保険業界に10年身を置いたあとIT企業へ転職した、30代のHIKO(FP2級)です。私自身は変額保険に加入したことはありません。この記事は公式に公開されている資料を読み込んで整理したものです。

「ソニー生命 変額保険 運用実績」で検索する方が知りたいのは、結局のところどれくらい増えたのかだと思います。

ソニー生命は特別勘定の運用実績を毎月PDFで公開しています。特別勘定とは、変額保険や変額個人年金保険のように運用実績が直接保険金等に反映される商品のために設けられた勘定で、終身保険や医療保険などの責任準備金に対応する資産を運用する一般勘定とは分離して運用されます。この記事では、その2026年6月度の資料から8つの特別勘定の数字を全部並べ、そこから見える3つの論点を整理します。特定の商品をおすすめするものではなく、判断材料を並べるところまでが目的です。

本記事は2026年8月9日時点で公開されている「変額保険(特別勘定)の現況」(2026年6月度)および公式サイトの商品ページにもとづいています。記載の騰落率はすべて過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。 変額保険は元本割れすることがあります。最終的な判断は必ず「重要事項説明書」「ご契約のしおり・約款」「特別勘定のしおり」でご確認ください。

結論:運用実績は勘定ごとに大きく違い、契約者の利回りとも別物です

先に結論です。

「ソニー生命の変額保険の運用実績」という単一の数字は存在しません。 8つある特別勘定のどれを選んだかで、結果がまったく違います。10年の年換算で見ると、最も高い世界コア株式型が+19.10%、最も低い債券型が-1.36%でした。

そして、この記事で一番伝えたいのはここです。

その+19.10%は、あなたが払った保険料が増えた率ではありません。 これは特別勘定という運用の器そのものの成績で、そこに到達する前に保険料から費用が引かれ、到達したあとも積立金から費用が引かれます。公式資料にそう明記されています。

もう1つ、表を見るときの前提があります。8つの勘定のうち5つは、直近1〜4年のあいだに運用のやり方そのものを変えています。 10年の数字が「いまの運用の実績」だとは限りません。

この2つを踏まえずに数字だけを見ると、判断を間違えます。順番に見ていきます。

8つの特別勘定の運用実績(2026年6月末時点)

公式資料に載っている数字をそのまま並べます。すべて年換算です。

特別勘定1年5年10年設定来
世界コア株式型+39.77%+21.58%+19.10%+10.14%
株式型+70.76%+20.27%+17.36%+5.39%
日本成長株式型+44.14%+13.46%+13.62%+8.19%
世界株式型+0.38%+9.23%+12.69%+11.54%
総合型+22.12%+6.41%+6.31%+4.23%
世界債券型+12.21%+5.28%+4.15%+3.61%
短期金融市場型+0.59%+0.17%+0.07%+0.12%
債券型-4.78%-2.54%-1.36%+2.96%

株式系の勘定はどれも二桁です。直近10年が世界的な株高だったことを考えれば、これ自体は驚く数字ではありません。

問題はここからです。

発見①:10年の実績は「いまの運用」の実績ではありません

先ほどの表を見て「10年で年+19.10%なら」と判断しかけたなら、いったん止めてください。8つの勘定のうち5つは、直近1〜4年のあいだに運用のやり方そのものを変えています。

公式資料の各ページには、小さな文字で次のような注記が入っています。

特別勘定現在の運用方法になった時期10年実績は現在の運用か
世界コア株式型2009年9月ほぼ該当する
日本成長株式型(注記なし)該当する
短期金融市場型(注記なし)該当する
世界株式型2022年9月していない
株式型2025年11月していない
総合型2025年12月していない
債券型2026年2月していない
世界債券型2026年3月していない

たとえば世界株式型には、こう書かれています。

世界株式型の指数値は、1999年5月1日~2022年8月31日までは、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社の運用助言に基づいた自社運用による運用成果です。2022年9月1日以降は、主として「グローバル・クオリティ・ファンドSL」による運用成果です。

つまり世界株式型の10年実績のうち、いまの運用方法で運用されたのは直近の約3年10か月だけです。残りは別の運用体制の成績です。株式型・総合型・債券型・世界債券型にいたっては、現在の運用方法になってからまだ1年も経っていません。

これは責められる話ではありません。運用を見直すこと自体は普通のことです。ただ、読者の側が「10年で年+17.36%だったから今後も期待できる」と読むと、前提を間違えます。

同じ期間で一貫しているのは、実質的に世界コア株式型(2009年9月から現在のファンド)だけです。

同じMSCIワールドを指標にしても、実績には差が出ています

そのうえで、比較としてはっきり見える点もあります。

「世界コア株式型」と「世界株式型」は、どちらもMSCIワールド・インデックス(配当込・円換算ベース)をベンチマークにしています。

1年5年10年
世界コア株式型+39.77%+21.58%+19.10%
世界株式型+0.38%+9.23%+12.69%
ベンチマーク(MSCIワールド)+36.17%+20.70%+19.06%

世界コア株式型はベンチマークにほぼ一致しています(10年で+19.10%対+19.06%)。

一方の世界株式型は、10年で6.37ポイント下回っています。ただしこの10年差を「いまの運用が劣っている証拠」と読むことはできません。 上で見たとおり、期間の大半が別の運用体制だからです。

現在の運用方法を評価するなら、運用方法が変わった2022年9月以降の期間で見る必要があります。 世界株式型であれば、そこから現在まで約3年10か月が判断材料になります。

ただし公式の月次資料に載っているのは1年・5年・10年・設定来の4つで、「2022年9月以降」という区切りの数字は用意されていません。共通して確認できるもののうち、変更後の期間にすっぽり収まるのは1年だけです。その1年では世界株式型が+0.38%、ベンチマークが+36.17%でした。1年は結論を出せる長さではないので、あくまで直近の参考値として見るのが妥当だと思います。

中身の違いも公式資料から分かります。世界コア株式型が投資するファンドは外国株式パッシブが66.04%を占めるパッシブ中心の構成です。対して世界株式型が投資する「グローバル・クオリティ・ファンドSL」は組入銘柄数39銘柄の集中型で、信託報酬も0.594%と世界コア株式型(0.22%)の約2.7倍です。

名前が似ているので、資料をよく読まずに選ぶと中身がかなり違います。ここは検討時に必ず確認したいところです。

「世界株式型」は39銘柄の集中投資です

名前の印象と中身が違う点も、あわせて確認しておきたいところです。

公式資料によると、世界株式型が投資する「グローバル・クオリティ・ファンドSL」の組入銘柄数は39銘柄です。上位10銘柄はアルファベット5.5%、ASMLホールディング5.2%、ビザ4.8%、キーエンス4.7%、コカ・コーラ4.2%、ネットフリックス3.9%と続きます。上位数銘柄で全体の2割以上を占める構成です。

一方の世界コア株式型が投資する「ワールドエクイティ・ファンドVL」は、外国株式パッシブ・ファンドの組入銘柄数が1,132銘柄、日本株式パッシブが168銘柄、外国株式アクティブが201銘柄という構成です。国別ではアメリカ73.37%、イギリス3.51%、カナダ3.39%と続きます。

「世界株式型」という名前から広く分散した運用を想像すると、実態とずれます。 39銘柄に集中した運用である以上、1,000銘柄超に分散した指数とは値動きが異なる可能性があります。実際、直近1年では+0.38%と、ベンチマークの+36.17%に大きな差がつきました。集中度がこの差の一因になり得ますが、公式資料から要因を特定できるわけではありません。

どちらが良い悪いという話ではなく、名前ではなく中身で選ぶ必要があるということです。

発見②:債券型は10年の年換算がマイナスです

債券型の10年年換算は-1.36%、5年は-2.54%です。設定来では+2.96%なので、直近10年に限った現象です。

これ自体は債券市場の環境を考えれば説明のつく数字で、ソニー生命に固有の問題ではありません。金利が上がれば既発債の価格は下がります。

ただ、変額保険の文脈では意味が変わります。「リスクを抑えたいから債券型に」という選び方をした場合、長期契約を前提とする商品のなかで、運用面はこの10年マイナスだったことになります。そこからさらに保険関係費用が引かれます。なお途中解約は可能ですが、解約返戻金が払込額を下回る可能性がある点は別の論点です。

短期金融市場型も10年年換算+0.07%で、実質ゼロです。安全側に寄せた場合、運用収益だけでは保険関係費用を吸収できない可能性があるという点は押さえておきたいところです。死亡保障や保険料払込免除といった保障の価値は別にあるので、これだけで損得は決まりません。

発見③:保険関係費用は金額が開示されていません

ここが、NISAで購入する投資信託との大きな違いです。

公式資料は費用を2つに分けて説明しています。

運用関係費用は数値が公開されています。

  • 特別勘定運営費用:年率0.0087%〜0.0141%(2025年度実績)
  • 信託報酬:0.0825%(株式型)〜0.968%(日本成長株式型)

ここは明快です。問題はもう一方です。

保険関係費用については、資料にこう書かれています。

保険関係費用は、被保険者の性別・契約年齢などにより異なるため、費用の合計額またはその上限額を表示することができませんのでご了承ください。

変額保険(終身型・有期型・定期型)については、合計額も上限額も開示されていません。 保険料を払うたびに契約締結の費用が引かれ、さらに毎月1日に維持・死亡保障の費用が積立金から引かれる、という仕組みだけが説明されています。

これが何を意味するか。冒頭の表に並べた騰落率は、この保険関係費用を引く前の数字です。公式資料にも「お払い込みいただく保険料のうち、その一部は保険契約の締結・維持・保障・保険料払込免除などに要する費用等に充てられ、それらを除いた金額が特別勘定で運用されます」と明記されています。

つまり世界コア株式型が10年で年+19.10%だったとしても、契約者の手元がその率で増えたわけではありません。 ただし、費用の内訳が分からないことと、費用を引いたあとの金額が分からないことは別の話です。後者は公表されています。次の章で見ます。

なお、同じソニー生命でも変額個人年金保険(無告知型)22(SOVANI)は、保険関係費用を率で開示しています。 商品パンフレットには、保険契約の締結に要する費用が保険料の3.0%(毎回、保険料から控除)、保険契約の維持などに要する費用が積立金額に年率1.2%(1.2%/365日・毎日控除)、災害死亡保障に要する費用が積立金額に年率0.003%(同)と書かれています。非開示は変額保険の話であって、ソニー生命の変額商品すべてがそうだという話ではありません。

「100万円入れたら10年後にいくら?」は器の話と契約者の話が別です

具体的な数字で見ます。

世界コア株式型の10年の累計騰落率は公式資料で+474.45%です。単純に当てはめると、100万円が約574万円になった計算になります。

ただし、これはあくまで特別勘定という器の中で100万円が574万円になったという話です。変額保険の契約者について同じことが言えるかというと、言えません。理由は2つあります。

  1. 払い込んだ保険料の全額が特別勘定に入るわけではありません。契約締結の費用が先に引かれます
  2. 特別勘定に入ったあとも、毎月1日に維持・死亡保障の費用が積立金から引かれます

この商品の実績を語るときは、器の成績と契約者の成績を分けて考える必要があるということです。「10年で474%」という数字を見て自分の資産が5.7倍になる姿を思い浮かべたなら、そこは一度切り離してください。

費用を引いたあとの解約返戻金額は公表されています

保険関係費用の金額そのものは分かりません。ただし、費用を引いたあとの解約返戻金額なら、公式のパンフレットに経過年数別の表として載っています。 内訳が分からなくても、結果の金額は読めるということです。

商品パンフレット「変額保険(終身型)無配当」(2026年4月版)に、この記事で使っている契約例と同じ条件の表があります。

経過年数払込保険料累計年−3.0%の場合年0%の場合年3.0%の場合年6.0%の場合(オプションA)
10年276万円137万円160万円187万円218万円
20年552万円232万円312万円429万円599万円
30年(払込満了)828万円296万円457万円745万円1,270万円
35年828万円187万円385万円786万円1,616万円

契約例は35歳男性・基本保険金額1,000万円・保険料払込期間65歳まで・月払保険料23,000円。出典:ソニー生命保険「変額保険(終身型)無配当」パンフレット(2026年4月版)。注記に「例示の運用実績は、運用関係費用および保険関係費用を控除後の数値を表示しています」「例示の解約返戻金額は解約控除費用控除後の金額です」と明記されています。オプションBの数値は省略しました。単位は万円で、万円未満は切り捨てです。

ここから、費用の金額を知らなくても言えることがあります。

払込満了(30年・累計828万円)の時点で、運用実績が年3.0%でも解約返戻金は745万円です。 払込額に届いていません。年6.0%の例示ではじめて1,270万円と上回ります。つまり、払った保険料を解約返戻金で取り戻すのに必要な運用実績は、公表されている4つの例示のうち年3.0%と年6.0%の間にあるということです。年0%の例示なら457万円、年−3.0%なら296万円です。

さらに35年経過(払込満了から5年)で見ると、年3.0%の例示は786万円で、まだ828万円に届きません。運用実績が伸びるほど有利になり、伸びないほど費用の重さが表に出るという構造が、公表値だけで確認できます。

有期型(65歳満期)のパンフレットにも同じ形式の表があります。

経過年数払込保険料累計年−3.0%の場合年0%の場合年3.0%の場合年6.0%の場合(オプションA)
10年267万円180万円209万円244万円285万円
20年535万円307万円412万円565万円788万円
30年(65歳満期)802万円405万円619万円1,000万円1,691万円

契約例は35歳男性・基本保険金額1,000万円・65歳満期・月払保険料22,300円。出典:ソニー生命保険「変額保険(有期型)無配当」パンフレット(2026年4月版)。注記は終身型と同じです。

終身型と並べると差がはっきりします。運用実績年3.0%の例示で、30年時点の解約返戻金は終身型が745万円(払込累計828万円)、有期型が1,000万円(払込累計802万円)です。 保険料は有期型のほうが月700円安いにもかかわらず、この差が出ます。一生涯の死亡保障を持ち続ける分のコストが、解約返戻金の側に表れていると読むのが自然です。

そのうえで注意点です。この表は「例示の運用実績が保険期間中そのまま推移したと仮定して計算したもので、確定数値ではありません」とパンフレットに明記されています。実際の運用は毎年ぶれるので、「一定の利回りが続いたらこうなる」という参照点として使うものです。それでも、費用の金額が非開示だからといって増え方がまったく分からないわけではないという点は、検討時に押さえておきたいところです。

「設定来」の数字を横に並べてはいけません

冒頭の表に「設定来」の列を入れましたが、この列だけは勘定どうしを比較できません。 設定された時期が違うからです。

たとえば株式型は1986年11月1日を100として計算されています。バブル期を含み、その後の長い低迷も含む約40年の数字です。設定来年換算+5.39%という数字は、この期間全体をならしたものです。

一方で世界コア株式型の設定来年換算は+10.14%ですが、こちらは設定時期が異なります。株式型のほうが数字が低いのは運用が劣っていたからではなく、含んでいる期間が違うからです。

「運用実績」を比べるときは、同じ期間で切った1年・5年・10年の列を見るのが正しい読み方です。設定来は「その勘定がどれだけの歴史を持つか」を示す参考値として扱ってください。

パンフレットや提案資料で設定来の数字が強調されていた場合は、起点がいつなのかを必ず確認したいところです。

終身型と有期型のどちらを選ぶか

変額保険(バリアブルライフ)には終身型と有期型があります。公式サイトの説明を整理すると、違いは次のとおりです。

終身型有期型
保険期間終身一定期間(契約例は65歳満期)
死亡・高度障害保険金運用実績で変動、基本保険金額は保証同左
満期保険金なしあり(運用実績に応じた額)
契約例の保険料(35歳男性・1,000万円)23,000円22,300円

有期型には満期保険金があり、これは運用実績に応じた額です。 基本保険金額の保証がかかるのは死亡・高度障害保険金であって、満期保険金ではありません。つまり満期時に受け取る金額には下限の保証がないと読むのが自然です。

保険料は終身型のほうが月700円高い一方、保障は一生涯続きます。有期型は65歳で保障が終わる代わりに満期保険金を受け取れますが、その額は運用しだいです。

「65歳で戻ってくるお金」を期待して有期型を選ぶ場合、その金額が保証されていない点は確認しておきたいところです。 想定利回りごとの金額の目安は、前章のとおり公式パンフレットの解約返戻金額の推移表で確認できます。自分の契約年齢・保険金額での数字は設計書で出してもらってください。

保険料の実額と、その意味

公式サイトに載っている契約例です(2026年3月1日時点)。

商品条件月払保険料
バリアブルライフ(終身型)35歳・保険金額1,000万円・払込65歳まで男性 23,000円 / 女性 20,580円
バリアブルライフ(有期型)35歳・保険金額1,000万円・65歳満期男性 22,300円 / 女性 21,720円

35歳男性が終身型に加入し、65歳まで30年間払い続けた場合の総払込額は、23,000円×12か月×30年=828万円です。

これに対して基本保険金額1,000万円は、運用実績にかかわらず支払いが保証されます。ここは変額保険の重要な長所です。運用が振るわなくても死亡保障は1,000万円を下回りません。

ただし裏返すと、828万円を払って、保証されるのは1,000万円の死亡保障ということでもあります。増える部分は運用しだいで、公式パンフレットの例示では年3.0%が続いても払込満了時点の解約返戻金は745万円にとどまります。

NISAと比べたときの構造の違い

金額の比較ではなく、構造の違いとして押さえておきたい点が3つあります。

1つ目はコストの見え方です。 NISAでインデックスファンドを買う場合、かかるコストは信託報酬でほぼ確定し、事前に数字で分かります。変額保険は運用関係費用こそ開示されていますが、保険関係費用が金額として示されません。払う前に総コストが確定しないという点は、判断のしかたを変えます。 分かるのは前章のとおり「費用を引いたあとの解約返戻金額の目安」までで、そこからコストを逆算することはできません。

2つ目は選択肢の幅です。 特別勘定は8つで、しかも上で見たとおり同じ指標でも実績に差があります。NISAなら信託報酬0.1%を切る全世界株式のインデックスファンドを選べます。

3つ目は死亡保障です。 ここは変額保険にあってNISAにない要素です。運用が不調でも基本保険金額が保証されるのは、投資信託では代替できません。

したがって比較の焦点は「どちらが増えるか」ではなく、死亡保障と運用を1つの商品にまとめる価値が、コストの不透明さに見合うかという点になります。掛け捨ての定期保険で保障を確保し、残りをNISAで運用する形と比べて、何を得て何を手放すのかを整理するのが実務的だと思います。

保険と運用を分けた場合の考え方は、別記事で試算しています。

検討するときに確認したいこと

条件で整理します。断定はできないので、判断の切り口です。

変額保険が噛み合いやすいケース

  • 一生涯の死亡保障が必要で、その保障額の下限が保証されていることに価値を感じる
  • 相続や事業承継など、死亡保障そのものに目的がある
  • 自分では運用を続けられず、強制的に積み立てる仕組みが欲しい

慎重に考えたほうがよいケース

  • 主目的が資産形成で、死亡保障の必要性が高くない
  • 総コストを事前に把握したうえで判断したい
  • 30年という拘束期間のあいだに、解約する可能性が読めない

検討時に必ず聞きたいこと

  1. 提案されている特別勘定はどれか。世界コア株式型と世界株式型のどちらなのかまで確認する
  2. 保険関係費用が年間いくらか。設計書で金額として示してもらう
  3. 途中解約した場合の解約返戻金が、払込額に対していくらになるか

とくに1つ目は、この記事で見たとおり同じ指標を掲げる勘定どうしでも中身が大きく違います。商品名だけで判断せず、勘定名と、その勘定がいつから現在の運用方法になったのかまで確認してください。

会社の健全性の見方も2026年3月期から変わりました。支払余力を示す指標は経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)になり、早期是正措置の対象も旧規制の200%未満からESRの100%未満へ変わっています。あわせて、生命保険契約者保護機構の補償は破綻時点の責任準備金等の90%までで、再保険契約と運用実績連動型保険契約の特別勘定部分は対象外とされています。自分の契約でどの部分がどう扱われるかは、「ご契約のしおり」と保険会社に確認してください。新旧の指標の水準差と見方は30代の保険は見直しが先|削るべき保険と残すべき保険の判断基準に整理しています。

最新の運用実績を自分で確認する方法

この記事の数字は2026年6月度のものです。運用実績は毎月更新されるので、検討や見直しのタイミングでは自分で最新版を見るのが確実です。 契約者でなくても閲覧できます。

手順はシンプルです。

  1. ソニー生命の公式サイトで「特別勘定の運用状況」のページを開く
  2. 「変額保険等 特別勘定の現況 月次(毎月更新)」から最新月のPDFを開く
  3. 各特別勘定のページにある「〈特別勘定騰落率〉」の表を見る

見るべきは年換算の行です。「騰落率」の行は累計なので、10年で+395%のような大きな数字が並びますが、これを年あたりに直したのが年換算です。他の商品と比べるときは年換算どうしで比べます。

そして、その下にある〈ベンチマーク騰落率〉と必ず見比べてください。 特別勘定の数字だけを見ると「10年で年+12.69%なら十分では」と感じますが、同じ期間に指標が+19.06%だったと分かると評価は変わります。

あわせて、グラフの下にある「※」で始まる注記も読んでください。 運用方法をいつ変更したかが、ここに小さく書かれています。この記事の発見①は、その1行を読んだだけで見えたものです。

資料の最後のほう(15ページ目)に「諸費用について」があります。ここが一番読まれない場所で、一番大事な情報が載っています。

「特定保険契約」であることの意味

変額保険は、保険業法300条の2において準用される金融商品取引法の対象となる「特定保険契約」です。公式資料にもその旨が明記されています。

実務上、これは次のことを意味します。

  • 提案にあたって、契約者の知識・経験・財産の状況・加入目的などを事前に確認することになっている
  • 変額保険販売資格を持った担当者が、重要事項説明書(契約概要)と(注意喚起情報)の内容を説明する
  • 説明を受けたことを確認するため、所定の書類に押印する

私は保険業界に10年いましたが、この「押印」の場面は、聞くべきことを聞く最後の機会でもあります。押印してしまうと「説明を受けた」ことになります。

冒頭から書いてきたとおり、確認すべき数字ははっきりしています。どの特別勘定か、保険関係費用は年いくらか、途中解約したら払込額に対していくら戻るか。 この3つを設計書の数字として出してもらってから押印しても、誰も困りません。

ソニー生命の評判・苦情|生命保険協会の公表データで見る

変額保険は説明の内容そのものが商品価値を左右するので、会社側のデータも見ておきます。会社単位の苦情件数は、生命保険協会が四半期ごとに会社別で公表しています

項目ソニー生命業界平均(27社)
協会に寄せられた苦情件数109件
個人保険保有契約件数9,404,148件
保有契約100万件あたり11.6件16.3件
(参考)各社が自社で受け付けた苦情件数19,739件

協会に寄せられた109件の内訳:新契約関係 41.3% 収納関係 1.8% 保全関係 21.1% 保険金関係 18.3% その他 17.4% 
2025年度第1~第4四半期。出典:生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報」。 業界平均は同じ公表資料のうち個人保険保有契約件数が100万件以上の27社について、苦情件数の合計を保有契約件数の合計で割った値です(単純平均ではありません)。 協会に寄せられた件数は窓口が一つなので会社間で比べられますが、各社が自社で受け付けた件数は苦情の定義・計上範囲が会社ごとに異なるため、会社間の比較には使えません。件数の多寡は商品や会社の優劣を示すものではありません。

保有契約100万件あたりで見ると、業界平均より少ない水準です。

内訳で目を引くのは、新契約関係の比率です。申出の4割強が申込・契約手続の段階に関するもので、同じ公表資料の大手各社(第一生命・日本生命・明治安田生命はいずれも2割台)と比べて高く出ています。理由をこのデータから断定することはできません。ただ、前節で見た変額保険の販売手続、つまり変額保険販売資格を持つ担当者が重要事項説明書の内容を説明し、説明を受けたことを確認する押印を求める、という手順が制度として組まれていること自体が、契約時の説明が論点になりやすい商品分野であることを示しています

だからこそ、確認は押印の前に済ませることになります。なお公表データは会社単位で、変額保険単独の件数は分かりません。商品別の内訳は公表されていません。

よくある質問(FAQ)

Q1. ソニー生命の変額保険の運用実績はどれくらいですか?

特別勘定によって大きく違います。2026年6月末時点の公式資料では、10年の年換算騰落率は世界コア株式型が+19.10%で最も高く、株式型+17.36%、日本成長株式型+13.62%、世界株式型+12.69%と続きます。一方で債券型は-1.36%、短期金融市場型は+0.07%でした。同じ商品でも選んだ特別勘定で結果が大きく変わります。なお、これらは過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。

Q2. 特別勘定の騰落率がそのまま自分の増え方になりますか?

なりません。公式資料に「お払い込みいただく保険料のうち、その一部は保険契約の締結・維持・保障などに要する費用等に充てられ、それらを除いた金額が特別勘定で運用されます」と明記されています。さらに契約後も積立金から費用が控除されます。騰落率は費用を引く前の数字なので、契約者の手元の増え方はこれより小さくなります。

Q3. 保険関係費用はいくらかかりますか?

変額保険(終身型・有期型・定期型)については、公式資料で金額が開示されていません。「保険関係費用は、被保険者の性別・契約年齢などにより異なるため、費用の合計額またはその上限額を表示することができませんのでご了承ください」と記載されています。一方で、変額個人年金保険(無告知型)22(SOVANI)は商品パンフレットで率が開示されており、締結に要する費用が保険料の3.0%、維持などに要する費用が積立金額に年率1.2%、災害死亡保障に要する費用が年率0.003%です。なお変額保険でも、費用を引いたあとの解約返戻金額の推移はパンフレットに掲載されています。

Q4. 費用を引いたあと、実際にいくら戻ってくるのか分かりますか?

公式パンフレットの解約返戻金額の推移表で目安が分かります。変額保険(終身型)の契約例(35歳男性・基本保険金額1,000万円・65歳払込・月23,000円)では、払込満了となる30年経過時点の払込累計828万円に対し、運用実績が年3.0%で推移した場合の解約返戻金は745万円、年6.0%なら1,270万円、年0%なら457万円です。注記に運用関係費用および保険関係費用を控除後、解約控除費用も控除後と明記されています。ただし例示の運用実績がそのまま推移した仮定の数値であり、確定値ではありません。

Q5. ソニー生命の変額個人年金保険には今から入れますか?

入れません。公式資料に「変額個人年金保険は、契約日が2022年10月2日以降となる契約から販売停止しております」と明記されています。法人契約についても2023年10月2日以降の契約から販売停止です。現在申し込めるのは変額保険(終身型・有期型)と、変額個人年金保険SOVANIになります。

まとめ

  • ソニー生命の変額保険には8つの特別勘定があり、10年の年換算は最高+19.10%、最低-1.36%と大きくひらいています
  • 8勘定のうち5つは直近1〜4年で運用方法を変更しており、10年の数字は「いまの運用の実績」とは限りません。10年を通して一貫しているのは実質的に世界コア株式型だけです
  • 世界コア株式型と世界株式型は同じMSCIワールドを指標にしていますが、直近1年で+39.77%と+0.38%と差がついています(10年差は運用体制が異なる期間を含むため、現行運用の評価には使えません)
  • 債券型は10年年換算-1.36%、短期金融市場型は+0.07%で、安全側に寄せた場合は運用収益だけで保険関係費用を吸収できない可能性があります
  • 変額保険の保険関係費用は、合計額も上限額も開示されていません。 騰落率は費用を引く前の数字です(変額個人年金保険SOVANIは率で開示されています)
  • ただし費用を引いたあとの解約返戻金額は公表されています。 終身型の契約例では、払込満了(30年・累計828万円)時点の解約返戻金は運用実績年3.0%でも745万円で、払込額を取り戻すには年3.0%と年6.0%の間の実績が要る計算になります
  • 35歳男性・終身型・1,000万円で月23,000円、65歳までの総払込は828万円です
  • 変額個人年金保険は2022年10月2日以降の契約から販売停止しています(現在申し込めるのは変額保険と、変額個人年金保険(無告知型)22=SOVANIです)

変額保険は保険業法300条の2において準用される金融商品取引法の対象となる「特定保険契約」です。提案を受ける際は変額保険販売資格を持った担当者から重要事項の説明を受けることになっています。数字を確認する機会は必ずあるので、騰落率だけでなく費用を聞くようにしてください。

他の保険商品についても同じやり方で構造を検証しています。

出典