除(一般)で所得税4万円・住民税2.8万円の所得控除を受けられます。所得税率20%・住民税10%の方で、年間約1万円の節税効果。10年で約10万円、20年で約20万円です。 ただし注意点が2つあります。 すでに他の終身保険や医療保険で「一般生命保険料控除」の枠を使い切っている場合、この積立保険を解約しても節税メリットは減りません(追加メリットがゼロだったため) 解約返戻金が払込総額より大きい場合、差額は一時所得として課税対象です。ただし50万円の特別控除があるため、運用益が小さい契約ではほぼ非課税です NISA側のメリット:運用益が完全非課税 通常、運用益には20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。前述の20年シミュレーションでは運用益が約171万円。これに対して通常口座なら約34万円の税金がかかるところ、NISAでは0円です。 純差はNISA優位になりやすい ざっくり整理すると以下の通りです(毎月1万円・20年・他の生保契約なしの場合)。 項目積立保険NISA運用益約26万円約171万円税制メリット(控除/非課税)約20万円(生保料控除)約34万円(運用益非課税)一時所得課税50万円控除内で非課税─合計手取り約286万円約445万円 差額は約160万円。これはあくまで「他の生保契約なし・所得税率20%」のケースで、契約状況や所得帯で変動します。ただし、長期になるほどNISAの非課税効果が拡大する構造は変わりません。 保険業界10年で見えた「惰性で続けている人」の共通パターン 業界に身を置いて見えてきたのは、「もったいない」という感覚だけで払い続けているケースの多さです。 加入から10年以上が経ち、返戻率が80%台のまま止まっている商品を、「いつか100%になるはず」と信じて払い続けている、というパターンは典型的です。ところが設計書をきちんと確認すると、返戻率が100%を超えるのはさらに10年先、あるいはそもそも満期まで保有しても105%程度にしかならない、という商品も珍しくありません。 もう一つ多いのが、「保険に入っておけばとりあえず安心」という状態が続いているパターンです。加入時に設定した保障額が、今のライフステージに合っていないことに気づいていない、というのは一般的によくある話です。独身のころに加入した大きな死亡保障を、10年以上そのまま払い続けているケースなどが典型です。 こうしたパターンに共通しているのは、「最初に比較検討した」のは加入時だけで、その後は一度も見直していない、という点です。保険は一度入ると「払い続けることが正解」に見えやすい商品です。だからこそ、定期的に数字を確認することが重要です。 よくある設計の一例を挙げます。月2万円・20年払いの積立保険で、10年経過時点の解約返戻金が約180万円(払込総額240万円)というものです。そのまま満期まで払い続けた場合、受取額は260万円前後という設計になります。 この場合、「あと10年で+80万円」か「今解約して投資に回すか」の比較になります。年率換算すると約1%前後にとどまるため、保障ニーズがなければ見直しの優先度は高いと判断できます。 なお、金融庁が公表しているNISA口座開設数は2024年末時点で2,500万口座を超えており、30代の利用率も急速に上昇しています。「保険でコツコツ貯める」が当たり前だった世代から、「非課税口座で運用する」が標準になりつつある流れは押さえておくべきです。 あなたは解約を検討すべき?チェックリスト 以下のうち、当てはまるものを確認してみてください。 ...

2026年5月31日 · 最終更新: 2026年6月11日 · HIKO

オリックス生命「エンキャン」はNISAより得?|返戻率139.5%を実利回りで比較した結果

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。年収300万円台で社会人をスタートし、保険業界で10年勤めたあと IT 企業へ転職、いまは FP2級として家計と投資を発信しています。投資歴は2015年からの11年。コナカ(7494)で9年超の塩漬けや、青山商事で-310,960円の含み損確定など、失敗もそれなりに経験してきました。 2025年12月にオリックス生命が「Yen Can(エンキャン)」という円建ての終身保険を発売しました。「円建てで増える終身保険」「払い終わったあとは払込総額を上回る」という打ち出しで、貯蓄性を気にする30代から「これってNISAより良いの?」という疑問が出てきそうな商品です。 この記事では、エンキャンを題材に「貯蓄できる終身保険は結局おトクなのか」を、低解約返戻金型の仕組み・返戻率・払込総額の関係から整理し、同じ金額を新NISAでインデックス積立した場合と比べてみます。 本記事は特定の保険商品の購入・解約を勧めるものではありません。保険・投資いずれも最終的な判断は契約者ご自身で、設計書・約款・最新の予定利率や目論見書を確認したうえで行ってください。商品情報は2026年5月時点で公式サイト等を参照したものです。なお、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。 この記事の要点 低解約返戻金型は「払込中の解約返戻金を約7割に抑える代わりに保険料を割安にする」設計 返戻率は「払込からどれだけ寝かせたか」で決まり、実利回り(IRR)に直すと年1.3〜1.4%(実測)の水準にとどまる 同じ金額を新NISAでインデックス積立した場合、過去実績ベースの想定利回りでは差が大きく開く 保障が必要なら「掛け捨て+NISA」に分けるのが私の考え方 オリックス生命「エンキャン」とは|円建ての低解約返戻金型終身保険 まず商品の基本情報を整理します。以下はオリックス生命の公式サイトおよびオリックスグループのニュースリリース(2026年5月時点)から確認した内容です。 出典:オリックス生命公式サイト(2026年5月確認) 項目内容商品名(愛称)Yen Can(エンキャン)正式名称無配当 指定通貨建(円建)低解約返戻金型終身保険提供会社オリックス生命保険発売2025年12月2日通貨円建て(為替リスクなし)加入年齢男性15〜78歳・女性15〜80歳保険金額200万円から(100万円単位)告知2項目受取額契約時に確定 ポイントは「円建て」「告知2項目」「受取額が契約時に確定」の3点です。ここ数年は予定利率の高さを訴求できる「ドル建て終身保険」が貯蓄性商品の主役でしたが、エンキャンは為替リスクを取りたくない層に向けた円建ての終身保険、という位置づけになります。 なお、名前が似ているため混同されがちですが、エンキャンはオリックス生命の商品です。アフラックなど他社の商品ではありません。 低解約返戻金型の仕組み|「払込中は7割」がカギ エンキャンを理解するうえで一番大事なのが「低解約返戻金型」という設計です。 低解約返戻金型とは、保険料の払込期間中の解約返戻金を、通常の終身保険の約70%に抑える代わりに、毎月の保険料を割安にするタイプの終身保険です。オリックス生命の公式サイトでも、エンキャンは払込期間中の解約返戻金を「低く設定しない場合の70%」に抑える設計だと説明されています。 仕組みを言葉で整理すると、こうなります。 払込期間中(たとえば10年や20年)に解約すると、返戻金が払込総額を大きく下回る(元本割れ) 払込が満了したあとに解約すると、返戻金が払込総額を上回る(返戻率100%超) 払込後に寝かせる年数が長いほど、返戻率は上がっていく つまり「払込中は流動性をほぼ捨てる代わりに、保険料を抑えて満了後の返戻率を高くしている」商品です。途中でやめると損をする、という構造は低解約返戻金型に共通する特徴です。 エンキャンの返戻率|公式の試算例で見る払込総額との関係 公式サイトには、契約例として「30歳女性・基本保険金額1,000万円・10年払込」の数値が掲載されています(2026年5月時点)。これを使って、返戻率と払込総額の関係を見てみます。 項目値契約者30歳女性基本保険金額1,000万円月払保険料39,310円払込期間10年総払込額約4,717,200円(39,310円×120回) この前提での解約返戻率(公式試算例)は次のとおりです。 解約タイミング返戻率(公式試算例)払込満了直後(10年後)107.4%払込から10年寝かせ(20年後)122.5%払込から20年寝かせ(30年後)139.5% 返戻率だけ見ると「30年で139.5%」は大きく感じます。ただし、これは「払い込んだお金を何年寝かせたか」で決まる数字で、寝かせる年数が長いほど返戻率が上がるのは当然です。判断に使うべきなのは返戻率そのものではなく、時間を年率に直した**実利回り(IRR)**です。 返戻率139.5%は年利何%?|実利回り(IRR)に直して考える 返戻率と実利回りは別物です。ここを混同すると判断を間違えます。 返戻率:総払込額に対して、受け取る解約返戻金が何%か。時間軸を含まない単純な比率 実利回り(IRR):「いつ払って、いつ受け取るか」という時間軸を年率に均した利回り。投資商品の利回りと横並びで比較できる唯一の指標 上の公式試算例(30歳女性・10年払込)について、「月39,310円を120回(10年)払い込み、満了後に据え置いて解約する」月次キャッシュフローからIRR(内部収益率)を実測すると、次のとおりになりました。 解約タイミング返戻率実利回り(IRR・実測)払込満了直後(10年後)107.4%年1.41%払込から10年寝かせ(20年後)122.5%年1.35%払込から20年寝かせ(30年後)139.5%年1.34% 上記IRRは「月39,310円を120回払い込み、満了後そのまま据え置いて解約する」という月次キャッシュフローから二分法でIRRを実測した値です。実際の返戻金は契約年齢・性別・保険金額・払込期間・予定利率改定で変わるため、正確な数値は必ず最新の設計書で確認してください。 ポイントは、**返戻率139.5%でも実利回りは年1.3〜1.4%**だということです。しかも返戻率が107.4%から139.5%へ大きく上がっても、実利回りはほとんど動きません。寝かせる年数が延びるぶん、年率に均すと差が薄まるからです。これは円建て終身保険という商品ジャンルの宿命で、エンキャンが特別に低いわけではありません。円建ての貯蓄性保険は構造的に実利回り年1%台に収まりやすい、と捉えておくのが現実的です。 円建て終身保険の実利回りが伸びにくい理由は、主に次の3つです。 保障コストの上乗せ:終身保険なので、死亡保障のためのコストが保険料から差し引かれる 予定利率の水準:円建ては運用先が国内債券中心になりやすく、予定利率自体が高くしにくい 長期固定・低流動性:途中でやめると元本割れする設計のため、流動性プレミアムが取れない 同じ金額を新NISAで積み立てたら?|インデックス積立との比較 ここからが本記事の本題です。エンキャンの月払保険料(公式試算例で月39,310円)と同じ金額を、新NISAでインデックス投信に積み立てたらどうなるか。あくまで考え方を示すための概算比較です。 まず前提を揃えます。 積立額:月39,310円(公式試算例の保険料に合わせる) 積立期間:10年(払込期間に合わせる) その後の据え置き:保険の「払込後に寝かせる」期間に合わせる NISA想定利回り:年3%・年5%・年7%の3パターン(過去実績ベースの想定。将来を保証する数字ではありません) 3パターンを置いたのは、単一の楽観シナリオで結論を出さないためです。年5%は全世界株式インデックスの長期平均としてよく語られる水準、年3%はかなり保守的に見たケース、年7%は強気のケースです。この前提で、10年積立後に運用を継続した場合の評価額の目安は次のようになります(エンキャン側は公式試算例の返戻金の実額)。 経過エンキャン(円建終身)NISA年3%NISA年5%NISA年7%10年後約507万円約548万円約607万円約672万円20年後約578万円約737万円約988万円約1,323万円30年後約658万円約990万円約1,610万円約2,602万円 NISA側はいずれも「月39,310円を10年積み立て、その後は積立をやめて想定利回りで据え置き運用を継続した場合」の月初複利の概算です。手数料・税金・暴落・将来期待リターンの低下は織り込んでいません。年3〜7%は過去実績ベースの想定で、将来を保証するものではなく元本割れもあり得ます。エンキャン側は公式試算例の返戻金の実額です。 注目してほしいのは、最も保守的な年3%想定でも、長期ではエンキャン(30年後の返戻金658万円)をNISA(990万円)が上回るという点です。楽観的な前提に頼らなくても、長期では差がつきやすい構造だということです。もちろんこの差は運用利回り次第で縮みもしますし、NISAには死亡保障がありません。次の章で、この比較の落とし穴も書いておきます。 30年後の到達額イメージ(月39,310円・概算) 658万円 エンキャン 990万円 NISA年3% 1610万円 NISA年5% 2602万円 NISA年7% エンキャンは公式試算例の返戻金実額(30年後)、NISAは10年積立後に年3〜7%で据え置き運用を継続した月初複利の概算。年3〜7%は過去実績ベースの想定で、将来を保証する数値ではありません。 この比較の落とし穴|終身保険には「死亡保障」がある ここまで利回りでNISAが優位という整理をしてきましたが、これだけでは片手落ちです。エンキャンは終身保険なので、運用部分とは別に「一生涯の死亡保障(死亡・所定の高度障害)」がついています。NISAにはこれがありません。 ...

2026年5月30日 · 最終更新: 2026年6月19日 · HIKO

日本生命「みらいのカタチ」のデメリットは?得か損かを元保険屋FPが試算|月4万→更新で7万円台になる構造

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。年収300万円台で社会人生活を始め、保険業界で10年働いたあと IT 企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。本記事では、日本生命の主力商品「みらいのカタチ」を、30歳男性のモデルケースで検証します。 本記事は 公式の設計書ではなく、終身保険一般の保険料水準と返戻率水準に基づくモデルケース試算 です。実際の保険料・返戻金は契約年齢・性別・予定利率・契約者配当の有無・組み合わせるパーツ構成によって変動するため、最終判断は必ず設計書(個別見積もり)でご確認ください。 「みらいのカタチ」は最大13種類の保障パーツを自由に組み合わせる「組立型保険」です。営業職員の説明では「これ1本でライフプラン全部カバー」と紹介されることが多い商品ですが、本記事では (1) 世帯月4万円ケースの30年キャッシュフロー、(2) 10年更新型特約の保険料倍増リスク、(3) 終身保険パーツのIRR、を中心に一次計算で整理していきます。 結論:30歳モデルケースで見える4つの構造リスク 30歳男性・終身500万円+更新型特約パッケージのモデルケースで試算すると、みらいのカタチは次の4点の構造リスクが浮かび上がります。 世帯保険料が月4〜5万円規模になりやすい:終身+定期+医療+がん+介護+学資の組み合わせで30代夫婦の保険料が月5万円超になるケースが多かった 10年更新型特約は40歳・50歳の更新で保険料が倍増する:契約時の保険料はあくまで「最初の10年」だけ。子育て期の更新で家計が一気に重くなる 終身パーツのIRRは長期保有でも年率1%前後:払込終了(30年)直後ではまだ元本割れ、返戻率100%超えは払込終了から10年以上経過後 「組立型」ゆえに全体像が見えにくい:パーツ料金が合算請求のため、保障の必要性と価格の妥当性をパーツ単位で点検しない限り解約判断ができない ここから先は、公式条件と一般的な保険料水準を使って数字で整理していきます。 「みらいのカタチ」の公式条件を整理する まず2026年5月時点で日本生命公式が示している商品概要です。 項目内容商品種類組立総合保障保険(最大13種類の保障を自由組合せ)主な保障パーツ終身保険/定期保険/収入保障保険/総合医療特約/3大疾病保障保険/介護保障保険/年金保険/養老保険/生存給付金付定期 など契約可能年齢パーツごとに設定(終身は0〜85歳、定期は0〜80歳など)保険料払込期間パーツごとに設定(終身は60歳・65歳払込済/終身払い、定期・特約は10年・20年などの更新型)解約返戻金パーツごとに発生(終身・養老は累積、医療・介護・定期・収入保障は基本ゼロ)契約者配当5年ごと配当型あり(業績連動で配当額は変動)生命保険料控除終身・定期は一般/医療・介護特約は介護医療/年金パーツは個人年金(一定要件あり) 「組立型」の建付けは「13パーツの中から必要なものを選んでひとつの契約にする」というシンプルな構造です。一方で、貯蓄性パーツ(終身・養老・年金)と掛け捨て型パーツ(定期・収入保障・医療・介護)が同じ契約番号で混在するため、解約返戻金や実利回りをパーツ単位で見ないと「全体でいくら戻ってくるのか」が把握しづらくなります。 なぜ「みらいのカタチ」で保険料膨張が起きるのか みらいのカタチを検討する人の経路で多いのは「職場に来る生保レディから提案された」「親が長年契約していて勧められた」「結婚や出産のタイミングで相談した」というケースです。日本生命が個人保険市場でトップシェアを維持し続けている理由は、商品設計そのものより販売チャネルの圧倒的な規模にあります。 約5万人規模の営業職員ネットワーク:全国の事業所から職域・家庭訪問で接触するため、自分から保険ショップに足を運ばない層にも届く 対面で「組み立てて」もらえる安心感:終身・医療・介護・年金などをまとめて一人の担当者が説明するため、保険選びの心理的コストが小さく感じられる 節目ごとの見直し提案:結婚・出産・住宅購入・子の独立といったライフイベントごとに営業職員が訪問し、パーツの追加・変更を提案する仕組み 「日本生命」というブランドへの信頼:相互会社としての歴史と規模感から、商品内容を細部まで確認せず加入する層が一定数いる このアクセスの良さと提案力は、自分から金融商品の比較検討をしない層には大きな価値があります。一方で、同じ理由から次のような行動も起きやすくなります。 担当者の提案するパーツ構成を、保障の必要性と価格の妥当性を分けて検討せず受け入れる 「これ1本で安心」という説明から、貯蓄性パーツの実利回りを確認しないまま長期契約に入る 結婚・出産のたびにパーツを追加し、世帯保険料が月4〜5万円規模に膨らんでも全体像を再点検しない 業界全体の傾向として、30代夫婦で終身500万+医療+がん+介護+(子が生まれたら)学資を持ち、世帯保険料が月5万円超に膨らんでいる家計は珍しくありません。 一つひとつのパーツは数千円なので、追加するときに大きな違和感が出ません。気づくと固定費の最大項目が住居費の次に保険、という家計が普通に出来上がります。 商品自体の良し悪し以前に、「自分の目的が死亡保障なのか、医療保障なのか、貯蓄なのか」を契約前に明文化することが、後悔を避ける一番の近道です。 世帯4万円ケース:30歳夫婦のモデルパッケージを見える化する 以下は公式設計書ではなく、終身保険一般水準と日本生命の典型パッケージ提案を組み合わせたモデルケース試算 です。実際の保険料は契約条件で変動します。 30代既婚・夫婦+子1人想定で営業職員から提案される典型的なパッケージを再現すると、次のような構成になることが多いです。 夫(30歳)のパッケージ例 パーツ保障内容月額(概算)期間終身保険500万円・60歳払込済12,000円30年払い定期保険2,000万円・10年更新2,500円10年更新型収入保障保険月10万円・60歳まで2,800円60歳まで総合医療特約日額5,000円・10年更新3,200円10年更新型3大疾病保障保険500万円・10年更新2,500円10年更新型介護保障保険300万円・終身払い3,000円終身払い合計26,000円/月 妻(30歳)のパッケージ例 パーツ保障内容月額(概算)期間終身保険200万円・60歳払込済5,000円30年払い総合医療特約日額5,000円・10年更新2,800円10年更新型3大疾病保障保険300万円・10年更新1,800円10年更新型がん保険特約診断一時金100万円1,500円10年更新型介護保障保険200万円・終身払い2,000円終身払い合計13,100円/月 世帯合計:月39,100円・年47万円 夫26,000円+妻13,100円=世帯月額39,100円。年間にして約47万円です。ここに学資保険や個人年金を追加すれば月5万円台に到達します。 このパッケージのうち、貯蓄性として戻ってくるのは終身保険パーツの解約返戻金のみで、定期・収入保障・医療・3大疾病・介護・がんはすべて掛け捨てです。 なお、子育て期の死亡保障そのものは、掛け捨て定期保険のほうが合理的なケースも多い です。本記事で問題視しているのは「掛け捨てそのもの」ではなく、必要保障額を超えてパーツを積み上げた結果、世帯固定費が膨張する構造のほうです。「必要な保障に絞る」と「必要保障以上には積まない」の両方が家計効率の前提になります。 30年キャッシュフロー:固定費インパクトを月単位で見る 以下も終身保険一般水準のモデルケース試算です。実際の更新後保険料は契約条件で変動します。 「50年で900万円差」と言われてもピンと来ないので、30年のキャッシュフロー(月単位の固定費)で見える化 します。 世帯月4万円を30年続けると 期間月額年額累計30〜39歳(10年)約39,000円約47万円470万円40〜49歳(10年)更新で約55,000円に上昇約66万円1,130万円50〜59歳(10年)再更新で約75,000円に上昇約90万円2,030万円30年累計約2,030万円 10年更新型の医療・3大疾病・がん・定期は年齢が上がるごとに保険料が上昇するため、契約時の月4万円は最初の10年だけ です。40歳更新で月5.5万円、50歳更新で月7.5万円というのは、終身保険一般の更新型特約の年齢別保険料水準から見て モデルケースとして 十分起こり得る数字です。 月2万円を浮かせた場合のキャッシュフロー 仮に保障の優先順位を見直して、世帯月額を4万円→2万円に圧縮できた場合、30年で 720万円のキャッシュフロー余裕 が生まれます。これは「老後の総額」ではなく「毎月の家計の余裕」として効いてくる金額です。 ...

2026年5月17日 · 最終更新: 2026年6月19日 · HIKO

かんぽ生命「新ながいきくん」は得か損か|45年保有でIRR年1%前後の実態

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。本記事では、かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」を、解約返戻率と内部収益率(IRR)の両面から検証します。 「新ながいきくん」は終身の死亡保障を持ちつつ、長期保有で解約返戻金が積み上がる貯蓄性タイプの終身保険です。よく「ながいきくんは元本割れする」と言われますが、これは半分正解で半分誤解です。払込期間中に解約すると返戻金が払込総額を大きく下回りやすい一方、払込終了後はゆっくり返戻率が上がり、長期保有でようやく100%を超えていく設計になっています。本記事では公式の保険料例(2026年5月時点)に、終身保険一般の返戻金水準と税制値を組み合わせて、デメリットと損益分岐点を概算で確認していきます。 本記事の返戻率・IRRは、2026年5月時点の公式保険料例と、終身保険一般の解約返戻金水準を基にした概算試算です。実際の返戻金は契約年齢・性別・予定利率・契約者配当の有無・契約プランによって変動するため、最終判断は必ず設計書で確認してください。 結論:「新ながいきくん」の特徴は3点に整理できる 検証してみると、新ながいきくんの貯蓄性は次の3点に整理できます。いずれも一般的な終身保険水準での概算評価です。 払込期間中の解約は元本割れリスクが高い:払込終了前に解約すると返戻率は100%を大きく下回るのが通常。低解約返戻金プランはさらに払込期間中の返戻金が抑えられる 実質利回り(IRR)は控えめ:払込終了後に長期保有してようやく返戻率が100%を超える設計で、長期IRRは年率1%前後にとどまりやすい 税優遇は一般生命保険料控除のみ:終身保険なので一般枠の対象。他の生命保険で枠を埋めている人は税メリットが乗らない ここから先は、公式の保険料例と、終身保険一般の返戻金水準を使って数字で整理していきます。 なぜ「かんぽ」は高齢層・親世代に強いのか 新ながいきくんの検討で多いのは「郵便局で勧められた」「親が長年入っている」「学資の流れで紹介された」というケースです。かんぽ生命が高齢層・親世代に支持されてきた理由は、商品設計より販売チャネルの特性にあります。 全国の郵便局窓口で相談・手続きが完結する:銀行よりも店舗数が多く、地方でも徒歩圏でアクセスできる 対面で書面を見ながら手続きできる:オンライン中心の民間生保より、紙ベースで進めたい層には心理的ハードルが低い 長年の馴染みがある:親世代から数十年契約しているケースも多く、ブランドへの信頼が世代をまたいで継承されやすい 「公的」というイメージ:実際には2007年に民営化されているものの、郵政グループの一員という印象から安心感を抱きやすい このアクセスの良さは、保険のように内容を理解しにくい商品では大きな価値になります。一方で、同じ理由から次のような行動も起きやすくなります。 郵便局員に勧められるまま加入し、保障内容を細部まで確認しないまま継続する 「貯蓄になる」という説明だけで、終身保険を資産形成商品と認識して加入する 高齢の親が「よく分からないが郵便局で言われたから」と契約を維持している 2019年に発覚した不適切販売問題以降、かんぽ生命のコンプライアンス体制は段階的に改善されています。とはいえ、相談時に保険契約者として商品理解を主体的に行うことの重要性は、どの保険会社・どのチャネルでも変わりません。窓口で勧められる商品が「自分の目的に合っているか」を判断する責任は、最終的に契約者側にあります。 保険業界で働いていた頃の感覚としても、「貯蓄になるから安心」という説明だけで終身保険に加入しているケースは少なくありませんでした。商品自体の良し悪し以前に、「自分の目的が死亡保障なのか貯蓄なのか」を契約前に明文化することが、後悔を避ける一番の近道です。 「新ながいきくん」の公式条件を整理する まず2026年5月時点でかんぽ生命公式が示している条件を整理します。 項目内容商品種類終身保険(普通終身保険)/定額型・ばらんス型・おたのしみ型の3タイプ契約可能年齢定額型 15〜85歳/ばらんス型 15〜65歳/おたのしみ型 15〜70歳基本保険金額100万円〜1,000万円保険料払込期間加入年齢ごとに設定(30歳加入→55歳払込済 など、25〜20年区切り)保険料例(30歳男性・500万円・55歳払込済)定額型 13,900円/月、おたのしみ型 15,350円/月解約返戻金プラン通常プラン/低解約返戻金プランの2種類倍型ばらんス型に2倍型・5倍型あり(払込期間中の死亡保障を2倍・5倍に上乗せ)取扱期間取扱中(2026年5月2日に保険料改定) 「新ながいきくん」は3タイプある終身保険のシリーズ名で、本記事では中心となる定額型で検証します。死亡保障は終身で続き、解約返戻金は年数経過に応じて積み上がる伝統的な貯蓄性終身保険の建付けです。 なお、低解約返戻金プランは「保険料を抑える代わりに払込期間中の解約返戻金を低く設定」する仕組みです。払込終了までは返戻金が通常プランの7割程度に抑えられるのが一般的で、払込期間中の解約は通常プラン以上に不利になります。 試算:30歳男性・基本保険金額500万円・55歳払込済の払込総額 公式の保険料例(定額型)で計算します。 月額保険料:13,900円 払込期間:25年(30歳〜55歳) 払込総額:13,900円 × 12ヶ月 × 25年 = 4,170,000円 これに対して死亡保障は基本保険金額500万円で終身。返戻金の積み上がり方は次のセクションで詳しく見ますが、現行近辺の終身保険レンジでは「払込期間中はゆっくり、払込終了直後にぐっと、その後も少しずつ」増えていく階段状の動きをするのが一般的です。 解約返戻金の推移と損益分岐点(概算試算) かんぽ生命は契約年齢・性別ごとの個別返戻金表を公表していないため、ここでは現行近辺の終身保険レンジを参考に概算で示します。30歳男性・500万円・25年払込・定額型の通常プランで、解約返戻金の目安は次の通りです(実額は契約時の設計書で必ず確認してください)。 経過年数(年齢)払込累計返戻金目安返戻率目安5年経過(35歳)834,000円約42〜50万円約50〜60%10年経過(40歳)1,668,000円約100〜120万円約60〜72%15年経過(45歳)2,502,000円約180〜205万円約72〜82%20年経過(50歳)3,336,000円約270〜295万円約81〜88%25年経過(55歳・払込済直後)4,170,000円約385〜410万円約92〜98%30年経過(60歳)4,170,000円約410〜430万円約98〜103%35年経過(65歳)4,170,000円約440〜460万円約105〜110%45年経過(75歳)4,170,000円約480〜510万円約115〜122% 上記は一般的な終身保険水準での概算で、契約者配当の有無や予定利率改定によって変動します。払込終了直後(55歳)でも返戻率は100%を割るのが通常で、損益分岐点(返戻率100%)は概ね**払込終了から5〜10年後(60〜65歳)**になります。 低解約返戻金プランの場合、払込期間中の返戻金がさらに3割程度抑えられるため、払込終了前の解約はより不利になります。逆に払込終了後は通常プランに近い水準まで戻る設計が一般的です。 「ながいきくんは元本割れする」というのは、払込期間中の解約と損益分岐到達前の解約を指していることが多い表現です。「払込終了まで25年・損益分岐到達まで30〜35年」という時間軸を許容できるかが選択の最大論点になります。 実質利回り(IRR)を試算する 時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算します。条件は次の通りです(返戻率は前述の一般的な終身保険水準を基にした概算で、実際の返戻金は設計書次第で変動します)。 拠出:月13,900円を25年間(300回) 受取:解約返戻金一括 返戻率と保有年数の組み合わせでIRRが大きく変わります。 解約タイミング返戻率目安受取額目安年率IRR目安55歳(払込済直後)約95%約396万円マイナス(元本割れ)60歳(払込済5年後)約101%約421万円年率約0.1%65歳(払込済10年後)約108%約450万円年率約0.7%75歳(払込済20年後)約118%約492万円年率約1.0% 長期保有して返戻率を最大化しても、IRRは年率1%前後というのが、現行近辺の終身保険レンジでの貯蓄性の実態です。返戻率118%という見た目の数字に対して、実質利回りは年率1%前後。これが「45年資金を拘束した上での実態」です。 生命保険料控除のメリットを差し引いてみる 「新ながいきくん」の死亡保障部分の保険料は一般生命保険料控除の対象です。年収500万円・所得税10%・住民税10%帯で概算します。 一般生命保険料控除の控除額(新制度) 年間払込保険料が80,000円超の場合、控除額は以下の上限まで取れます。 所得税:最大40,000円 住民税:最大28,000円 月13,900円×12ヶ月=年166,800円の払込なので、控除額は上限ベースで適用されます。 25年間の節税合計 所得税:40,000円 × 10% = 4,000円 住民税:28,000円 × 10% = 2,800円 年間節税額:6,800円 25年間の節税合計:6,800円 × 25年 = 170,000円 ただし、既に他の生命保険(収入保障保険・他の終身保険・個人年金保険など)で一般生命保険料控除を使い切っている人は、節税メリットはゼロです。30代既婚の方は収入保障保険などに加入しているケースが多く、控除枠が空いていないことが少なくありません。 ...

2026年5月15日 · 最終更新: 2026年5月31日 · HIKO

明治安田「じぶんの積立」は得か損か|実質利回りをIRRで検証

平成時代を生きた30代・川崎市在住の HIKO です。保険業界で10年働いたあと IT企業へ転職、現在は FP2級として家計と投資の発信をしています。本記事では、明治安田生命「じぶんの積立」の実質利回りを IRR ベースで検証し、定期預金・個人向け国債・NISA と並べて整理します。 ネット上の評判では「元本保証で安心」「返戻率108.3%はお得」という声が目立つ「じぶんの積立」ですが、デメリットも数字で確認しておきたいところです。元本保証・3年経過後はいつでも100%以上で解約できる安心感が魅力な一方、10年満期まで保有しても実質利回り(IRR)は**年率約1.07%**にとどまります。生命保険料控除を加味してもIRRは概算で年率約2.5%。元本保証商品としては優秀ですが、NISA 等の他選択肢との比較・物価上昇を考慮した実質購買力の観点では、選び方を整理してから入る商品です。本記事では公式条件(2026年5月時点)に基づき、メリット・デメリットを数字で確認していきます。 結論:「じぶんの積立」の特徴は3点に整理できる 「じぶんの積立」は元本保証・いつでも100%以上で返ってくる安心感が売りです。検証してみると、特徴は次の3点に整理できます。 実質利回りは控えめ:10年満期保有しても IRR は年率約1.07%。生命保険料控除込みでも概算年率約2.5%にとどまる 10年単位の資金拘束がある:5年払込→さらに5年据置で108.3%。3年未満の解約は元本割れ、5年解約だと返戻率100%ジャストで増加分はゼロ 税優遇は一般生命保険料控除のみ:他の生命保険で控除枠を使い切っていれば、税メリットの上乗せはありません ここから先は、公式条件と一般的な税制値を使って数字で整理していきます。 「じぶんの積立」の公式条件を整理する まず2026年5月時点の公式条件を整理します。 項目内容月額保険料5,000円〜(複数口契約で増額可)払込期間5年保険期間10年5年払込終了時返戻率100.0%(元本割れなし)10年満期時返戻率108.3%中途解約時の元本保証3年経過後から返戻率100%以上加入年齢被保険者6〜75歳・契約者18歳〜生命保険料控除区分一般生命保険料控除の対象 商品の建付けは「5年間月払い→そのまま5年据え置き→満期で返戻率108.3%」というシンプルな貯蓄型保険です。元本割れリスクが低く、預金より少し増える商品として位置づけられています。 なお、最低額は月5,000円ですが、口数を増やせば月2万円程度まで積み増しできます。ただし保険料控除の上限は所得税で年8万円超で頭打ち(控除額4万円)になるため、月1万円前後で頭打ちに近づきます。 試算:月1万円×5年払い込み・10年満期の実質利回り 月1万円×60ヶ月(5年)の払込で計算します。 払込総額:10,000円 × 60ヶ月 = 600,000円 満期受取額:600,000円 × 108.3% = 649,800円 増加額:49,800円 ここまでは単純な算数ですが、ポイントは「60万円が一括ではなく月1万円ずつ拠出された」「払込終了後5年間は据え置き」という時間構造です。 時間価値を考慮した内部収益率(IRR)を計算すると、月次IRRは約0.089%、**年率に換算すると約1.07%**になります。 返戻率108.3%という見た目に対して、実質利回りは約1.07%/年。これが「10年拘束した上での実態」です。 参考までに、5年払込が終わった直後に解約すると返戻率は100.0%、つまり IRR は年率ほぼ0%になります。「5年積み立てて100%で返ってくる」と聞くと安全に感じますが、5年間の機会を考えると実質的な増加はほぼ生まれません。 解約返戻金の推移:3年未満で解約すると元本割れする 公式のシミュレーション表によると、解約時の返戻率は以下のように推移します。 経過年数返戻率1年経過100%未満(元本割れ)3年経過100.0%5年経過(払込終了)100.0%7年経過104.5%10年経過(満期)108.3% 公式サイトには「3年経過後はいつでも100%以上の解約返戻金」との記載があります。3年未満で解約すると元本割れする点は要注意です。 また、5年経過時点(払込終了)でも返戻率は100.0%ジャストで、増加分(49,800円)はすべて残り5年間の据え置き期間に乗ってくる形になります。家計の急変で5年で解約してしまうと、60万円を5年間動かせなかっただけ、という結果になりやすい設計です。 生命保険料控除のメリットを差し引いてみる 「じぶんの積立」の大きな魅力は、保険料を払いながら一般生命保険料控除を受けられる点です。年収500万円・所得税10%・住民税10%帯で試算します。 一般生命保険料控除の控除額(新制度) 年間払込保険料が80,000円超の場合、控除額は以下の上限まで取れます。 所得税:最大40,000円 住民税:最大28,000円 月1万円積立時の節税額(年) 月1万円×12ヶ月=年12万円の払込なので、控除額は上限ベースで適用されます。 所得税:40,000円 × 10% = 4,000円 住民税:28,000円 × 10% = 2,800円 年間節税額:6,800円 5年間の節税合計 ただし、既に他の生命保険(医療保険・終身保険など)で一般生命保険料控除を使い切っている人は、節税メリットはゼロです。30代既婚男性の多くは医療保険や収入保障保険に加入しているため、控除枠が空いていないケースが少なくありません。 仮に控除枠がフル活用できたとして、5年間の節税合計は 6,800円 × 5年 = 34,000円。 ...

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