サニーガーデンEXは10年たったら解約すべき?|デメリットと市場価格調整を公式資料で検証
保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職したFP2級のHIKOです。私自身はサニーガーデンEXを契約していません。この記事は、メットライフ生命が公表している既契約者向け資料と公式サイトを読み込んで整理したものです。 「サニーガーデンEX デメリット」で検索する方の多くは、これから買うかどうかではなく、すでに持っている契約を続けるか解約するかで迷っているのだと思います。2015年発売で、現在は新規契約の取扱いが終了している商品です。確認できた数字と、私が置いた仮定は分けて示します。 本記事は特定の保険商品の解約・購入・継続を勧めるものではありません。保険・投資いずれも元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身で、保険証券・契約のしおり・約款と最新の情報を確認したうえで行ってください。記載の数値は、出典と確認時点を明記したもの以外はすべて私が置いた仮定にもとづく試算です。なお、本記事はアフィリエイトリンクを含みます。 この記事の結論 10年たったという事実だけでは、解約するかどうかは決められません。判断に必要なのは、①次の積立利率計算基準日に解約した場合の金額 ②更改後の積立利率 ③今後も死亡保障を持つ必要があるか、の3つです。この3つがそろわないうちは、続けるか解約するかを比べること自体ができません。 そして、①と②を左右するのが契約日です。まず保険証券で契約日を確認してください。サニーガーデンEXは契約日によって、解約控除率(契約日からの経過年数で決まります)・次の積立利率計算基準日(契約日から10年ごとの契約応当日)・保険関係費用の上限(契約日が2022年3月以前の契約は最大1.54%)が変わります。メットライフ生命のよくあるご質問にも「契約により、取り扱いが異なる場合があります」と記載されています。 サニーガーデンEXでは、積立利率計算基準日に解約・減額した場合、市場価格調整は適用されません。翌日以降は再び適用されます。契約日から10年以上経過していれば、解約控除もかかりません。つまり基準日は「解約すべき日」ではなく、いま解約した場合・基準日に解約した場合・そのまま次の10年を持ち続けた場合を比較するタイミングです。 まずは自分の状況から、見るところを絞ってください。 状況判断の方向契約から10年未満で、いますぐ資金が必要解約控除と市場価格調整の両方が引かれます。まず解約返戻金の実額を照会し、引かれても必要額に足りるかで判断します10年以上たっていて、次の基準日まで待てる基準日に解約すれば市場価格調整は適用されず、解約控除もかかりません。解約日をその日に合わせられるかを事前に確認します10年以上たっていて、近く円で使う予定がある使う時期が次の基準日より前に来るなら、市場価格調整が適用される前提で、いま円に換えた場合の額で足りるかを見ます外貨のまま長く持て、死亡保障もまだ必要更改後の積立利率と死亡保障をあわせて、外貨預金・外貨MMFなど同じ通貨の置き場所と比べます死亡保障が不要で、同じ通貨により有利な置き場所がある保障の価値を差し引かずに利率だけで比べられます。解約返戻金の実額を照会し、代替先の利率と並べます円建終身保険へ移行済み(目標設定付定期支払コース)市場価格調整も解約控除も適用されません。判断は円の利率と死亡保障の要否だけになります この表は方向づけで、金額は照会が前提です。以下では①②の確認方法(解約控除率と基準日の仕組み)を公式資料で見てから、③を含めた3つの選択肢の比べ方を整理します。 サニーガーデンEXの注意点5つ|既契約者が確認したいデメリット 最初の2つは商品性そのもののデメリット、残りの3つは知らないと不利になる商品ルールです。記載はすべて、メットライフ生命「既契約者さま専用資料 2026年4月版」(PDF・2026年2月作成・2026年8月15日確認)と、同社のよくあるご質問によります。 注意点公式の記載既契約者にとっての意味円で使う資産なのに為替リスクを負う「外貨(米ドル・豪ドル)で運用する一時払の終身保険です」円建プランはなく、円に換えるまで為替が付いてきます。死亡保険金の最低保証も外貨建です10年未満の解約は解約控除と市場価格調整の二重で弱い解約控除は「経過年数に応じて、積立金額に対して10.0%〜1.0%を差し引きます」急な資金需要に応える商品ではありません市場価格調整が適用されないのは基準日に解約した場合だけ基準日を越えて(翌日以降)の解約は「再び市場価格調整が適用となります」日付の管理が1日単位で必要になります受け取り方の骨格は契約後に変えられない「積立金定期支払特約(15)(中略)円建終身保険移行特約(15)は契約時にのみ付加することができます。また、この特約・特則のみを途中で解約することはできません」「契約後に受取通貨の変更はできません」特約を後から足すことも、付いている特約だけを外すこともできません(分割受取回数と目標額は変更可)増額も契約者貸付もできない「保険契約者貸付:お取扱いできません」「増額:お取扱いできません」一部だけ現金化する手段は減額に限られます このほか同資料には「この保険に高度障害保険金はありません」「この保険に配当金はありません」とも書かれており、減額後の基本保険金額が2万米ドル・2万豪ドル未満になる減額もできません。 「新規のお取扱い終了」はデメリットではなく環境変化です 新規取扱いの終了をデメリットに数える解説を見かけますが、販売の終了は新しい申込みの受付をやめることであって、すでに成立している契約の内容が変わるわけではありません。実際、同社は新規取扱いを終えたあとも既契約者向けの資料を2026年4月版として作成しており、積立利率・定期支払率と円支払特約用の為替レートは契約者向けページ(2026年8月15日確認)に掲載されています。 なお、正式名称は「積立利率変動型一時払終身保険(米ドル保険料建 15)/(豪ドル保険料建 15)」で、資料には「募集代理店により商品名が異なります」と明記されています。保険証券の商品名がサニーガーデンEXでなくても、正式名称がこれなら同じ商品です。 費用は率で開示されている|ただし資料から自分の契約の実額までは分からない 外貨建て保険の批判でよく見かけるのが「費用がいくらか分からない」という指摘ですが、この商品を「非開示」と断定するのは正確ではありません。同資料は保険関係費用を率で示しています。 費用の項目率差し引かれる場所死亡保障および保険契約の締結・維持にかかる費用最大1.05%(契約日が2022年3月以前の契約は最大1.54%)積立利率を決める際、指標金利の平均値に1.0%を増減させた範囲内で同社が定めた利率から差し引く災害死亡保障にかかる費用年0.02%円建終身保険に移行後、同社が定めた利率から差し引く年金を管理するための費用年金額の1.00%年金支払特約を付加した場合、毎年の年金支払時に差し引く 注意したいのは、1.05%は上限であって、全員から毎年1.05%が差し引かれるという意味ではないことです。この費用は積立利率を決める段階で引かれるため、案内される積立利率は費用控除後の数字です。 では、費用は高いのでしょうか。少なくとも既契約者向け資料は、契約者ごとに実際に適用されている費用率を個別に確認できる形ではありません。比較できる数字が手元にない以上、この記事では高い・安いを判定しません。 サニーガーデンEXの解約返戻金が決まる仕組み|式は1本だけ 同資料に示されている計算式は、次の1本だけです。 解約返戻金額 = 解約日・減額日の積立金額 ×(1 − 市場価格調整率 − 解約控除率) 出発点は、解約日・減額日の積立金額です。積立金額の育ち方は積立利率(最低保証は年0.01%)とコースで変わるため、いまいくらかはメットライフ生命に照会するのが確実です。ここから差し引かれるのが、市場価格調整率と解約控除率の2つです。 解約控除率は経過年数だけで決まる公表値 解約控除率は、公式資料に全数が載っています。分母は積立金額です。 経過年数解約控除率1年未満10.0%1年以上2年未満9.0%2年以上3年未満8.0%3年以上4年未満7.0%4年以上5年未満6.0%5年以上6年未満5.0%6年以上7年未満4.0%7年以上8年未満3.0%8年以上9年未満2.0%9年以上10年未満1.0%10年以上0.0% 解約控除率は経過年数で決まり、契約日から10年以上経過した契約では0.0%です。基準日だから0.0%になるのではなく、その日までに経過年数が10年に達しているから0.0%だという順番です。なお控除の分母は商品ごとに違い、他社には基本保険金額を分母にしている一時払終身保険もあるので、他社と率を並べるときは何に対する率かをそろえてください。 市場価格調整率は自分では出しにくい部分 市場価格調整は、解約時に運用対象となっている資産(債券など)の価値を解約返戻金に反映させる仕組みです。同資料は「一般的に、債券の価値は、市場金利が高くなると下がり、市場金利が低くなると上がる性質があります」と説明しています。金利が上がっていれば解約返戻金は減る方向、下がっていれば増える方向に働きます。 計算式そのものは資料に載っていますが、式には「解約日・減額日に計算される積立利率」など契約者の手元にない値が入るため、保険証券や契約時の書面だけでは、現在の市場価格調整率を正確に算出できない場合があります。いま解約した場合の金額を同社に照会するほうが早くて確実です。 なお、外貨建の解約返戻金を円で受け取るには円支払特約を使います。適用レートは同資料によるとTTM−50銭(2026年2月現在)で、為替手数料が含まれ契約者の負担になると明記されています。外貨建て保険を解約するときの為替と税金については、こちらで詳しく計算しています。 サニーガーデンEXの積立利率計算基準日|基準日に解約すれば市場価格調整は適用されない ここがこの記事でいちばん重要なところです。メットライフ生命はよくあるご質問(ご契約者さま向け)「利率更改日とは何ですか。」で、次のように説明しています。 積立利率/基準利率計算基準日に解約/減額した場合は、市場価格調整が適用されません。積立利率/基準利率計算基準日における解約返戻金額は解約日における積立金額となります。なお、積立利率/基準利率計算基準日を越えて(翌日以降)の解約となる場合は、再び市場価格調整が適用となりますのでご注意ください。 積立利率/基準利率計算基準日以降に解約・減額した場合、解約控除は適用されません。(契約により解約控除がない場合もあります。) ※契約により、取り扱いが異なる場合があります。詳しくはご契約の約款などをご確認ください。 出典はメットライフ生命 よくあるご質問「利率更改日とは何ですか。」(2026年8月15日確認)です。つまりサニーガーデンEXでは、積立利率計算基準日に解約・減額した場合、市場価格調整は適用されません。翌日以降は再び適用されます。ここがこの商品でいちばん見落とされやすいところだと思います。10年という単位の話に見えて、実際には1日単位の話だということです。なお引用の末尾にあるとおり、取り扱いが契約によって異なる場合がある点は前提として押さえておいてください。 なお、引用中の「基準日以降に解約・減額した場合、解約控除は適用されません」と、先ほどの解約控除率の表(10年以上で0.0%)は矛盾しません。10年を過ぎた契約では、解約タイミングを左右するのは市場価格調整が適用されるかどうかという一点に絞られます。 契約日から次の基準日までに何が起きるか 積立利率計算基準日は、契約日から10年ごとの契約応当日です。10年目だけの話ではなく、20年目・30年目にも同じ日が来ます。解約控除と市場価格調整がどの時点でどうなるかを並べると、次のようになります。 解約日の時点解約控除率(経過年数で決まる)市場価格調整(適用の有無)解約返戻金(外貨建)契約日から1年未満10.0%適用される積立金額×(1−市場価格調整率−10.0%)1年目の契約応当日以後9.0%適用される積立金額×(1−市場価格調整率−9.0%)5年目の契約応当日以後5.0%適用される積立金額×(1−市場価格調整率−5.0%)9年目の契約応当日以後1.0%適用される積立金額×(1−市場価格調整率−1.0%)10周年の前日1.0%適用される積立金額×(1−市場価格調整率−1.0%)10周年の当日=積立利率計算基準日0.0%適用されない積立金額10周年の翌日0.0%再び適用される積立金額×(1−市場価格調整率)20周年の当日=次の基準日0.0%適用されない積立金額 10周年の前日と当日で、解約控除率が1.0%から0.0%へ下がるだけでなく市場価格調整の適用まで変わるのが、この表でいちばん大きい段差です。解約返戻金はすべて外貨建なので、円で受け取る場合はここから円支払特約の為替レート(TTM−50銭)が適用されます。 基準日は契約日と同じ月日で、2015年契約なら2025年の契約応当日、2016年契約なら2026年の契約応当日というように契約ごとに違います。自分の契約がこのとおりかは、約款とメットライフ生命への照会で確かめてください。 基準日をねらうなら「解約日」の定義と新利率の確認経路を先に押さえる 「10年経ったから」ではなく「積立利率計算基準日を確認する」というのが、この商品の実務です。押さえておく点が3つあります。 1つ目は解約日の定義で、ここは資料によって書き方が違います。既契約者さま専用資料には「『解約日』はメットライフ生命における書類受付日もしくは保険契約者が指定した日のいずれか遅い日となります」(円建終身保険へ移行した場合は書類受付日のみ、という注記付き)とあり、契約者が指定した日を選べる書き方です。 一方、同社の手続き全般のよくあるご質問は、解約日(効力発生日)を手続き方法で説明しています。 解約日(効力発生日)は、手続き方法により異なります。【書面で手続きした場合】「不備のない書類が当社に到着し、受付を完了した時点」【WEBで手続きした場合】「WEB上での解約手続きを完了し、解約データが当社に到着した時点」 出典はメットライフ生命 よくあるご質問「解約しました。解約日(効力発生日)はいつですか。」(2026年8月15日確認)です。自分の契約でどちらの扱いになるかを、この2つの資料だけで決めることはできません。 ...