IT企業に転職して最初の年末、総務から「企業DCの商品を選んでください」という通知が届きました。正直、何を選べばいいかまったくわからなかったのを覚えています。とりあえず元本確保型の定期預金を選んで放置していましたが、半年後に運用商品を見直したとき、利回り0%で眠っている自分のお金を見て少し後悔しました。その経験から、企業DCとNISAをどう組み合わせるかを真剣に考え始めました。


退職金について、少し厳しい現実をお伝えします。

厚生労働省「就労条件総合調査」によると、大企業・大卒・長期勤務の場合の退職金は、20年前の約2,500万円から現在は1,900万円前後まで減少しています。20年で約600〜1,000万円の差です。

大企業・長期勤務の退職金推移(万円)
2500万円
20年前
1900万円
現在
20年で約600〜1,000万円減。厚生労働省「就労条件総合調査」より

さらにこれは「大企業×長期勤務」という条件での平均値です。退職金制度のない企業や、DCへの移行で支給額が縮小している企業も増えています。

30代で何も対策しない場合と、NISA・企業DCを活用した場合では、老後資産に2,000万円以上の差がつくケースも珍しくありません。

この記事では、退職金が減り続ける背景と、30代が今すぐ実践できる3つの対策を解説します。


この記事の結論(先に確認してください)

30代がやるべきことはシンプルです。

  1. 企業DCを放置しない(商品選択の見直しで数百万円変わることがある)
  2. 新NISAで毎月積立(月3万円を目安に)
  3. 固定費(特に家賃)を下げて積立の原資を作る

この3つを組み合わせることで、公的年金と退職金への依存を減らし、自分で作る「もう一つの退職金」を積み上げられます。


退職金はなぜ減り続けるのか

理由は大きく3つです。

  • 終身雇用制度の崩壊:長期勤続を前提にした退職金制度そのものが見直されています
  • 企業のコスト削減圧力:確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が続いており、運用の自己責任化が進んでいます
  • DCの掛金上限と運用格差:DCが導入された会社でも、商品を「元本確保型」のまま放置している人は運用メリットをまったく受けられていません

「退職金がある前提」で将来設計をしている場合、想定より数百万円少ない可能性があります。


30代がやるべき3つの対策

① 企業DCの商品を見直す

企業DCを導入している会社に勤めている場合、まず確認すべきは「どの商品で運用されているか」です。

入社時のデフォルト設定が元本確保型(定期預金型)のままになっているケースは非常に多いです。

月2万円の掛金を、利回り0%(元本確保型)と年利5%(インデックスファンド)で20年間運用した場合の差を計算すると、受取額は単純試算で約300万円以上開きます。

確認すべきこととやり方はシンプルです。

  1. DCの管理会社サイトにログインする
  2. 現在の運用商品を確認する
  3. 低コストのインデックスファンドに変更する

「変更の手間が面倒」と感じるかもしれませんが、一度設定すれば毎月自動で積み立てられます。

企業DCの商品選びや運用設定の詳細は「企業DCを最大限活用する方法(30代版)」で解説しています。


② 新NISAで毎月積立を始める

企業DCの次に重要なのが新NISAです。

  • つみたて投資枠:年120万円まで(月10万円)
  • 成長投資枠:年240万円まで
  • 生涯非課税枠:合計1,800万円

月3〜5万円のペースで全世界株式インデックス(オルカンなど)を積み立て続けた場合、30年後の試算を見ると退職金に匹敵するレベルの資産形成が可能です。

月の積立額30年後(年利5%想定)
1万円約830万円
3万円約2,490万円
5万円約4,150万円

※試算はあくまで一定の年利を前提にした概算です。実際の運用成果は変動します。

積立を始めるには証券口座が必要です。クレカ積立に対応していてコスト最安水準の商品が揃う証券会社を選ぶのがポイントです。

NISAに対応した証券会社の比較も参考にしてください。


③ 固定費を下げて積立の原資を作る

家賃を月3万円下げると、年間36万円の余裕が生まれます。これを30年間、年利5%で運用した場合の試算は約2,500万円です。

投資リターンより先に固定費削減を検討すべき理由は、効果が確実だからです。投資は運用次第でリターンが変動しますが、固定費削減は確実に手取りを増やします。

家賃の見直し方法は「家賃"安全ライン"の計算方法(30代版)」と「家賃が高い人ほど投資すべき理由」を合わせて参照してください。


退職金の不足額を把握する

大まかな目安として、以下を参考にしてください。

勤務先の退職金制度自助努力で補うべき目安
退職金あり(確定給付型)+500〜1,000万円
DCのみ(自己運用)運用成果次第。放置は危険
退職金なし+2,000〜3,000万円

これは平均的な老後生活費と公的年金の差から逆算した概算です。自分の年金見込額は「ねんきんネット」で確認できます。


よくある質問

Q. 企業DCとiDeCoはどちらを優先すればいいですか?

企業DCがある場合はDCを優先してください。マッチング拠出(自分で上乗せ積立できる制度)が使える会社なら、まずそれを最大活用します。その後、NISAで資産形成を続けるのが効率的な順番です。

Q. 30代後半から始めても間に合いますか?

間に合います。30代後半から30年間積み立てると60代後半になるため、老後資金形成の時間軸としては十分です。ただし早く始めるほど複利効果が大きくなるため、始められるなら早いほど有利です。

Q. 勤務先に企業DCがありません。退職金もほぼゼロです。

その場合はNISAに加えてiDeCoも併用するのが現実解です。掛金が全額所得控除になるので、年収500万円帯なら月2万円拠出で年4.8万円の節税効果が出ます(所得税10%+住民税10%想定)。「自分で作る退職金」の最有力ツールです。口座管理手数料0円・低コストファンドが揃っている松井証券などの主要ネット証券が候補になります。

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口座管理手数料0円・インデックスファンド40本以上・電話サポートHDI三つ星15年連続。退職金が当てにできない時代の自衛策として、長期間使い続けるiDeCo口座と相性が良いです。
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まとめ

退職金はこれからも減り続ける方向にあります。公的年金の将来も不透明な中、30代のうちに「自分で作る退職金」の仕組みを作ることが、老後の選択肢を広げる唯一の手段です。

やることは3つだけです。

  1. 企業DCの商品をインデックスファンドに変更する
  2. 新NISAで毎月積み立てる
  3. 固定費を削減して積立の原資を増やす

一度設定すれば、あとは自動で積み上がる仕組みです。「後で始める」という選択は、複利効果が薄まるだけで得るものはありません。


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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘・投資助言ではありません。投資にはリスクがあり、元本は保証されません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。税制・拠出限度額等は改正される可能性があります。最新情報は金融庁・厚生労働省・各金融機関の公式サイトをご確認ください。

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HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり