「家賃が高くて投資どころじゃない」——その感覚、正直わかります
家賃が月15万・16万と高い。毎月カツカツで、投資に回せるお金なんてない。
この記事を開いた方は、そういう状況だと思います。
私も同じでした。港区の1K・家賃16万円(麻布台ヒルズ徒歩圏内)に住んでいた頃、手取りは35万円前後。毎月の自由になるお金は3〜4万円ほどで、「投資は余裕がある人がやるもの」と本気で思っていました。
でも今は、月10万円を積立NISAに入れ続け、投資歴11年で資産も少しずつ積み上がってきました(現在は約3,000万円です)。
この記事では「投資どころじゃない」と感じている状態でも始められた理由と、実際にどう動いたかを書きます。投資を勧めるための記事ではなく、同じ状況から動いた人間の記録として読んでもらえると幸いです。
「余裕がない」のに投資を始めた理由
家賃が高いほど「貯金」だけでは追いつかない現実
まず数字を見てください。
| 手取り | 家賃 | 生活費 | 月の貯金額 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 8万円 | 12万円 | 10万円 |
| 30万円 | 12万円 | 12万円 | 6万円 |
| 30万円 | 16万円 | 12万円 | 2万円 |
手取り30万円で家賃16万円の場合、毎月の貯金は2万円が限界です。
この2万円を30年間、普通預金に積み続けると: 2万円 × 12ヶ月 × 30年 = 720万円
一方で、同じ2万円をインデックスファンド(年率3〜7%の想定レンジ)に積み立てると:
- 年率3%のシナリオ:約1,165万円
- 年率5%のシナリオ:約1,660万円
- 年率7%のシナリオ:約2,431万円
年率5%シナリオの場合、貯金のみとの差は940万円。家賃16万円なら、約5年分の家賃に相当する金額です。
ここで「S&P500は過去平均7〜10%だから安心」と言うのは簡単ですが、これはあくまで過去の平均値であり、将来を保証するものではありません。実際、取り崩し開始直前に大暴落が来れば、長期投資でも大きく資産が減ります。
それでも貯金だけと比べると、複利が働くかどうかで長期的な差が生まれやすいのは事実です。
「老後2,000万円問題」の前提を確認する
よく「老後2,000万円が必要」と言われますが、これは2019年の金融庁レポートが元になっています。前提は「夫65歳・妻60歳の無職世帯、月約5.5万円の赤字が30年続く」というモデルケースです。
自分の状況(独身か夫婦か、年金見込み額、退職金の有無)によって必要額は大きく変わります。ただ「貯金だけで2,000万円を積み上げるのは家賃が高い環境では現実的に難しい」という点は、先ほどの試算からも読み取れます。
「昇給してから始めよう」は永遠に始まらない
「もう少し余裕ができたら投資を始める」——これは10代の頃から続けていた自分の口癖でした。
収入が上がると、家賃や生活費のグレードも上がります(これを「ライフスタイル・インフレーション」と言います)。収入と支出は連動して増えていき、「余裕」は思ったほど生まれません。「余裕ができたら始める」を待っていると、永遠に始まらないのです。
私の実体験:港区・家賃16万円から月1万円を動かした
当時の状況を正確に書くと:
- 家賃:16万円
- 手取り:35万円前後
- 月の自由になるお金:3〜4万円
「投資どころじゃない」と思っていた理由はもうひとつあって、2015年にNISAで買ったコナカ株(738円×100株)が、翌年から下がり始めたことです。初めての投資で含み損を抱えた経験が、「やっぱり投資は怖い」という感覚を強化していました。
それでも動いたのは、ある月の収支を振り返ったときです。
「投資する余裕はない」と思っていたのに、月3〜4万円は飲み代や交際費として消えていました。「今日だけ」「仕事のストレス発散」という言い訳で、毎月同じことを繰り返していたのです。残高を見ながら、これが10年続いたらどうなるかを考えました。貯金は増えない、でもコナカ株の含み損は変わらない。何も変わらないまま40代になる、という感覚がリアルに迫ってきたのだと思います。
まず月1万円だけ積立NISAを始めました。正直、最初の数ヶ月は「やっぱり含み損が出たら嫌だな」と口座を見るのが怖かったです。でも積立は自動引き落としなので、見なければそのまま続きました。6ヶ月後には慣れていて、1年後には月10万円に増額しました。
コナカ株の含み損は今もあります。ただ、あの失敗があったからこそ「個別株より分散インデックスのほうが自分には合っている」と早めに気づけた面もあります。
家賃が高くても始めやすい投資3選と、その順番の理由
① まず積立NISA(月100円〜)を最初に選ぶ理由
新NISAのつみたて投資枠は年120万円まで運用益が非課税です。
なぜ積立NISAを最初に選ぶかというと、60歳前でも引き出せるからです。家賃が高くてキャッシュフローが不安定な状況では、「いざとなれば使える」という安心感が続けやすさにつながります。
月1万円から始めて、慣れたら増額する。この「小さく始めて習慣化する」設計が、余裕が少ない状況には合っています。
証券会社はSBI証券か楽天証券が手数料・品揃え共に使いやすいです。
② 積立NISAに慣れてからiDeCo
iDeCoは掛け金が全額所得控除になる節税効果が大きい制度です。
年収500万円の会社員が月2万3,000円積み立てると、年間約5万5,000円の節税になります(所得税10%+住民税10%の場合)。
ただし60歳まで引き出せないという制約があります。家賃が高く毎月のキャッシュが読みにくい状況では、まずiDeCoより積立NISAで動きやすさを確保してから始めるほうが続けやすいです。
③ 高配当株・ETFは「余裕が出てから」で十分
高配当株やETFは、配当金が定期的に入ってきて投資のモチベーションが上がりやすい面があります。私もJTや日本郵政などを保有していました。
ただ、高配当株は個別銘柄の場合、業績悪化で減配・無配になるリスクがあります。余裕資金が少ない段階でこちらを優先すると、1社の業績悪化が心理的にきつくなります。
まず積立NISA→慣れたらiDeCo→余裕資金で高配当という順番が、家賃が高い状況では無理が少ないです。
投資のリスクについて正直に書く
元本割れは起こります
インデックス投資は長期で見ると上昇する局面が多かったですが、それでも10年以上にわたって元本を割り込む期間が続くことがあります。リーマンショック後は回復まで数年かかりました。
「長期なら必ず勝てる」は言い過ぎです。正確には「長期・積立・分散によって損失リスクが下がりやすい」という話です。
暴落時に積立を続けるのは想像より難しい
下落相場でも積立を続けることが長期投資の肝ですが、実際に含み損が30〜40%になると動揺します。私はコナカ株の含み損で1回「もう投資はやめよう」と思いかけました。
インデックスの積立は個別株より感情的な動揺が少ないですが、それでも一時的な大幅下落時に売らずにいられるかどうかは、事前に心構えをしておいたほうがいいです。
「始めないリスク」も実在する
一方で、何もしないことにもリスクはあります。貯金のみで資産を持ち続けると、インフレが続く局面では実質的な購買力が下がっていきます。
どちらもゼロリスクではない。その前提で、自分がコントロールできる範囲で始めるというのが現実的な考え方だと思っています。
よくある疑問への回答
Q. 毎月の余裕が1〜2万円しかない
A. 月1万円で十分スタートになります。 積立NISAは月100円から設定できます。目安としては、最低でも月1万円。余裕があれば「手取りの5%」を基準にすると無理なく続けやすいです。金額より「始めること」と「続けること」のほうが長期的には重要です。
Q. 投資で損するのが怖い
A. 怖いのは正常な感覚です。 ただ、インデックスファンドの積立であれば、個別株のような「1銘柄が急落して資産が半分になる」リスクは分散されています。怖さを感じながら小額で始めて、実際に値動きを経験することが一番の慣れになります。
Q. 家賃を下げてから始めるべき?
A. どちらが先でも構いません。 家賃を下げれば投資額を増やせますが、「家賃を下げるまで投資を保留する」は先送りになりがちです。月1万円の積立と家賃の見直し検討を並行してやるのが現実的です。
まとめ:「余裕がない状態で始める」ために設計する
家賃が高くてキャッシュが少ない状況で投資を始めることは「無謀」ではありません。ただし、余裕がない前提の設計が必要です。
- 引き出せない制度(iDeCo)より、引き出せる制度(積立NISA)を先にやる
- 個別株より分散インデックスで感情的な動揺を減らす
- 月1万円から始めて、習慣化してから増額する
同じ月2万円でも、貯金だけと投資では長期的に資産の差が生まれやすいのは事実です。ただし「必ず増える」ではなく「元本割れのリスクを理解した上で、貯金と組み合わせて使う」という感覚で始めるのが長続きします。
次にやること:まず証券口座を開く
私の場合、「あのとき月1万円を動かしたかどうか」で今の資産は変わりました。
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