NISAを中心に資産形成している30代会社員向けに書いています。投資歴11年・FP2級のHIKO(平成時代を生きた30代、夫婦二人暮らし)です。特定口座で14銘柄に貸株を設定して5年運用した実績があります。結論を先に書くと「やってもいいけど、ほぼ誤差です」。月800円台の現実と、銘柄ごとの金利差、運用設計をすべて公開します。


貸株はやめたほうがいい?→私の答えと条件

「貸株はやめたほうがいい?」と検索してたどり着いた方への、私の答えを先に書きます。

基本はやらなくていい。ただし、特定口座の長期保有銘柄に「優待・有配優先」を設定できる人なら、続けても問題ない。 これが14銘柄・5年で48,426円(月平均807円)という一次データを持つ私の結論です。

「やめたほうがいい」と言われる理由(証券会社の信用リスク・配当金相当額が雑所得になる問題・優待や長期保有との相性)は実在します。本文で一つずつ実体験ベースで検証しますが、いずれも「条件を満たせば管理可能」なリスクで、逆に条件を満たせない人は最初からやらないほうがいい、という整理になります。

保有スタイル貸株の判断
NISAがメインやらなくていい(そもそも使えない)
優待株を特定口座で保有「優待・有配優先」設定を入れれば可能(金利は薄まる)
高金利の小型株を特定口座で保有スポット的にはあり(ただし条件付き)

この3行で判断できる人は、以降を読まなくても大丈夫です。


私の貸株14銘柄を全公開します

特定口座で実際に貸株設定している14銘柄をすべて出します。基本は「優待・有配優先」設定(権利確定日に自動解除→優待・配当を維持しつつ金利だけ取る)にしてあります。

コード銘柄株数金利
9692シーイーシー1000.10%
9799旭情報サービス1000.10%
8931和田興産1000.10%
9069センコーグループHLDGS1000.10%
9233アジア航測1000.40%
8697日本取引所グループ1000.10%
8772アサックス5000.10%
7494コナカ1000.10%
7713シグマ光機1000.10%
7730マニー1000.10%
7856萩原工業1000.10%
5388クニミネ工業1000.10%
6061ユニバーサル園芸社2000.10%
6091ウエスコホールディングス1000.10%

14銘柄のうち13銘柄は金利0.10%。唯一の例外がアジア航測(9233)で金利0.40%です。「貸株は高金利銘柄を狙う」と聞くと夢があるように感じますが、現実はほとんどの銘柄が0.1%前後で横並びになります。

アジア航測(9233)だけ高金利な理由

なぜアジア航測だけ金利が4倍ついているか。これは需要側、つまり「その銘柄を借りたい投資家がどれだけいるか」で決まります。空売り需要が多い銘柄や、信用取引で品薄になっている銘柄は貸株金利が上がりやすい傾向があります。

ただ重要なのは、この金利は証券会社の判断でいつでも変わるという点です。来月には0.10%に戻っているかもしれません。だから「アジア航測を貸株目的で買う」のは順序が逆です。あくまで保有している銘柄をたまたま貸し出した結果、金利が高かった、という話です。

「優待・有配優先」設定を全銘柄に入れている理由

貸株中は株の名義が証券会社に移るため、権利確定日をまたいで貸し出し状態だと株主優待・配当の権利が消えます。これを防ぐ設定が「優待・有配優先」です。

権利確定日の前に自動で返却→確定後に再度貸し出し、という挙動になります。返却中の数日間は金利がつかないので、その分だけ収入が薄まりますが、優待・配当を失うリスクと比べたら誤差です。

私の14銘柄はほぼ「優待・有配優先」で設定しています。コナカ(7494)の年8回優待カードや、JPX(8697)の配当などを失ったら、金利数百円どころの話ではなくなります。


5年累計の実績:合計48,426円・月平均807円

実際の収入を年ごとに出します。

貸株金利配当金相当額合計
20214,362円8,469円12,831円
20229,395円0円9,395円
20236,701円0円6,701円
202410,979円0円10,979円
20258,520円0円8,520円
5年累計39,957円8,469円48,426円

5年で48,426円、月平均にして807円です。「貸株 月500円」という見出しを以前書きましたが、実際は月800円台が現実ラインでした。

貸株 5年実績(円)
¥12831
2021
¥9395
2022
¥6701
2023
¥10979
2024
¥8520
2025
月平均807円。5年累計でようやく48,426円

2021年だけ「配当金相当額」が発生している件

2021年に8,469円の配当金相当額が出ているのは、当時の設定が「優待・有配優先」になっていなかった銘柄があったためです。権利確定日に貸し出し中だった銘柄の配当が「配当金相当額」として雑所得扱いで入金されました。

雑所得は他の所得と合算されるため、給与所得のある会社員は所得税率が上がる場合があります。配当金として源泉徴収20.315%で済むはずだった金額が、年収帯によっては不利になることがあるという落とし穴です。

2022年以降は全銘柄を「優待・有配優先」に切り替えたので、配当金相当額はゼロに戻っています。雑所得の管理がいらなくなった分、確定申告まわりの面倒さもなくなりました。


NISAをメインで使っている人は、そもそも使えない

NISAで保有している株は、貸株サービスの対象外です。非課税口座の仕組み上、貸株の設定はできません。

特定口座や一般口座で保有する株のみが対象になります。

NISAをメインに運用していて特定口座の保有が少ない場合、「設定できる株がほとんどない」という状況になります。新NISAで月10万円積み立てている人にとっては、貸株は最初から検討対象外と考えていいです。


それでも14銘柄も貸株設定している理由

「月800円なら誤差でしょ」と思われるかもしれません。私もそう思います。それでも14銘柄に設定し続けている理由は3つです。

理由1:設定は1回だけ・あとは自動

貸株の設定は証券会社の管理画面でチェックを入れるだけ、1銘柄あたり1〜2分で完了します。「優待・有配優先」も最初に1回設定すれば、以降は自動で返却・再貸出が回ります。

つまり初回の数十分の作業で、5年で48,000円が入ってきた計算です。手間あたりの効率はそれほど悪くありません。

理由2:特定口座の保有銘柄は売る予定がない

私の14銘柄は基本的に「長期保有・優待もしくは配当目的」で持っているものです。コナカ(7494)は738円×100株を2015年に旧NISAで購入し、ロールオーバー後に特定口座へ移管した塩漬け銘柄。残りも数年単位で持つ前提なので、貸し出してもポートフォリオへの影響はほぼゼロです。

理由3:優待・配当はそのまま受け取れる

「優待・有配優先」設定を入れていれば、優待カードも配当も従来通り届きます。コナカの優待・JPXの配当・ウエスコHDの配当などは、貸株を始める前と何も変わっていません。「金利が薄く乗る分だけ得」という感覚です。


貸株のデメリット:「やめたほうがいい」と言われる4つの理由

「貸株 やめたほうがいい」と言われる根拠を、独立した項目として一つずつ検証します。

① 証券会社の信用リスク:貸した株は投資者保護基金の対象外

貸株は、保有株を証券会社に貸し出す消費貸借契約です。貸し出し中は株の名義が証券会社に移るため、万一その証券会社が破綻した場合、貸株中の株式は投資者保護基金による補償の対象外になります。通常の保護預かりなら分別管理と投資者保護基金(1人あたり1,000万円まで)で守られる資産が、貸株中はその枠の外に出る、というのが構造上の最大のデメリットです。

各社とも担保の差し入れなどの保全策を講じていますが、リスクがゼロになるわけではありません。月数百円の金利は、この信用リスクを引き受けることへの対価だと理解しておくべきです。私が大手ネット証券で、かつ「売る予定のない長期保有銘柄だけ」を貸している理由もここにあります。

② 配当金相当額が「雑所得」になる問題

貸株の金利収入と配当金相当額は雑所得扱いです。配当金として受け取れば源泉徴収20.315%で完結するところが、権利確定日に貸し出し中だと「配当金相当額」となり、給与所得との合算で総合課税されます。年収帯によっては配当金として受け取るより税率が高くなり、配当控除も使えません。年間の雑所得が20万円を超えると確定申告も必要になります。

私自身、2021年に配当金相当額8,469円を受け取っています。当時「優待・有配優先」を設定していない銘柄があったためで、本来もらえる配当が雑所得扱いになって課税面で不利になりました。それ以降は全銘柄を見直し、2022年からは配当金相当額ゼロを維持しています。

補足すると、配当金相当額は「配当」ではなく雑所得なので、配当控除も使えませんし、NISA口座の非課税メリットとも無関係です(そもそもNISA株は貸株不可)。さらに、外国株を貸株に出している場合は現地源泉税が引かれたうえで雑所得課税になることもあり、二重課税の調整(外国税額控除)が通常の配当より煩雑になります。私が貸し出しているのは国内株だけなのでこの論点には踏み込みませんが、「配当金相当額は配当より税務上めんどう」という理解で十分です。

ただし金利だけで年20万円を超えるには、相当な保有額(数千万円規模)が必要なので、一般的な会社員の貸株収入で確定申告が必要になることはまれです。

③ 長期保有・優待との相性問題:設定ミスは一発アウト

長期保有の優待株・配当株と貸株は、設定を間違えると最悪の組み合わせになります。「優待・有配優先」を入れ忘れた銘柄が権利確定日に貸し出し中だと、株主優待・配当の権利を失います。金利収入が年数百円〜数千円のときに、数千〜数万円相当の優待を逃すのは割に合いません。

また、長期保有を条件に優待がグレードアップする銘柄では、貸し出しで名義が途切れると「継続保有」と認められない場合があります。長期保有前提の銘柄に貸株を設定するなら、優待条件の確認と「優待・有配優先」設定はセットで必須です。

④ 金利はいつでも下がる

金利は証券会社の判断でいつでも変わります。今アジア航測(9233)が0.40%でも、来月には0.10%に戻っているかもしれません。「高金利のうちに増やそう」という運用は、金利前提では成立しません。


それでも使う価値があるケース

以下の条件に該当する場合に限り、貸株は一定の意味を持ちます。

  • 特定口座で複数銘柄を長期保有している(売る予定がない)
  • 各銘柄に「優待・有配優先」を設定できる
  • 雑所得が年20万円を超えない範囲で運用できる

逆に言えば、NISA中心で特定口座の保有がほぼない人にとっては、検討する必要すらない選択肢です。

なお、SBI証券・楽天証券などの主要ネット証券であれば貸株サービスに概ね対応しており、仕組みや設定方法に大きな違いはありません。証券口座選びの段階で「貸株対応かどうか」を気にする必要はありません。

私自身はメインで楽天証券を使っていて、コナカ(7494)をはじめ特定口座の長期保有銘柄をここで貸株に出しています。貸株はあくまで「特定口座の保有があって、はじめて検討できるおまけ」です。これから口座を作る段階の人は、貸株の有無より手数料・取扱商品・NISAの使いやすさで選んでおけば十分で、その条件を満たすネット証券なら貸株もだいたい付いてきます。

楽天証券(NISA・特定口座・貸株まで一通り対応)
NISAのメイン口座にも、特定口座の貸株にも対応。私が11年使っているネット証券です。口座開設・維持は無料。
楽天証券の口座を見てみる →
貸株はあくまでおまけ。まずはNISA・特定口座の使い勝手で選んで問題ありません。

まとめ:基本はやらなくていい・やるならついでに

ポイント内容
NISAメイン層そもそも設定できない。検討不要
優待株保有者「優待・有配優先」を入れれば可能。金利は薄まる
5年実績48,426円(月平均807円)
唯一の高金利アジア航測9233が0.40%、他は全部0.10%

月800円の貸株金利を狙うより、固定費の見直しに30分使う方が月数千〜1万円単位で家計が改善します。固定費の削減は一度やれば毎月効いてくる改善です。

結論:特定口座に長期保有銘柄が複数あって、設定が苦にならないなら「ついで」で入れていい。それ以外の人は、やらなくていいです。


よくある質問(貸株のデメリット・確定申告)

貸株はなぜ「やめたほうがいい」と言われるのですか?

主な理由は3つです。証券会社に株を貸す仕組みなので破綻時に投資者保護基金の対象外になること、配当が「配当金相当額」という雑所得に変わって税務が不利になり得ること、優待・長期保有との相性が悪いこと。いずれも条件を満たせば管理できますが、満たせない人にとっては手間とリスクに見合わないため「やらなくていい」が無難な結論です。

貸株の確定申告は必要ですか?

貸株金利と配当金相当額は雑所得です。給与以外の所得(この雑所得を含む)が年20万円を超える会社員は確定申告が必要になります。ただし金利だけで20万円に届くには数千万円規模の保有が必要なので、一般的な会社員が貸株収入だけで申告義務を負うことはまれです。私の5年累計も48,426円(月平均807円)で、申告ラインには遠く届きません。

貸株金利が低いのですが、上げる方法はありますか?

金利は証券会社が需要(その銘柄を借りたい投資家の多さ)を見て決めるもので、個人側で操作はできません。私の14銘柄も13銘柄が0.10%で、唯一アジア航測(9233)が0.40%でした。「高金利狙いで銘柄を買う」のは順序が逆で、金利は来月には下がっているかもしれない前提で見るべきです。

NISAの株は貸株に出せますか?

出せません。貸株サービスの対象は特定口座・一般口座で保有する株だけです。NISAをメインに積み立てている人は、そもそも貸株に設定できる株がほとんどない状態になりがちで、検討対象外と考えて問題ありません。


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※本記事は2026年4月時点の情報をもとにしています。貸株サービスの詳細・金利水準・設定方法は各証券会社にご確認ください。投資は自己責任でお願いします。

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HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり