投資歴11年のHIKOです。2015年に新卒で社会人になってNISAを始めました。当時の年収は約300万円(残業代込み)、月手取り16〜20万円。それでも旧NISA満額(年100〜120万円)を3年連続で突っ込めたのは、実家暮らしで家賃ゼロ・食費ほぼゼロだったからです。

最近X(旧Twitter)で見かける「NISA貧乏」の話を読むたびに、当時の自分を思い出します。「焦り」はなかったけど「将来不安」はあった。手取りのほとんどをNISAに投入していた構造は、今のNISA貧乏ブームと同じでした。違いは、私が実家暮らしだっただけ。

この記事は2015〜2017年の私のNISA買付実績を一次データで全部出した上で、今のNISA貧乏に陥っている人と何が共通していて、何が違うのかを整理します。


結論:実家暮らしを最大活用したNISA満額3年戦略

先に結論を出します。

私は2015〜2017年の3年間で、旧NISAに約340万円突っ込みました。

買付回数年間買付額月平均
201527回998,000円約83,000円
201629回1,201,771円約100,000円
20179回1,200,000円約100,000円

旧NISAの非課税枠は2015年が100万円、2016年から120万円に拡大。私は3年連続でほぼ満額を使い切っています。これが可能だったのは1つの条件のおかげでした。

実家暮らしで家賃ゼロ・食費ほぼゼロだったこと。


当時の家計:年収300万円・実家暮らしの構造

2015年4月入社、新卒1年目の私の家計はこうでした。

  • 初任給:21万円スタート+残業代+α
  • 想定年収:約300万円(残業代込み)
  • 月手取り:約16〜20万円
  • 家賃:ゼロ(実家暮らし)
  • 食費:ほぼゼロ(実家のごはん)
  • 通信費・保険・娯楽など:月3〜5万円程度

つまり手取り16〜20万円のうち、生活費として出ていく分は3〜5万円。残り11〜17万円が浮いている状態です。ここからNISAに月8〜10万円投入していました。

割合にすると、手取りの実質40〜50%をNISAに投入していたことになります。

これ、よく見ると今のNISA貧乏と同じ比率です。


2015年5月と2016年6月の「単月370,000円超」を解説する

買付回数を見ると、2015年は27回、2016年は29回、2017年は9回です。回数が多い年は「給料が入った直後にちょこちょこ買う」+「ボーナス時期に大きめに買う」のパターン。

特に2015年5月は単月で370,758円、2016年6月は単月で382,548円を投入しています。これはボーナス月にまとめて突っ込んだ結果です。

2017年が9回しかないのは、年明け1月にいきなり120万円を一気投入したから。年初一括で枠を使い切る判断をしたわけです。買付回数9回の内訳は、1月に1回大きく投入してから、その後は微調整で買い増しただけ。

「年100万円超を突っ込む」と聞くと無謀に聞こえますが、当時の私は実家暮らしで月の生活費が3〜5万円だったので、ボーナス20〜30万円が丸ごと余ります。それをNISAに突っ込めば年100万円なんて簡単に到達するんです。


旧NISA最初の3年の配当推移

突っ込んだ金額に対して、配当はどう増えていったかも一次データで出します。

配当(税引後・円建て)
20152,050円
201625,800円
201765,725円

2015年は2,050円。これは買い始めたのが4月以降だったため、配当の権利確定日に間に合った銘柄が少なかったのが理由。2016年に2万円台、2017年に6万円台へと急速に増えています。

ここから10年、配当は積み上がり続けて、2015〜2024年の旧NISA配当累計は904,551円(約90万円)に到達しました。詳細は旧NISA10年の配当実績記事に書いています。

新卒1年目の自分が、毎月「配当2,050円」しか入ってこない口座を見て「全然増えないじゃん」と思っていた当時を、今振り返ると泣けます。


「焦りはないが将来不安はある」を支えたのは持ち続ける選択だった

冒頭で「焦りはなかったけれど将来不安はあった」と書きました。当時の私の不安に対して、結果的に支えになったのは、買った銘柄を含み損のまま持ち続けるという選択でした。

代表例がコナカ(7494)です。NISA初年度の2015年5月21日に738円×100株=73,800円で購入しました。購入後ほどなく株価は下がり始めて、そこから9年5ヶ月、200〜400円台で推移します。含み損は数万円規模、評価額だけ見れば失敗です。

それでも私は損切りせずに持ち続けました。「将来不安はある、でもこの銘柄を売って現金化したところで何かが解決するわけでもない」という消極的な保有判断です。結果として、旧NISAの非課税枠で配当だけは年2回入り続けて、2015年12月から2023年12月までの16回で合計16,000円(1株10円×100株×16回)を非課税で受け取れました。

NISA貧乏という言葉から想像されるのは「節約して投資した分が含み損になって生活が苦しくなる」イメージですが、実際の私は逆でした。生活は実家暮らしで崩れず、含み損銘柄からも配当だけは入り続けた。だから心理的には耐えられた、というのが正直なところです。

そのコナカも、2024年11月26日に旧NISAの非課税期間が2024年末で切れるタイミングで一区切りつけました。247円で売却して同日に特定口座で248円で買い戻すクロス取引です。確定損は-49,100円ですが、配当16,000円と合わせれば確定損益は約-3万円。9年5ヶ月持ち続けた銘柄を、非課税期間の終わりという節目で口座区分だけ切り替えた、という形です。

もし当時の私が一人暮らしで家賃15万円払いながら同じ買付ペースで突っ込んでいたら、コナカの含み損が数万円見えただけで「生活も苦しいのに含み損まで」と心が折れていたはずです。NISA貧乏が一番怖いのは、生活と精神の両方が削られて、結果として投資そのものをやめてしまうことだと思います。


ここからが本題:今の「NISA貧乏」との共通点

2024年に新NISAが始まってから、X(旧Twitter)で「NISA貧乏」というキーワードを見るようになりました。

新NISAは年間360万円の非課税枠があります。月30万円積み立てれば1年で枠を使い切れる。「とにかく早く埋めたい」「複利の効果は早く始めるほど大きい」という発信を真に受けて、手取りの大半をNISAに突っ込んでしまう人が出てきました。

20代の一人暮らしで家賃15〜20万円払いながら、月10万円・15万円とNISAに突っ込もうとして詰む——これがNISA貧乏の典型パターンです。

ここで認めなきゃいけないことがあります。

私の2015〜2017年は、この構造とまったく同じだった。

項目2015年の私今のNISA貧乏
年齢22〜24歳20代〜30代前半
動機将来不安からの貯蓄代わり投資同じ
手取りに対するNISA比率40〜50%40〜60%
結果手元現金が薄かった手元現金が薄い
違い実家暮らしで家賃ゼロ一人暮らしで家賃15〜20万円

「焦り」はなかった、と最初に書きました。それは正直な感覚です。当時の私は「複利の効果」とか「早く始めるほど勝ち」とか、そんな崇高な動機でNISAをやっていたわけじゃない。

ただ、「将来このままじゃまずい」という漠然とした不安は確実にありました。新卒1年目で年収300万円スタート、給料が大きく上がる気配もなく、保険業界の薄給時代。「貯蓄しなきゃ」という気持ちが、たまたま「NISAに突っ込む」という形で表出していただけです。

その動機自体は、今のNISA貧乏と何も変わりません。


違いはひとつだけ:家賃ゼロだったかどうか

私と今のNISA貧乏で唯一違うのは、固定費の構造です。

当時の私:実家暮らし→月の生活費3〜5万円→手取りから10万円以上余る→NISAに突っ込んでも生活が崩れない

今のNISA貧乏:一人暮らし→月の生活費12〜15万円(家賃15〜20万円含む)→手取りからほぼ余らない→NISAに突っ込むと生活費が回らない

つまり「手取りの40〜50%をNISAに投入する」という行動そのものは同じでも、固定費の重さで結果が真逆になる。

私が当時「無理してない」と感じていたのは、単に固定費が軽かったからです。仮に同じ月手取り16〜20万円で家賃16万円の港区1Kに住んでいたら(数年後に実際にこうなりました)、NISAに月8〜10万円なんて絶対無理でした。


NISA貧乏に陥らないための順番

これを踏まえて、当時の自分にアドバイスするとしたらこう書きます。

  1. 固定費を整える(家賃は手取りの25%以内)
  2. 生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保する
  3. 余剰資金の範囲でNISAを始める
  4. NISAの非課税枠は埋めるべき目標ではなく、上限である

NISAは制度上「年360万円まで非課税」というだけで、「年360万円積み立てる必要がある」とは一言も書いていません。月3万円でも始めれば、20年後には複利でちゃんと増えます(年利5%想定で約1,233万円)。

月積立額20年後(年利5%想定)
1万円約411万円
3万円約1,233万円
5万円約2,055万円

「枠を使い切れ」と煽られるSNSの発信に乗らず、自分の固定費構造で続けられる金額に設定するのが正解です。

詳しい家賃の安全ラインは家賃の安全ラインは手取り何%?手取り別シミュレーションを参照してください。


反省と気付き

10年経って振り返ると、当時の私の行動は「結果オーライ」でした。

実家暮らしという特殊条件があったから生活が崩れなかっただけで、もし同じ手取り16〜20万円で一人暮らしだったら、確実にNISA貧乏で詰んでいた。3年で340万円突っ込めたのは戦略でも先見の明でもなく、単に親に住居と食事を提供してもらっていたからです。

今のNISA貧乏ブームを見て「自分は冷静にやってた」と思いそうになる瞬間があったのですが、そうじゃない。動機も比率も全部同じ、たまたま家賃ゼロという構造だっただけ。

これに気付いてから、若い世代の人に投資の話をするときは「NISAをいくら積み立てるか」より先に「家賃が手取りの何%か」を聞くようにしました。家賃比率が30%超えてる人がNISAを満額突っ込もうとしても、生活が回りません。


まとめ:投資より先に「現金の土台」を作る

私が2015〜2017年に旧NISA満額3年戦略を実行できたのは、実家暮らしで家賃ゼロという固定費構造があったからです。動機(将来不安)と比率(手取りの40〜50%投入)は今のNISA貧乏と同じでした。

正しい順番は:

  1. 固定費(特に家賃)を手取りの25〜30%以内に抑える
  2. 生活防衛資金(3〜6ヶ月分)を確保する
  3. 余剰資金の範囲でNISAを始める
  4. 続けることを最優先する

「投資を頑張る」より「生活を壊さずに続ける」を優先してください。NISA貧乏になった人が投資をやめてしまうケースもあります。それが最も勿体ない結末です。


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※本記事は2026年4月時点の情報をもとにしています。投資は自己責任でお願いします。

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HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり