賃貸を解約するとき、多くの人が「早く出れば、その分の家賃は日割りで戻ってくるだろう」と考えます。私もそう思っていました。

FP2級を持ち、このブログで家計の記事を書いている人間の話です。それでも私は、2024年の引っ越しで203,580円を無駄にしました。9月1日に退去を完了させたのに、9月分の家賃159,580円が1円も戻ってこなかったのです。

原因は、解約予告期間の意味を私が正しく理解していなかったことでした。この記事では、実際の管理会社とのやりとりを含めて何が起きたのかと、同じ損をしないための逆算手順をまとめます。

なお、家賃の精算ルールは契約ごとに異なります。以下はあくまで私の契約で起きたことであり、一般的な決まりとして読まないでください。

結論:私の契約では、早く退去しても家賃は戻りませんでした

先に結論を書きます。

私の契約で家賃の精算基準になっていたのは、実際に部屋を出た日ではなく、契約上の解約日でした。解約日が月末に設定されていたため、その月の家賃は満額発生します。月の途中で退去しようが、荷物をすべて出して鍵を返そうが、解約日が変わらない限り家賃は止まりませんでした。

私の契約で日割り精算が発生するのは、解約日そのものが月の途中にある場合でした。つまり動かすべきだったのは退去日ではなく解約日のほうでした。ここを取り違えたために、住んでいない部屋の家賃を1か月分払うことになりました。

契約によっては退去日を基準に精算されるものもあります。自分の契約がどちらなのかは、後述のとおり通知を出す前に確認してください。

何が起きたか:解約予告2か月の契約で、1か月早く出た

時系列で整理します。

日付出来事
2024年7月29日メールで解約希望を連絡(受付日)
2024年7月30日管理会社が受理。解約日を9月30日と通知
2024年8月27日家賃159,580円が口座振替で引き落とし(最後の支払い)
2024年9月1日退去完了・立会い終了
2024年9月1日退去クリーニング費用44,000円を振込
2024年9月9日日割り返金なしが確定

私の契約は解約予告2か月前でした。7月29日に通知した結果、解約日は9月30日に確定します。しかし新居の準備が整っていたため、私は9月1日に部屋を引き払いました。

9月2日から9月30日までの29日間、私は住んでいない部屋の家賃を払っていたことになります。

「解約日(賃料発生日)」という言葉の意味

管理会社からの最初の返信には、こう書かれていました。

・受付日:7月29日(月)(メール受信日) ・解約日(賃料発生日):9月30日(月)

この「賃料発生日」という括弧書きが、すべての答えでした。私の契約における解約日とは、契約が終わる日であると同時に、賃料が発生し続ける最終日でもあったということです。

退去から4日後、私は日割り返金について問い合わせました。返ってきた回答が次のものです。

最終家賃は退去・立会日ではなく、解約日まで発生いたします。

念のため書いておくと、この対応は不当なものではありません。契約書に沿った運用であり、管理会社の説明にも誤りはありませんでした。誤解していたのは私のほうです。

私の契約では、解約通知を出した時点で解約日が確定した

私の最大の失敗は、通知日を「部屋を出たい日」から決めてしまったことです。

私の契約では、7月29日に解約を申し入れた時点で、9月30日が解約日として確定しました。「予告2か月とは、退去の準備に使える2か月の猶予である」と考えていたのが誤りでした。実際にはその通知によって、9月分までの家賃が発生する状態になっていたのです。

もし1か月早く通知していたら、どうなっていたかを並べます。

解約を通知した月私の契約での解約日9月1日に退去した場合
6月中8月31日9月分の家賃は発生しない
7月中(実際)9月30日9月分159,580円が発生

たった1か月、通知が遅れただけです。それだけで159,580円が消えました。部屋探しをどれだけ早く始めていても、通知が遅ければ意味がなかったということになります。

「予定日」と書かれた書面を見て、まだ確定していないと思い込んだ

もう一つ、判断を狂わせた要素があります。

管理会社の最初のメールには「弊社から解約日を記載した案内書と解約申込書を郵送致します」とありました。私はこれを読んで、後日届く正式な書類で解約日と退去日が確定するものと考えました。

8月上旬に届いた書面には「解約予定日」「退去予定日」と印字されており、退去予定日の欄は空欄でした。仮の状態に見えたため、私はまだ調整の余地があると解釈しました。

この点を問い合わせた際の管理会社の回答は明快でした。「正式な書面の提示」とは解約申込書の返送を指すものであり、解約日そのものはメールの時点で確定している、という説明です。

書面より先に、メール本文で確定していました。もし書面の到着を待たずに9月30日という日付を直視していれば、退去日を9月末に寄せる調整はできたはずです。

私がこの引っ越しで失った203,580円の内訳

無駄になったのは家賃だけではありませんでした。退去クリーニング費用の44,000円も、そのまま持ち出しになっています。

一般的な賃貸では、敷金を預けている場合、契約上借主負担となる退去費用などが敷金から精算され、残額が返ってくることがあります。手元の現金が動かずに済むこともあるということです。しかし私の契約は敷金なしでした。入居時のまとまった出費がない代わりに、退去費用は相殺する原資がなく、全額を振り込むことになります。

敷金ゼロ物件は「初期費用が安い」という点だけが語られがちですが、退去時に現金が出ていく前提で見ておく必要があります。

項目金額
住んでいない期間の家賃(9月分)159,580円
退去クリーニング費用44,000円
合計203,580円

一時払いの新居と重なると、逃げ場がない

さらに状況を悪くしたのが、新居の支払い方法でした。

引っ越し先のUR賃貸では、家賃を一時払いで先にまとめて支払っていました。支払いを済ませたのは2024年7月29日、旧居の解約を申し入れたのと同じ日です。

通常の二重家賃であれば「重なった月だけ余計に払う」で済みます。しかし一時払いは、その期間分をすでに払い切っています。9月は旧居の家賃が満額発生し、新居側も支払い済みという、逃げ場のない完全な重複になりました。

ここから得た教訓は、旧居の解約と新居の契約を別々に考えてはいけない、ということです。私は「家賃を下げるためにURへ移る」という入口の計算だけを詰めていて、出口の計算をしていませんでした。どちらか一方だけを見て決めると、家賃の重複が発生する可能性があります。

同じ損をしないための逆算手順

私の失敗を踏まえて、退去が決まった時点でやるべきことを手順にまとめます。

1. 契約書で「解約予告期間」と「家賃の精算基準」を先に読む

予告が1か月前か2か月前かで、通知すべき時期が丸ごと1か月変わります。あわせて、家賃が退去日までなのか解約日までなのか、特約事項に「退去月の家賃は日割り計算しない」といった記載がないかを確認します。契約書が見つからない場合は、通知を出す前に管理会社へ問い合わせてください。通知後では手遅れです。

2. 「家賃を止めたい月末」から予告期間を引いて、通知日を決める

部屋を出たい日ではありません。家賃を止めたい月末が起点です。予告2か月なら、その2か月前の月内に通知する必要があります。

3. 解約日が確定したら、退去日を解約日側に寄せられないか検討する

私が受け取ったメールには「解約日は一度、確定してしまうと変更は出来かねます」と明記されていました。変えられないのが解約日である以上、動かせるのは退去日のほうです。どうせ家賃が発生するなら、その期間は部屋を使ったほうが得でした。

4. 立会いと鍵返却のタイミングを管理会社に確認する

立会いの日程調整には日数がかかることがあり、私の場合は希望日の2週間前までに連絡するよう案内がありました。また立会い後に部屋へ入れるかどうかも管理会社によって異なります。私は解約日まで部屋を使える状態にしておけばよかったと後悔しました。

5. 新居と旧居の日付を1つの表に並べる

新居の入居可能日、旧居の解約日、退去日、それぞれの支払い発生タイミングを並べて、重複月が何か月あるかを先に把握します。重複が避けられないなら、その金額を引っ越し予算に最初から織り込んでおきます。

203,580円は、投資に回していたら

失った203,580円は、私にとって決して小さい額ではありません。

新NISAのつみたて投資枠で毎月3万円を積み立てている人なら、およそ半年分の積立額にあたります。契約書を10分読んで、通知を1か月早く出すだけで回避できたはずの金額です。

私はこれまで、家賃という固定費が資産形成に与える影響について何度か書いてきました。毎月の家賃を下げる話が中心でしたが、今回の経験で痛感したのは、引っ越しという一度きりのイベントでも、判断を誤れば半年分の積立が消えるということです。

しかも私の引っ越しは、都心からURへ移って家賃を下げるための引っ越しでした。入口では固定費を減らしたのに、出口で20万円を失っている。固定費の見直しは月額を下げることだけではなく、契約の入り口と出口で何がいつ確定するのかを把握しておくことまで含めて、はじめて完結するのだと思います。

賃貸の解約通知を出す前に、契約書の解約予告期間の欄だけは必ず開いてください。私が10分の手間を惜しんだ結果が、203,580円でした。


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HIKO

HIKO

保険業界10年勤務・30代IT会社員ブロガー

保険業界10年勤務後、IT企業に転職。生命保険・損害保険の「売り手側の論理」を知った上で、本当に必要な家計管理・投資の情報を発信。NISAや固定費削減の実体験をもとに、30代サラリーマンのお金の不安を減らすことを目指しています。

保険業界10年 IT転職 NISA実践中 固定費削減経験あり